第89話 フェスティバルの後①
『はははは!、大量やでぇ!!』
ヤツメが撃ち落したピッグバードを回収し、一箇所にまとめていると上機嫌なセリが戻ってきた。
これ以上狩られるとほかの冒険者達に影響が出るからとテットに止められたので、ヤツメとセリに指示を出して止めた。それでも群れの半分ほどを狩ったので成果としては十分だと思う。
というか取りすぎた気がする・・・。
目の前に広がっているピッグバードの死骸を見てそう思う。戦闘範囲を超えてそこらじゅうにピッグバードが転がっていた。
「この範囲から超えた奴はどうするんだ?。持ってっていいのか?」
「周りに冒険者が居ないからダメだとはいえないが・・・、フェスティバルのルール上は一応ダメだな」
このような場合は大抵放置され、他の魔物の餌になるのが普通らしい。ただ最近は、狩れなかった冒険者への寄付という形で渡すことも多いようだ。まぁ参加賞みたいなものだな。
まぁ持って行っていいといわれてもいらないけどさ。範囲内に落ちてきた奴だけでも十分なのに、セリが捕獲した奴もいる。
セリが捕獲したのはまだ見ていないけど、今目の前に転がっている数よりは多いはずだ。
ここまで捕獲できるとは思っていなかったし・・・、どうしようかな?。
『旦那あれ要らないんですか?』
『ん?、ああ、ここまで狩れるとは思ってなかったからな。ちょっと・・いや、かなり多いし要らないな、セリが捕った奴だけでも十分だ』
今頃がんばって狩っている冒険者達が聞いたら怒られそうだけどさ。
『じゃあ俺が貰ってもいいですか?、ピッグバードは俺らの好物なんで』
『そうなのか?、なら・・そうだな』
範囲内に落ちているピッグバードは全部ヤツメたちにあげるとして、範囲外のピッグバードはどうしようか、他の魔物に食べられるくらいならヤツメたちに渡したほうがいいんだが、冒険者に渡すのであれば取るわけにはいかないな。
ただ、ランプリーたちは多いからなぁ・・・。
「なんだ?、範囲外のピッグバードが欲しいのか?」
「まぁ、欲しいのはランプリーたちだけどな。でも、他の冒険者に渡すのだろ?」
「まぁそうだな・・・、正直ここで狩りすぎている、高台にいる奴らの成果はいつもの半分くらいになるだろうな。そいつらの補填も含めると、持って行くべきだろうが・・・」
テットはヤツメちらちら見ながら少し考えている。
「狩ったのはそこのグレート・ランプリーだから、俺はなんとも言えん。それに他のランプリーがが勝手に持って行ったと言われたらそれまでだしな」
「そうか・・・、じゃあ、半分に分けてもいいか?」
「分かった。半分でも他の冒険者への補填はできそうだからそれでいいだろう」
「悪いな」
話が決まったところで、ヤツメに指示を出した。
するとヤツメの指示で無数のランプリーたちが何処からか集まってきて川から顔を出す。
・・・前に襲われたときより多いんだが増えたのかな?。
『ここに置いて行くピッグバードは全部持って行っていいぞ』
『ありがとうございます!!!』
時間をかけて、範囲内のピッグバードと範囲外のピッグバードを川岸まで運ぶ。ピッグバードは見た目に対して案外軽い。お陰で楽に運ぶことが出来た。
川岸に置いて行くと、ランプリーたちが嬉しそうに川へと引き込んでいく。テットは若干顔が引き攣ってたけど、餌付けしているみたいでちょっと楽しかったよ。
「これで全部だな」
冒険者に渡す奴を残して、残りは全てランプリー達が持って行った。
帰るランプリー達が嬉しそうに水面をバシャバシャしてたのが印象的だったな。
「・・さ、さすがグレート・ランプリーだ。あれだけの配下が居るとはな・・・」
大量のランプリー達がピッグバードを川に引き摺り込んでいく光景を呆然と見ていたテットがははは・・・と笑いながら言ってくる。だが、目は笑っていないし、顔全体が引きつっている。
あとヤツメはグレート級では無いぞ。
「ヤツメ・・・、そこのランプリーはギガント級だぞ。グレート級はえーッと・・・あそこに数体いるな」
「はぁ!!?」
探しているとセリとヤツメがそれとなく教えてくれる。
まだ残っていたグレート級の奴の1匹と目が合うと軽く会釈してくれた。
しっかりしてるなぁ。
ヤツメがギガント級だと知ったテットは驚いた表情のまま動かなくなった。
・・・そこまで驚くことないと思うんだけどなぁ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
固まって動かなくなったテットは置いといて、先に残りのピッグバードを何とかしよう。
セリが捕獲したピッグバードはセリの収納空間に放り込んだだけなので生きている。収納空間の中に入って生きているのかどうかはセリ自身も分からないらしいが、入った時点で時間経過が止まるので、恐らく生きてはいるだろう。
とはいえ、俺たちが中に入って狩るわけには行かないので、一旦出てきてもらう必要があるが、ぼけっとしていると出した瞬間逃げられてしまうので、出てきた瞬間倒すしかない。
「うーむ・・どうしたらいいんだ?」
『出てきた瞬間倒せばええんや!』
「それだと逃げられる可能性があるだろ?」
『大丈夫や、入口を鎌風ので塞いだらええんやで!。出てきたやつからミンチや!』
ミンチって、細切れにするのか?。
俺拾うの嫌だからな。
『ウチも嫌や』
「なら違う手を考えようか・・・」
『旦那!。ピッグバードは水に弱いです!』
「水?」
セリと相談しているととそれを聞いていたヤツメが教えてくれる。ピッグバードの羽は吸水性が高いため、水に濡れると瞬く間に飛べなくなるらしい。ヤツメは水弾で撃ち抜いていたけど、撃ち抜けないランプリーは水弾で濡らして落とし、水の中で倒すそうだ。
「つまり出てくるを水で濡らせばいいってことか?」
『はい!、俺が入口に水の膜を用意するので、姐さんに出してもらってください!』
「分かった。頼むぞ」
ヤツメの念話が聞こえないセリに内容を説明しすぐに準備にかかった。
~西の高台~
冒険者1「今年の数、少な!!」
冒険者2「なんでこんなにバラけてるの!?」
冒険者3「いつもの三倍は速い!?」




