第90話 フェスティバルの後②
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「・・・・、何やってんだ・・・?」
俺たちが“収納”の中のピッグバードを処理していると、正気に戻ったテットがこっちに寄ってきた。
セリが収納空間から、ピッグバードを調節しながら出し、出た奴はヤツメが入り口に張った水の玉に突っ込み地面に転がる。俺は転がったピッグバードにとどめを刺す。その後、セリが別に用意した収納空間の入口に落とす。
なんか流れ作業だな、これ。
セリが収納空間の出入口を同時展開出来るおかげで、スムーズに作業が進んだ。テットが戻って来た時には殆ど終わっていた時だった。
「これ?、セリが捕獲したピッグバードを倒してたんだけど?」
「それは分かるが・・・、一体何匹居るんだ?」
100越えた辺りで数えるのを辞めたし分からないな。多分500は言っているんじゃないか?。
後で買い取りに出すからその時数えてくれ。
「なら後日持って来てくれ、今日は忙しくなるからな」
他の冒険者の買い取りもあるから俺に時間をかけられないそうだ。
まぁ、当然か。
別に遅くなっても大丈夫だから、俺としては問題無い。
「分かった。で、あれはどうするんだ?」
「あれか・・・、すまないが運ぶの手伝ってくれ」
「いいけど・・・、やだなぁ」
冒険者に配るピッグバードの山を見てため息をつく。1匹が軽いとはいえ、山のように積んであるピッグバードは流石に2人で持っては帰れない。
カイマンを呼ぶ?、・・・いや、街に近づいた時点で大騒ぎになるな。
やっぱりセリに頼むしか無いか・・・。
『セリ、コレやるから頼むわ』
『しゃあないな、後払いもあるんやろな?』
『はいはい、分かったよ』
・・・・今回は仕方ないな。
前払いのどら焼きを渡してセリにお願いし、全部収納空間に突っ込んでもらった。
『お疲れ様、今日はこれで大丈夫だ。ありがとうな』
『こちらこそありがとうございます!。あれだけピッグバードを貰ってたすかりました!』
渡したピッグバードは全部ヤツメが倒した奴なんだけどなぁ・・・。
ヤツメはお辞儀すると、そのまま川の中に消えていった。
「さて俺たちも行くか」
セリを背負ってレーヴィアへ歩き出した。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
道中何もなくレーヴィアに帰ってきた。
街の出入り口はいつも通りで、商人や街民が出入りしている。他の冒険者はまだ見当たらないな・・・。
「他の奴らはまだみたいだな。ならさっさと組合まで行くぞ。帰ってくると一気に混むからな」
「わかった」
全員ではないが、フェスティバルを終えた冒険者は戦果を買い取ってもらおうと、そのまま冒険者組合に来るらしい。
幸い、まだだれも帰っては来ていないようなので、さっさと用件を済まして俺は撤退しようかな。
「じゃあこれ、ここに置いておくから」
「わりぃな、助かったぜ」
組合の作業場についてすぐに、寄付用のピッグバードをその辺に吐き出してもらう。これは作業場ですぐさま数を確認し、冒険者達に配るそうだ。
俺も要るかと冗談交じりに聞かれたが断っておいた。まだこれの倍以上はセリの収納空間に入っているからな、今更数匹貰ったところで誤差だ。
「俺は一旦帰るよ、明日また来るわ」
「待て、その前に契約魔物の手続きをしておくんだぞ!」
「え~・・・」
契約魔物は増えるたびに申告しないといけないらしい。理由はいろいろあるが、代表的なのは[問題が起きた時の責任問題]らしい。ようは連れていた魔物が他者を傷つけたり、物を壊したときに、だれが責任を負うかだ。
また申告していない場合、魔物が街に入ることすら駄目なんだとテットが言っていた。
ヤツメを街に連れていくつもりはないが、今後ヤツメが人を襲った場合、俺に責任が来るのか・・・。
ちょっと面倒だな。あとで、ヤツメに言っておかないと。
『それやとカイマンも申告せなあかんのちゃうん?』
そうなんだよな。
カイマンとアンダルシアも申告するひつようがあるんだけど・・・、
絶対めんどくさいことになるし・・・
バレるまで黙っていよう。
カイマンがバレることは殆ど無いだろうし大丈夫だろ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「おう!、帰って来たか!」
「ああ、・・・・大変そうだな」
組合長の部屋に通して貰うと、テットは大量の書類に目を通ししていた。
・・・あれは、ちゃんと読んでるのか・・・?
「で?、あいつはどこ行った!?」
あいつとはサボってついてきたテットのことだろう。作業場に戻るなり、作業員たちから「何処行ってたんですか!?」と詰め寄られてたしな。
「作業場に戻ってるぞ。寄付用のピッグバードを準備しないといけないらしいからな」
「寄付用だと!?、そんなの後回しでもいいだろう!?。どうせ多くて数十匹とかなんだからな!」
逃げたことを根に持ってるなぁ。しかもかなりイライラしている。
今これ渡すのか?、嫌なんだが・・・。
職員の女性は提出した申請書を見た途端、俺に直接渡せと言って来た。
ヘッドがこの状況だから、関わりたくなかったのだろう。
見るからにストレスMAXだし。
「まぁあのバカのことはいい。それで?何のようだ?」
「契約魔物が増えたから、申請書書いたんだが、直接渡せって言われてな」
「増えた・・・だぁ?」
差し出した紙を引ったくるように受け取る。
さっと見て・・・片手で目を覆った。
「おまえこれ・・・・」
申請書には種族や特異性を全部そのまま書いておいた。テットにばれているから今から嘘書いてもばれるからだ。
「ちょっと詳しく聞かせてもらえるか?」
威圧的な声を発しながらヘッドが立ち上がる。
・・・これは逃げられないな。
『腹減ったでぇ・・』
まだ帰れないと悟ったセリがぼそりと呟いた。
うん、俺もだよ。




