第87話 スキンヘッドとの移動
マッチョのスキンヘッドが仲間になった。
現在スネークス・リバーへ向かっている最中だ。ピッグバードが現れるまであまり時間がない。
少し急いで進む。
「どうした?、体調でも悪いのか?」
「いや、アンタがついてきたからだけど」
がんばって断ったがテットが折れることはなく、時間もないので俺が折れた。本人はあーだこーだと理由をつけていたが、本音はヘッドの仕事を手伝いたくなかったからだと俺は思っている。
ヘッドはいつもの作業着ではなく上半身裸にズボンでスパイク付きメイスを2本持っている。強面なので山賊にしか見えない。レーヴィアでは有名だから大丈夫だったけど、正直隣を歩くのが嫌だ。
というか、メイスでピッグバードを倒せるのか?。
「はっは!、無理だな。こんなので届くわけないだろ」
「じゃあ、どうやって狩るんだ?」
「いや、俺はピッグバードは狩らない。周囲から出てくる別の魔物を狩るんだ。そうすればお前達がピッグバードに集中できるだろ?」
あ、そういう役割ね。そこまで気にしていなかったけど、ピッグバードを攻撃している最中にほかの魔物が出てこないとは限らないし防衛する人が必要なのか。ならチョコにも来てもらえばよかったかな?。
『ウチが居るんや、そんなん要らんで』
・・・・・
そうか、セリは“結界”を持ってるし必要ないのか。
とはいえ要らないから「帰って」とはいえない。セリには攻撃に集中してもらって防衛は俺たちがやるか。
『まぁそれでええけど、ヤツメやカイマンには連絡したんか?』
『カイマンにはフェスティバルのことを伝えておいた。ヤツメはこれからだな』
街を出る前にカイマンに念話でフェスティバルにでるから帰るのが遅くなると伝えている。ナギたちにはカイマンから連絡してもらうようお願いした。
後はヤツメか・・・、
ヤツメを意識して念話を始める。
『おーいヤツメ、聞こえるか?』
『ボス!、どうしましたか!』
すぐに返答が帰ってきた。相変わらず元気というか暑苦しい。
あと、ボス呼びは止めろと言ったろ。
『すみません!。まだ慣れてなくて』
『いや、いいんだけど。それより今ちょっといいか?』
『大丈夫です!』
いい返事が返ってきた、・・・いつもと同じだけど。
俺はフェスティバルについて説明する。
『そこから北東ですと、丁度俺がいる所ですね』
『お、そうなのか。ならピッグバードは見えるか?』
『ちょっと待ってください。・・・・えーっと・・、あ、あれだ!。居ましたよ、黒い塊が』
『黒い塊?、鳥じゃないのか?』
『多すぎて、黒い塊にしか見えないんです!。魔物自体は白いのが多いんですけど』
えー・・・塊に見えるほどの多さなの?。
テレビとかで見たことあるけど、虫とかが多く集まると壁みたいに見えてたあれか。
『それで?、こいつらを倒したらいいんですか?』
『そうなんだが、色々ルールがあってだな。一旦合流したいから、俺が居る川岸に移動しておいてくれ。近くまで来たらまた連絡する』
『了解です!』
これでよし。
あとは急いでいくだけだな。
「さっきから黙ってるが、またセリと話ししていたのか?」
「いや、セリじゃない。スネークス・リバーにいる奴とだ。もうスネークス・リバーからはピッグバードの大群が見えてるらしい」
「何!?、そうなのか?。少し早いな。・・・・おい待て。今スネークスリバー近くに誰か居るのか?」
「ああ、今は急ぎたいから後で紹介するよ」
本当は隠しておきたいが、手伝ってもらう以上隠し切れないだろうし。
今言っても、後で言っても一緒だから黙っておくけどね。
『ヤツメも参加するんか?』
『ああ、やるって』
俺はヤツメのいる方角に早足で向かった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
『旦那、待ってましたぁ!』
2時間かかったかな?、けどピッグバードが来る前に到着できた。
と、同時にヤツメが水しぶきを上げて川から現れる。見る限り元気そうだ。
ただもうちょっとゆっくり出てきて欲しいな、出てくるたびに水を被ってるんだが?。
『それより先に、アイツに説明したほうがええんとちゃうか?』
「説明?・・・あ!」
セリに言われて振り向くと、テットが戦闘態勢に入っていた。緊張しているのか顔が強張っている。
俺は慌ててテットを止めた。
「待ってくれ、大丈夫だから!」
「何が大丈夫だ!?、お前もさっさと逃げる準備をしろ!。俺たちで勝てる相手ではないぞ!」
「俺の契約魔物だから大丈夫なんだよ!」
「はぁ!?」
実際は使い魔だからちょっと違うけど、似たようなもんだしいいよね。
テットは「何言ってんだコイツ・・」と言いたげだが、一向に襲ってこないヤツメを見て半信半疑ながら構えていたメイスを下ろした。
「マジなのか?」
「ああ、うん・・・」
頷くと、はぁああ〜・・・と息を吐いて脱力し、メイスを放り投げそのまま地面に仰向けになる。
「はっはっは・・・、流石に死んだかと思ったわ」
「そうか?」
「当たり前だろ。グレート級なんてこの人数で勝てるか」
脱力してるからか、声に迫力がない。そういえばチョコも最初かなり怖がってたな、やっぱり一般的にはヤバイ部類の奴なのか。
カイマンを見たせいかもしれないが初めて会った時もそこまで怖くは感じなかった。
『くくく、ススムは危機管理能力が死んでるしな。しゃーないな!』
『それはお前だろ。俺のは弱ってるだけで生きてるわ』
『それで旦那!。俺は何したらいいんですか!?』
『それは今から決めるがその前に教えてくれ、ヤツメは飛んでるピッグバードを攻撃できるか?』
聞くのをすっかり忘れてた。攻撃できなかったら来てもらった意味がない。
『あの程度の高さなら“水生成”で余裕です!。ピッグバードは俺らも狩って食べますので、任せてもらってもいいです!』
『そうなんだ、ならいつものやり方で頼むが・・・、実は攻撃していい範囲があってさ』
『範囲?』
えーっと・・どれくらいだっけ。そういえば聞いてなかった。
「テット、1パーティの戦闘範囲ってどれくらいだ?」
「半径200mだ。今回は飛んでいるピッグバードだからいつもよりでかく設定している」
『だそうだ。その範囲は今から決めるがその範囲に入った奴だけを攻撃してくれ』
『面倒なルールですね!。しかし、旦那がそう言うのであれば了解です!』
面倒か・・・、俺もそう思うがルールは守らないと。
でも正直、ピッグバードとの距離がありすぎて範囲に入ってるか分からないんだよな。
「その辺りは気にするな。多少はみ出ても誰も分からんし大丈夫だ!」
「いいのかよ・・・」
「どうせ周りには誰もいない。喧嘩にもならないし気にするな。・・・まぁ一応範囲をこれでマークしておいてくれ」
どっから出したのか分からないロープを渡される。
川の部分を半分、陸の部分を半分にして範囲を決める。
『で?、なんか作戦でもあるんか?。普通に攻撃したらええんか?』
『一応考えて入るけど・・・』
上手く行くか分からないしなぁ・・・。
あとちょっとルール違反かもしれない。




