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第85話 フェスティバル①

「キーー・・・」


遠くから、トリックモンキの悲鳴がまた聞こえてきた。これで6回目、さっきまでそこにいた数と同じだからこれで全部かな。


散るように逃げたトリックモンキ達をセリが追って行って数分、いろんな方向からさっきのような悲鳴が定期的に聞こえてきていた。恐らくセリが仕留めたのだろう。


『ふぃー、終わったでー』

「おつかれ」


待っていると、セリが降って来た。

スッキリした顔をしているので、少しはイライラが発散されたのかな。

倒したトリックモンキ達は収納空間に入れているらしいので、またレーヴィアに持っていかないとな。


「あいつら全員倒したのか?」

『当然や!。確実に狩ってきたで』

「それよりも頭大丈夫なの?。思いっきり岩にぶつかってたけど・・」

『大丈夫や!、あれ幻やってわかっとったしな』


どうやら相手が“写し身”を持っていることをセリは事前に“心眼”で確認済みだったらしい。そのうえ“気配感知”で相手の位置も確認した上でわざと幻に突っ込んだそうだ。“気配感知”は相手の魔石で位置を把握するので目で見えなくても場所が分かるみたいだ。


『ただ後に岩があるとは思っとらへんかったから、慌てて“鋼質化”したけどな』

「なんでわざと突っ込んだんだ?。居場所が分かってたんなら、そのまま攻撃したらよかったんじゃないのか?」

『あいつらの驚く顔が見たかっただけや。どや?、おどろいとったか?』

「ああ、物凄くな」


セリは岩に埋もれていて見れなかったため、その時の写真を撮って見せる。

この目の見開きは何回見てもすごいな、目が飛び出ている表現そのままだ。


セリもその顔に満足したようで、くくくと笑っている。


「さて・・・帰るか」


セリが満足したので家に帰ろう。

すでに日は落ち、辺りは暗くなっていた。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 



「今日はなんか騒がしいな」


今日は旅を中断し、ナギが出した門からレーヴィアの冒険者組合に来ている。

昨日狩ったトリックモンキを買い取ってもらうためだ。

別にすぐ売らなくてもいいのだが、収納空間に入っているとはいえ持っているのは嫌なのでさっさと手放したいからだ。


だが入口を入ったところで多くの人が居て入れない。ムキムキの冒険者や華奢な体の魔法使い?のような格好の冒険者などが組合ホールいっぱいに入り込んでいる。なんかイベントでもあるのか?。


どんなイベントか知らないからどうでもいいけど、買取り場所への入口は組合ホール奥の扉なのでこのままではたどり着けない。


「すまんちょっと通してくれないか?」


さすがにリュックを背負ったままでは通れないので、手に持って人の壁を押しのけるようにして奥の扉を目指す。なんか満員電車から降りるときみたいな感じだ。


『む、なぁ!?、だ、誰やぁ!ウチ蹴ったんは』

「あ、ごめん。俺だ」


手に提げているせいで歩くたびにセリに足があたる。

仕方ないんだから許してくれ。


セリを足があたる(不可抗力)こと数十回、なんとか買取り場所への入口についた。

ふぅしんどかった・・・。

セリが俺をジトォと見てるが、見てないフリをする。だって仕方なかったんだから。


買取り場所に入ると、いつものちょび髭がいつものように受付にいた。ちょび髭はこっちに気付くと軽く手を上げる。


「よう、アンタ久しぶりだな」

「ああ、ちょっと遠出してたからな」

「何だ?、また蛇神の森の奥でグレート級でも狩っていたのか?」


なんか今日は上機嫌というかフレンドリーだな、別にいいけど。

最初みたいに煽ってこなかったら特に気にしない。


「いやちょっと違うところ行ってたんだ。それに今日の買取りを終わらせたらまたすぐ戻るけど」

「ふーん・・、何処行ってたんだ?」

「その前に、あのホールの人ごみはなんだ?。今日は何かあるのか?」


わぁぁああ!!、とホールのほうから歓声が上がる。

ほんとなにがあるんだ?。


「ん?、知らないのか?、って遠出してたんだったな。実はな、二日前に組合長がフェスティバルの宣言をしたんだ」

「フェスティバル?。祭り?」

「お前フェスティバルを知らないのか?」

「ああ、田舎者だからな」


異世界者なのだが、言っても信じないだろうし適当に答えておく。

ちょび髭は「ふーん・・」とどこか納得してないようだが信じたようだ。


「フェスティバルってのは、特定の魔物が大量発生した際に行う狩猟祭だ。今回のターゲットはピッグバードで、その大群が今日の午後にこの街の上空を通過するらしい」

「ピッグバード?。豚?鳥?」

「おまえ・・・ピッグバードも知らないのか・・」


ちょび髭から哀れな目で見られる。え?、犬とか猫とかのように知ってるのが普通みたいな生き物なの?。


『何処にでもいる鳥や。食用でよく乱獲されとるな。ウチも昔は跳んでるそいつらを丸呑みしてたで』

「あ、そうですか・・・」


丸呑み話は放っといて、どうやら食用として一般的な鳥のようだ。

鶏みたいなもんだと思っておこう。


で、それの大群が今日の午後に街に来ると。


「ああ、今組合長がピッグバードの通過ポイントを説明しているところだな。俺は参加しないからここにいるが、あんたも参加するなら説明聞いといたほうがいいぞ。」


いや買い取って貰いに来ただけなんだけどな・・・。

ちなみにその鳥ってうまいのか?


「ああ美味いな。美味くなかったら皆集めて狩ろうとはしない」

「たしかにそうだな」


そうか、美味いのか。

この話を聞いたら肉好きのチョコ辺りが欲しがりそうだけど。


「どうすーー」

『狩りの時間やな!』


聞くまでも無かったか。

セリがやる気なので参加するか。


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