第79話 今日の終わり(ススム)
「むぅ~・・・」
女性陣がお風呂に入ってる間、魔物図鑑を見ていたのだが眠たくなってくる。字が細かく書いてありすぎて読むのが大変なのだ。
魔物の生態なども書かれているので全て覚えると冒険の役に立つのは確かなので頑張って読んでるが、旅の後に読むもんじゃ無いな。
疲労と相まって眠気が凄い。
ナギたちが上がった後に風呂入ろうと思ってるのだが、寝てしまいそうだ。
「あ!、おじちゃん何読んでるの?」
眠気覚ましのコーヒーを飲んでると、後ろからフウの声がする。
あれ?、ナギたちと風呂に入ったんじゃなかったのか?
「シアと遊んでた!」
ピースをしながらフウは言う。
なんだ?今まで遊んでたのか?、元気だなぁ。
・・・シアは大丈夫かな?。
この前も凄い疲れてたけど。
「遊ぶのはいいけど、自分ばっかり楽しんじゃダメだぞ!。相手の事も考えて遊ぶんだぞ」
「はーい」
返事は良いけど、分かってるのかなぁ?。
フウのことだから分かってるとは思うんだけどね。
遊び相手がシアしか居ないのが問題なのかも。
今日は俺がカイマンを連れて行ったし、ナギは家事をしてたから遊べない。
そもそもフウの同年代の友達がここには居ない。
レーヴィアに行けば居るだろうけど、フウ1人で行かせる訳には行かない。誘拐されたり、危険な目に遭うかもしれないからな。
それにフウはああ見えて人見知りみたいだし、1人であの街に行ってもダメだろう。
誰かがついて行けば良いんだけど、適任者は・・・チョコになるのかな?
元々住んでたから街にも詳しい。それに、街のみんなが彼女を知ってるから一緒に居るとフウの顔も覚えてもらいやすいだろう。うん。
じゃあ後でチョコに相談しておこう。
「おじちゃんどうしたの?」
1人でうんうんと頷いている俺にフウは首を傾げる。
「ごめんごめん。・・・えーっと何だったっけ?」
フウのことを考えてたのでフウが何しに来たかを忘れてしまった。
「おじちゃんボケた?」
「ボケてない」
まだボケてない・・・はず!。
まだ数日前の夕食だって覚えてるぞ!。昨日が焼き肉で、一昨日が・・カレー、3日前が・・・・あれ?。
何だっけ?。
「おじちゃん。焼き肉だよ!」
そうだ!。チョコが「肉肉」と連呼するから焼肉になったんだった。
「4日前がステーキ、5日前が焼き魚だよ。それで6日前がーー」
「もういいもういい」
フウはよく覚えてるな。そして俺は何も覚えてないな!。
・・・もしかしてボケ始めてる?。
「あはは、おじちゃんボケてるー!」
「くぅ・・」
言い返せない。
そういえばこっちに来てから考えるとこが減ったな。あっちの世界にいた時は仕事の事や、どう旅するかの計画を考えたりしてたけど。こっちに来てからそういうことを考えなくなった。行きたいところに行き、したい事をするだけの毎日だから考える事が少ない。
普段から考えるのが苦手で、物事を考える事が少ないのに・・・。
うーむ・・・、これはまずい。もっと頭を使わなければ!。
よし、とりあえずこの図鑑を覚えることから始めよう。
「あ、その本読むの?。フウにも見せて!」
そう言うなり、フウは俺の膝の上に座る。思い出した。フウは何読んでるか聞いていたな。
フウに見えるように図鑑を広げて見せてあげる。
「あ、ウサギさんだ!」
開いたページには今日会ったハーブ・ラビットの絵が描かれていた。そのページに書かれていることをフウに読んであげる。
「匂いで、このウサギの感情が分かるらしいぞ。甘い匂いだと懐いているで、臭いと嫌われているようだ」
「匂いがしなかったら?」
「うーん・・、気づかれてない?になるのかな?。あ、いやここに書いてあるわ。えーっと?、[下に見られてる]だってさ」
つまり、弱いと思われているらしい。その場合襲われる危険があるのですぐ逃げろと書いてあるけど。
臭い場合は威嚇の意味もあるので、その時は後退りすればいいとも書いてある。
色んな対処法が書いてあるが、これ全部誰かが試したのかな?。
「ねぇ、次ぎ行ってー」
「あ、ごめんごめん」
フウに急かされてページをめくる。次のページにも説明文がぎっしり書かれていたので、上から読んでいく。
絵は・・・、団子虫見ただなこれ。
「次ー」
フウに読み聞かせながら順に読み続ける。
ゆっくり読むと結構疲れる。図鑑が重いので腕も痺れてきた。
「次は・・・」
「すぅすぅ」
そろそろ腕が限界に近づいた頃、次に行こうとしてもフウの反応がない。
どうやら寝たようだ。はぁ~、助かった。
図鑑をテーブルに置き、ソファの背もたれにもたれてぐったりする。まさか読み聞かせがこんなに大変だったとは・・・。思ってた以上に疲れるな。
もたれたままリビングの入口を見る。ナギやチョコはまだ風呂から上がってこない。
結構長い間図鑑を読んでいたはずなんだが・・・。女性の風呂はどの世界でも長いな。
この感じだとまだ上がってはこないだろうし、俺も仮眠しておこうかな。
というか眠たくて我慢できない・・・。
そう思い目を閉じる。すぐに意識はとんだ。
次回から旅の続きです。




