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第72話 パルチ山へ出発

「胃が重い・・・」

「私もです・・・」

「2人ともダメねー」


昨日チョコに案内された食べ歩きは、どこもかしこも肉料理だった。とはいえチョコが肉のところばかり案内しているわけでは無く、どこもアリゲーター肉が安価で手に入ったため肉料理になってしまっていた。いつもは野菜メインの屋台ですら肉寄りの料理になってたくらいだ。


肉好きのチョコと、セリにはいいことだったらしいが・・・。俺たちにはちょっとキツかった。

誰だよアリゲーターを大量に狩ったのは?。


・・・多分俺だろうけど。


「しまったな・・・。もう少し後に買い取って貰えば良かった」


すぐにお金が必要かと思って大量に売ったのが間違いだったか・・・。

今度から気を付けよう。


しかし、今日からパルチ山に向かうと言うのに胃が重たい。

ナギも同じみたいだし今日はやめようかな。


「ダメよ!。せっかく肉で力がついてるのに。今日行かなくていつ行くのよ」

「明日」

「ダメ!。行くわよ」


どうやらダメなようだ。

腕を掴まれ引っ張られながら門を出る。


「私は今日はやめときます」

「分かったわ。ちょっと行ってくるわね」


そしてナギはパスらしい。

チョコ。何でナギはよくて俺はダメなんだ?。


「ススムが居ないとスネークス・リバーを渡れないでしょ」

「そんなことないと思うけどなぁ・・」


セリがいれば渡れるし、俺が居なくても渡れるだろう。

チョコがセリを背負う必要があるけど。


『ウチ、ススムいーひんと外出ーへんしな』

「何でだよ・・・」


結局俺が行かなきゃダメらしい。

胃もたれの薬を飲んだし出発しようか。



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 



「やぁ、チョコちゃん。久しぶりだな。今日は狩りに行くのか?」

「狩り・・というか、ちょっと遠出してくるわ。当分帰らないと思うから」


街門を出るときに門兵に声を掛けられた。チョコはレーヴィアでは有名なので、街中でもちょこちょこ声を掛けられていた。

またヘイゼルの時にチョコが言った一言のせいで、一緒に居る俺がチョコの彼氏だと周囲から思われているようだ。

あの一件以降その手の話で声を掛けてきたり茶化したりする奴ばかりだ。


昨日の事のはずなのに伝達スピードが速すぎる・・・。


「へー・・、彼氏と旅行かい?。何処いくか知らないが気を付けてな」

「ええ・・・、ありがとう」


門兵がちょろっとこっちを見てから言う。チョコは苦笑いしながら返答している。チョコがあの一言についてちゃんと説明すれば無くなると思うんだが。


その手の話が出るたびに、何故かナギに睨まれる俺の身にもなって欲しい。


「ほらススム、あれよ」


門を通り過ぎ、少し歩くとチョコが前方を指差した。

その方向を見ると、山が見える。明らかに富士山よりは高そうだ・・・。頂上付近は雲がかかっていて天辺が見えないのでよくわからないけど。


「あれがパルチ山よ。今は山の形が見えてるから早く行っておきたかったの」

「ああ、そういうことね・・」


チョコが急かしていたのは山として見えている今のうちに行きたかったらしい。景色が変わるタイミングがまちまちなので明日には変わるかもしれないからだ。

俺としては、逆に違う景色のときに行ってどうなってるかを見てみたい気もするけどね。


「セリ、あれがパルチ山らしいが、知ってるか?」

『知らん。ウチが知ってる昔と今では地形が大分変わっとるしなぁ・・・。そもそもあの森もあんな大きなかったし』

「そうか」


となるとやはり行って確認するしかないな。


俺たちはスネークス・リバーまで草原を歩き続けた。


「しゃー!!」

「ん?、何これ?」


目の前に草原の草に似た色のウサギっぽい何かが飛び出す。見た目ウサギなんだが、何故か耳が4つある。


レア魔物か?。


「ただのハーブ・ラビットよ。この辺りによくいる食用ウサギね。どうする狩ってく?」


チョコが背負っていたハンマーを抜きながら聞いてくる。食用か・・。なら狩っていこう。

アリゲーター以外の肉も食べてみたいし。


ということでさくっとレーザーで狩らせて頂きました。

セリは昼寝中なので戦闘してくれないし。まぁ、この程度ならセリに頼まなくても大丈夫だけど。


ただ、手で持って運ばなければならないだけだ。


「前から思ってたんだけど、さっきのどうやってるの?。何の特異性か聞いてもいいかしら?」

「ん?、このレーザーか?。“光生成”だけど」


そういえばチョコにはまだ何も説明してなかったな。今回一緒に行動するしある程度は教えておいたほうがいいのかもしれない。

別に“光生成"は隠してないけどさ。

隠さないといけないのは“旅の宿"と“召喚"くらいだろうか。チョコは両方知ってるから他のを教えても問題ないだろう。


「え?、“光生成"ってあの“光生成”?。照らすだけの」

「え?、うん。そのはずだけど・・・」


しかし“光生成”は照らすだけの認識のようだ。

光を作るって結構すごいことだと思うんだけどなぁ・・・。


「どうやったら光で穴が開くの?」

「原理は知らないからその辺りの説明は出来ないんだ・・・」


すまない、イメージだけで何とかなるから原理を詳しく調べてないんだ。

だから、詳しく聞こうとしないでくれ。


頼むとチョコは「仕方ないわね」と諦めてくれた。


「このハーブ・ラビットってうまいのか?」


これ以上聞かれても困るので、さっさと話題をかえる。

肉の話になら大丈夫だろう。


「まあまあね。この草原なら何処にでも居るし、狩りやすいから結構食べる機会あるんだけど、アリゲーター肉とかに比べるとあんまり・・・。家で食べる牛?とかのお肉のほうが断然おいしい」


そりゃ、あれは食用に育てられた牛だからな。魔物と一緒にしたらダメだ。


「というか、魔物図鑑貰ったんでしょ?。そのあたりのことも書いてあると思うんだけど?」

「ああ、家に置いてきたわ」


だって重いし。

あんなの持ち歩いて旅なんてできるか。


そうこうしてる内に、目の前に川が見えてきた。


次回諸事情で更新が遅れます。(土曜日にはなんとか・・・)

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