第68話 ワニ肉は美味しかった
「まずはここね!」
お留守番のアンダルシアとカイマンにお昼ご飯を用意してから、食べ歩きを始める。
まずはお昼ご飯だ。ということでチョコオススメのお店に案内してもらう。
「ここは何のお店ですか?」
「肉料理専門店よ。この街では1番美味しいわ」
「お肉~」
そういえばチョコは肉大好きだったな。
本人は力がつくからとか、疲れてるときは肉食べると良いとか言ってたけど単純に好きなだけだというのは分かっている。明らかに野菜が出てきた時と肉が出てきた時のテンションが違うからな。
俺も肉好きだしその気持ち分かるぞ。
「今日のお肉は何かしら?」
「今日はアリゲーターの肉ですね。最近大量に持ち込まれたそうで、沢山仕入れることが出来たのですよ」
このお店はその日仕入れた肉の料理を提供するらしい。なのでその日によって料理が変わるし、値段も違う。そもそも品書きがどこにも無い。
メニューも決められず、出てきた物を食べてお金取られるとか、店として大丈夫なのか?。
「?、これが普通よ?。あなたの国では違ったの?」
「全然違う」
料理が来るまでの間、俺の知っている料理店の仕組みについて説明する。ナギとフウはそもそも料理店なんて知らないので「そうなんだ~」位だが、チョコは驚いていた。いつでも食べたい物が食べれるのはおかしいとか言っている。
やっぱり日本って凄いんだな。というか地球の技術が凄いのか、こっちじゃ冷蔵庫なんてないから、食材も腐る前に食べるのが一般的らしい。
だから料理店も、食材が入ったらなくなるまで、その食材を使った料理オンリーになるようだ。
納得の理由だな。
『しかし誰や?、アホみたいにアリゲーター持ち込んで来よった奴は?。アリゲーターの肉なんてうまいんか?』
それは俺だ!、多分・・・。
ナプキンを付けたセリはアリゲーターの肉に疑問があるようだ。それは俺もで、魔物の肉ってどうなの?って思う。食べれるのか?。
家では冷蔵庫に牛などの各種肉(最高ランク)が自動補充されるのでアリゲーターの肉なんて食べてない。ナギも皮を剥いだらそのまま廃棄したらしい。
「アリゲーターの肉は美味しいわよ、油で揚げると特に美味しいわ。あぁ、思い出したら食べたくなってきた」
チョコはじゅるりとよだれを吸い上げる。
油であげる・・・唐揚げか!。ワニの唐揚げ・・美味いのかな。
「どうぞ、アリゲーターの唐揚げです」
思ってたら出てきた。店員さんに聞くと、アリゲーターの唐揚げはチョコの好物らしく、アリゲーターを仕入れた時は、必ず唐揚げにして出していたそうだ。
確かに美味そうだし、見た目も普通だ。ただワニの手だというのが分かるのを除いて。
「じゃあ食べようか・・」
手の形で若干食欲が薄れたが、何物もまずは食べてみないと。見た目が余り気にならないやつを取って口に運ぶ。意外にも美味しかった。食感や味は鶏肉に近い。魔物とはいえ、これなら問題無く食べられる。
「美味しいですね。これだけ美味しいなら捨てなければよかったです・・・」
「だな。鶏肉に似てるし、その手の料理には合いそうだ」
『くっ!、美味いやないか!。生やとそんなに美味しないのに』
「フウはこの料理に100点あげる」
みんな各々の感想を口にする。セリの奴、いつ生を食べたんだ?。
一度も食卓には出なかったはずだが・・・。廃棄した物でも食べたか?
あとチョコは・・・ワニの手に無言でかぶりついていた。
食べるのに夢中でこっちを気にせず黙々と食べている。家でも気に入った料理を食べている時にこんな風になるのだが、ちょっと食いすぎじゃないか?。
一個食べてるうちにもう無いんだが・・・。
「今度家で作りますから・・・」
ショックが顔に出てたらしい。お願いします。
その後もワニ料理が出てきたが、主にチョコとセリのお腹に納まった。フウは早々にお腹いっぱいでリタイアし、ナギは後の事を考えてキープしているためだ。俺も腹5分目くらいで止めている。
チョコは大丈夫そうだが、セリのやつもう食べられないんじゃないか?。
『ウップ、ウチはもう食べれへん・・・。まさかアリゲーターがここまで旨いとはなぁ。料理がすごいって初めて知ったわ』
「どう、ここの料理はどれも美味しいでしょ?。ついつい食べすぎちゃうのよね」
確かに旨かった、チョコが推すだけあるな。この調子だと次の店も期待できそうだ。
全員満足したみたいなので、お金を払って店を出る。出来ればまた来たいな、チョコが言うにはこの店はキャロットビーフの料理が1番美味しいらしい。
食材の持ち込みもOKなので狩った時はそうしようか。
「次はどこ行くんだ?」
「え?」
「「え?」」
きょとんとしたチョコの反応に俺とナギがきょとんとする。満腹のフウは眠たくなったのか、ナギの背中で寝ている。俺が抱っこしようとしたのだがナギが拒否したので仕方ない。しかも理由を聞いても教えてくれないし。なんか「ずるい・・」とかボソボソ言ってたのは聞こえたけど。
まだフウを任せるほど信用されてないのかな?、・・・ちょっと傷ついた。
「次はどの店を案内してくれるんだ?」
チョコがきょとんとし続けてるので、再度聞いてみる。
思い出したかのようにチョコは両手をポンと叩く、
「ごめんごめん、忘れてた。次はこっちだけど・・・、でも先にフウを寝かした方がいいかもね」
確かにぐっすり寝てるし、ナギもおんぶしたまま移動するのは大変だろう。
こっちもセリがすぐにでも寝そうだけど。
「じゃあ一旦帰ーー」
「見つけましたよ!!」
大きな声に振り向くと執事服の青年がこちらに向かってくる。面倒ごとの予感がする、さっさと帰ろう。
「じゃあ一旦帰ろうか?」
「そうですね。流石にこのまま街を歩き回るのは・・・」
「そうね。2人には悪いけど、お土産買っておいたらいいでしょ」
2人も面倒を感じ取ったのか何事も無かったかのように振る舞う。ただ少し早口になってるのでさっさと離れたい気持ちが見えている。
「待ちなさい。そこの君たち!」
誰に言ってるか知らないので無視する。あからさまに俺を見てる気がするが無視する。
執事服のお友達何ていないのでな。
という訳でささっと立ち去る。
「そこの蛇を背負ってる男!待ちなさい!」
・・・・・
速い、回り込まれた。逃げられない。
執事服は俺たちの行手を阻むように立つ。どうやら俺が目的みたいだけど、何?。
というかそもそも誰?。
面倒ごとの予感しかしない・・・。




