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第60話 レーヴィア探索

「チョコさん。今日はどのようなご用件で?」

「地図をね。1つ貰えないかしら?」

「分かりました。少々お待ち下さい」


チョコが家に来てから数日。今、冒険者組合に来ている。

昨日ふとこの世界の地図ってあるのだろうかと思いチョコに聞いた所、冒険者組合で売ってるそうなので寄ったのだ。


「お待たせしました、こちらになります。費用は銀貨1枚ですね」


金貨しか持ってなかったので、金貨を渡して銀貨99枚を返してもらう。100円の物を買うのに1万円札出すような罪悪感があったが、両替もかねてるので許して欲しい。迷惑行為に変わりないけど・・・。


そして受け取った地図を見て


「これが地図ですか?」

「?、はいそうですが?」


貰った地図には国の名前と、大雑把な境界線、そして子供が書いたような適当な大陸形状だった。しかも地図の右半分は大陸こそあるものの何も書かれていない。


「ここに東西を分断している山があって、その先は誰も知らないのよ。だから地図には載ってないの」


チョコに聞くとそう返ってきた。

なら山までいいんじゃないかな?、この地図だと右半分無駄なんだが・・・。

まぁそれはいいや、問題はこの地図で分かるのが国の配置だけということだ。書かれている国はティムール王国、ロスティーナ帝国、レティシア共和国の3つだけなのだが、国同士の境界線も適当だし、そもそも各国の街の名前すらない。このレーヴィアはレティシア共和国のはずなんだけど、国の何処に有るのかがそもそも分からない。


「しょうがないわよ、誰も測定なんかしないから。街の名前と位置は自分達で書き込んでいくしかないわよ」


どうやらそのやり方が一般的らしい。そもそも詳細な地図ほど高価になり、数も少ない。組合の地図なんて大量生産なので適当なのだそうだ。

こんなのにお金払ったのが馬鹿みたいだ。


「なんかぼったくられた気分だな・・・」

「だから言ったじゃない。やめといた方がいいって」


チョコに言われ本当にそうだと思う。やめとけと言われたのだが、せっかくなので一枚欲しかったのだ。


「チョコさんは地図を持ってないのですか?」

「ないわ、必要ないから。街道を通れば次の街に行けるからね。街道を通らない人は有ったほうがいいかもしれないけど」


なるほど。それは分かったが、皆、何故俺を見るんだ?。

俺だって街道は通るぞ。


『アンタ絶対寄り道するやろ』

「しますね。絶対」

「フウも絶対すると思う」


うーむ・・、この決め付け。まぁそういわれると寄り道しそうな気はする。

けど絶対じゃないからな。


「・・まぁススムがどうかは知らないけど、いろんな所に行くのであればあって損はないわね。ちなみに次は何処行くの?」


次か・・・。

まだ何も決めていない。次の街に行ってもいいし、その辺の行ってない所をウロチョロしてみたい気もする。

まぁとりあえず街の探索が最優先だけどね。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 




「ここが、この街の市場ね。魔物の素材から食材まで売ってるわ。奥に行けば屋台があるから食べ歩きはそこでね」


チョコに案内され、街の中を歩き回って2時間ほどたった。今はこの街唯一の市場に来ている。街の中心にあり、生活に必要なものは全てここで手に入るらしい。


先にチョコのお勧めポイントを回ったのだが、俺からすると軒並み普通だった。

街自体がそれほど大きくないので、有名なスポットなどは特に無いらしく、お勧めと言っても見晴らしがいいとかばかりなんだそうだ。ただヨーロッパのような街並みのお陰で新鮮ではあったけどね。


「ススムさん。これとか見て下さい。私も見た事無い果物が置いてますよ!」

「ああ、うん、そうだな。欲しいのあったら言ってくれ。買ってくから」

「本当ですか!?。じゃあこれと、これも、あ、あれも買ってください!」


テンションの上がっているナギは片っ端から購入していく。全部は持てないのでセリの収納空間に放り込みつつ、お金を払う。

市場を抜ける頃にはレギュラー・アリゲーター1匹分のお金が無くなっていた。


「さすがに使いすぎよ」

「うん、俺もそう思う・・」

「おじちゃん大丈夫?」


購入した張本人は気付いてないみたいだけど・・・。

このままナギに任せると後で食べ歩きするお金がなくなりそうだ。フウですら気にしている。


「あ、服です!。ちょっと見てきて良いですか?」


そう言って答えを聞かずに行ってしまう。

しまった!、服が残ってた。残金は大丈夫なのだろうか?。


「なぁ、服って高いか?」

「高いわよ。物によるけどね」


うっ・・・、やっぱりか。どの世界でも女性の服は高い。

それにしても、ナギのあの状態はあれかな?


『あれやな。アリゲーターの皮渡した時にみたで!』

「やっぱり?、そうだよな」


どうやらテンションが上がりすぎて、欲望の歯止めが効かなくなっているようだ。このままだと残金0は確実だ。多少強引でも止めなくては。


「セリ、“毒牙”で眠らせることが出来るか?」

『出来るけど・・・。ええんか?』


よくはないけど・・・、仕方ないだろう。

最終手段だけどね。


「とりあえず一旦帰ろう。チョコ、フウちゃん。すまないけどナギを連れてくの手伝ってくれる?」

「仕方ないわね」

「分かったぁ」


2人はナギの元に行くとテンションMAXのナギを連れてくる。どうやら最終手段は使わなくて済みそうだ。

とりあえず落ち着くまで家に隔離しなければ。


「ススムさん?どうかしました?」


どうかしてるのはナギの方だけどな、とは言わず適当に言い訳して家に帰ってもらう。

ナギはちょっと渋っていたが、フウたちが上手いこと誘導してくれた。


ふぅ・・・、ナギにも困ったものだが、こうしてみると年相応に見える。15歳って中学?高校生くらいだろ?。近所の高校生たちを思い浮かべてみると、こっちが本性なのかもしれない。


普段の仕草を見ていると、違和感があるけどね。

普段もこんな感じでもいいんだが、特にわがままも言わないし、家事など率先してやってくれているが、もしかして無理させてしまってるのだろうか?。困ったりしてたら言ってくれても良いのに。


『言いにくいんとちゃうか?。ナギ達は居候やからな』

「そんなもんかなぁ・・・」


普段の対応から俺はそんな感じがしないんだけど、もしかしたらナギたちにとってはそうなのかな。

うーむ・・・どうにかできないものかな。


『それより・・・、いつなったら食べ歩きするん?』


それは俺も知らない。



この件、サラッと流しても良かったかも・・・

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