第45話 セリの特異性
仕事が忙しくて、なかなか考える時間が取れない・・
「はぁ・・・疲れた」
風呂に浸かり、体を伸ばす。
結局あの後、ナギとフウから色々聞かれ、言われ、釘を刺された。
フレイが来た経緯まで根掘り葉掘り聞かれたが、カイマンを紹介した時にある程度説明したはずなんだが・・・。
後、フレイと仲良くしちゃダメってフウに言われたけど何でだろう?
『そりゃ、嫌やからちゃうんか?』
湯船に浮いているセリ(ボールver)が言ってくる。機嫌が戻ってるのはお菓子を食べたからだ。
今、俺たちはお風呂にお菓子を持ち込んで食べている。
ナギに知られたら怒られそうだが関係ない。さっきまでに散々言われたので、今なら何言われても大丈夫だ。
多分・・・
「何が嫌なんだ?」
別に仲良くしてるつもりはないけど、嫌だと思われることはしたくない。
よく分からない俺にセリはやれやれと首を振った。
『ススムにとって、あの二人はなんや?』
なんやって言われても、考えたことない。そうだなぁ・・一緒に暮らしてるし家族のような感じはする。
まぁ年が離れてるので、娘みたいなもんだけど。
「せやろ?じゃあ父親が目の前で知らん女とベタベタしてたらどう思う?』
「知らん。よく分からないし」
俺にはちょっと想像できない。
ならと、セリは聞き方を変えてきた。
『じゃあススムの目の前でかわいい娘が、知らん男とベタベタしてたらどう思う?』
「・・・嫌だな。もしあったら男がこの世から消えてしまうしれない」
『・・・それはやりすぎや』
ちょっと想像しただけでイラッとくる。なんか娘を取られているみたいで嫌な感じがする。しかし何でこういう想像の時って相手がチャラくなってしまうのだろう。
『今回はそれが逆なだけや。二人にとってススムは親みたいなもんやし、フレイにススムを取られとうないんやろ』
『要は嫉妬やな』とセリは言う。
嫉妬ねぇ・・・。
本人達がどう思ってるか知らないが、セリがここまで自信満々に言うとそんな気がする。セリはなんだかんだ博識だし。
お菓子関係で馬鹿をやらしすぎだから時々忘れるけど。
「でもベタベタはしてないけどなぁ」
『・・・抱き合ってたくせによう言うわ』
いや、あれはあっちが勝手に抱きついてきただけであって、そんなつもりはないぞ。
まぁ、離さなかった俺も悪いけどさ。
抱きついてきた美人を離すスキルは俺にはない。俺も男なので・・・。
『それはわかっとるつもりやけど、二人の前ではあんまりせんほうがええで』
「う・・・分かったよ」
今後は注意しろよとセリが睨む。
「そういえばフレイで思い出したけどさ、セリの特異性って増えたのか?」
『ん?なんでや?』
「ほら、分散した力を吸収しただろ?それで特異性が増えてる、いや戻ってるって言ったほうがいいのか? まぁ追加されてるみたいなことを言ってたからさ」
『そんなこといってたかいな・・?』
フウに遊ばれてたから聞いてなかったのかもしれない。セリはまだ見ていないようだ。
ちょっと確認してみる。
名前 :セリ
種族 :ハイスカイサーペント
特異性 :心眼 鋼質化 収納 加速 身体強化 分身 念話 怪力 水泳 気配察知 結界 保護色 毒牙 風生成 雷生成 水生成 顕現
「おお、結構増えてるな」
『ほんまか!?ウチにも送ってや』
ペアのリンクを介してセリに送る。見れたのか『よっしゃ』と喜んでた。
力が戻って嬉しいのだろう。
「ん?種族がハイスカイサーペントに変わってるな」
『進化したからやろうな。ウチの場合は戻ったというべきやけど。フレイが力を抜き取る前は最終進化までしとったんやけど、抜き取られたときに最初の種族まで下がってしもたしなぁ』
「なら、全部回収すると最終進化まで戻るってことか・・・」
それは絵本のモデルになったあの状態に戻るということだが、大丈夫なのだろうか。戻った瞬間暴れだしたりしないよな?
『それはせぇへん。今はもうあの時もなんでそんな暴れたんかもよう分からんねや。あの時も人間になんかされたんは覚えてたから攻撃してたんやけど・・・。何されたかは覚えてへん』
・・・・しないって言ってるし、今は信じておこう。
暴れだしたら止められないしフレイ辺りが何とかするだろう。
俺は気にしないようにしてスマホを見る。
一応防水性だからお風呂にも持ち込めるのだ。湯船に落としても多分大丈夫、のはず。
さっき貰った特異性一覧のアプリを起動する。
これで色々な特異性を調べることが出来る。まずはためしに自分の"旅の宿”を検索してみた。
〈該当ありません〉
あれ? 引っかからない、特殊すぎてないのかな。
今度は"過去視"を調べる
〈該当ありません〉
これも?? 最初から持ってた"旅の宿"は分かるが、"過去視"もだめらしい。
持ってるやつは出ないのかなと思い"光生成"を検索してみる。
普通にヒットした。どうやらそんなことはないようだ。
「全部は見れないみたいだな・・・」
まぁ見れないものは仕方ない、見れる特異性は多いので気にしないでおこう。
今回増えたセリの特異性を調べてみる。
怪力
自身の力が上がる。使用する力の強さによって身体への負荷が上昇する。上限はない。
水泳
泳ぐ事が出来る。
気配察知
魔石を感知することにより、自身の周囲の魔物を察知する事が出来る。ただし魔石が一定以下の大きさには反応しない。
結界
自身、対象を中心に物理障壁を展開する。精神に作用する効果は防げない。
水生成
一定範囲内に水を作り操る事が可能。
顕現
使用者本来の姿に戻る。
一通り見てみたが大体思った通りの効果だった。
“水泳”だけそのまんまだったけど。この世界って“水泳”持ってないと泳げないのか?
『そんなことないで。これを持ってると本来泳げん奴が泳げるようになるし、泳ぐスピードも上がる。一応意味はあるで、一応な』
ないよりあったほうがマシってレベルらしい。特異性って特殊能力ぽいのが多いけど、こうやってみるとしょうもないのも多い。せっかく貰えた特異性が“水泳”だったら悲しいな。泳ぐ練習は要らないけど。
『他になんか面白いのないんか?』
セリがスマホの画面を覗いて来る。
ぱっと見た限りでは面白そうなのがないな。フレイはなんでもいいって言ってたしじっくり見て考えよう。
俺たちは長々と風呂で特異性を見続け・・・のぼせた。
勿論ナギには怒られた。
特異性は思いつきで書いてます。なのでたまに矛盾するかもしれません・・・




