表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エイリアンズゲーミング  作者: 春木千明
フリークダンス杯 VSペロリスト編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
77/78

第75話【VSペロリスト25 世界で最も美しいプレイ】

 アルファリンクスの元プロであるリッカーは、そのプレイを大いに喜んだ。

 自身が最も好きなスーパープレイを、自分達の手で再現できたことを誇りに思った。


 実況のジャックナイフタムラは、その光景に声を抑えることができなかった。

 最も美しいセットプレーを、まさかこのコミュニティ大会で拝めると思っていなかったからだ。


 解説の梅木は嬉しさを感じつつ、涙をこらえてその光景を見ていた。

(あぁ、これだ。これが見たかった。本当に長かった……段々と、日本コミュニティのレベルが上がり始めているのはわかっていた。だけど、まだ、あと一歩、何かが足りないとずっと思っていた……)


 日本は元々ゲームを家庭用ゲーム機(コンシューマー)でプレイする層が多く、それは日本国産ゲーム会社の存在がある。

 歴史的に遡ってみると、海外ではOSの開発に躍起になっていた際も、パソコンでゲームをする層がいた。そのため海外のゲーム開発の基本はパソコンであったのに対し、日本では一般価格で手軽に家庭へ普及できるようにとゲーム機の作成が行われた。


 RPG系ゲームやアクションゲームの作りは洗練されていて、シンプルで直感的な操作ができる点が素晴らしいと誇れるだろう。

 対戦系ゲームの導入は格闘ゲームが先駆けとなるが、シューター系が発展するまではかなり遅かった。


 日本人にとってのゲームは、一人でも遊べるように設計されたものが多く、他者と何かを比べたりするようなものではなかったからだ。

 そもそも日本人は誰かと競い合う、という行為自体が苦手だ。

 全員平等に、出る杭は打たれ、臭い物には蓋をする、そんな国民性だ。

 だからゲームをプレイする側のものでさえ、楽しむためにプレイをし、勝ち負けをこだわったりしない。


 強い選手が生まれるのは常に競争の中だ。

 誰かに勝ちたい。一番になりたい。もっと上手くなりたいという想いがぶつかり合わなければいけない。

 レベルの高いプレイヤーが育ち、そのプレイヤー達を追い越そうとする循環が必要だ。


 だがそれは同時に、人の流入に制限をかけてしまう。

 ゲームであろうと、スポーツであろうと始まりは些細な『楽しさ』を探すところから始まる。

 楽しくない環境へ、多くの人は入っていこうと思わないからだ。


 楽しみたいという感情と、勝ちたいという感情。

 どちらか一方ではスポーツが成り立たないが、多くの人はこの二つを両立させることができない。


 唯一、その二つを繋ぐものが、感動だ。

 それが、ずっと梅木の欲していたものだった。


 見る者の胸を焼き焦がし、憧憬を脳裏に刻み付ける。

 感動こそが、楽しむ者と競う者の二つを繋ぎとめてくれる。


 憧れた誰かのようになりたい。

 あの光景のように自由に戦場を駆けて行きたい。

 ヒリつく勝負に身を委ねたい。

 ただ自分の限界を知りたい。

 唯一この世界でなら、誰とでも対等でいられるかもしれない。


 そう思えるきっかけが、ずっと必要だと思っていた。


(あーヤバイ。マジで、なんか……いろいろ込み上げてきて泣きそう。でもまだ仕事中だから、泣いちゃいけねえ……)

 梅木もアルファリンクス時代の元プロだ。

 訳あって廃れてしまったプロリーグの大会と、離れていくプレイヤー達を時代と共に見送ってきた一人だった。


 ランクを回しても見たことのある名前のプレイヤーばかりで、そのプレイヤー達も段々と見かけることが無くなってしまった寂しさを知っている。

 いつかまた、このゲームを面白いと思ってプレイしてくれる人が現れる。

 いつかまた、あの頃のような賑わいが返って来てくれるはず。

 そう信じて待っていた。


(くっそ……ゲーム辞めなくてよかった……!)

 ずっと望んでいた瞬間が、遂に訪れた。

 梅木の願いは確信に変わった。今日からまた、このゲームは世界一面白いゲームとして盛り上がっていくだろうと。


「だーはっはっは! ナイスウォーカー! やはりオツムの出来が違ったみたいだな。IGLの格の違いをぶち込んこんでやったぜ!」

 この機を逃すまいと、急遽本配信ではエイリアンズのボイスチャット出力レベルを最低レベルまで引き下げた。


 エイリアンズ第一チェックポイント制圧完了。

 今大会最速記録であった。


 第二チェックポイントへと進行をする前、一部メンバーはキャラクター変更を行った。

「さて。ここからはリッカーの正面ファイトで前線を下がらせながら、サイドに展開してくる奴らを俺とウォーカーでしばくぞ。基本的にリッカーのシールドでヒールをカットするから、こっち迄もぐりこんでくるバカがいたら餌だから食べちゃえ。メイはネコと一緒にバックラインからリッカーのカバー。基本的に何も起きてないときは相手のパラディン撃って盾割りを狙ってくれ」

「オーケイ」と全員が応えて、キャラクターピックの変更が完了した。


リッカー  :TANK (パラディン)

メイ    :DPS1 (ブギーマン →ガンマン)

ウォーカー :DPS2 (ホワイトウィング →ニンジャ)

アカリ   :SUP1 (フロッガー)

ネコプライド:SUP2 (ブレイヴ →ホークアイ)


 護送車が出現し、中央道を動き始めた。

 第二チェックポイント占領戦が始まる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ