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こども のりもの図鑑  作者: きんかん


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9/10

【カリガ級 中型救難船】

【カリガ級《きゅう》ってなに?】


宇宙《うちゅう》で事故《じこ》が起《お》きた!


そんなとき、サルースのような救難用《きゅうなんよう》クアドリガが、すばやく事故現場《じこげんば》へ向《む》かいます。


遭難船《そうなんせん》へ近《ちか》づく。


船体《せんたい》につかまる。


こわれた場所《ばしょ》を調《しら》べる。


必要《ひつよう》なら、人《ひと》を助《たす》け出《だ》す。


少人数《しょうにんずう》の救難《きゅうなん》なら、これだけで解決《かいけつ》できることもあります。


でも――


けがをした人《ひと》が、十人《じゅうにん》も二十人《にじゅうにん》もいたら?


大《おお》きな工具《こうぐ》を持《も》った専門救難隊《せんもんきゅうなんたい》が必要《ひつよう》だったら?


助《たす》け出《だ》した人《ひと》を、その場《ば》ですぐ治療《ちりょう》しなければならなかったら?


そんなときに出動《しゅつどう》するのが、


【CALIGA/カリガ】級《きゅう》中型救難船《ちゅうがたきゅうなんせん》です!



【カリガ級《きゅう》のスペック】

名称:カリガ級

分類:中型救難船

運用:MRSS

全長:約60m

乾燥質量:約520t

標準救難任務時質量:約650t

主機関総推力:約1.5MN

通常質量時最大加速度:約0.24G

船体形式:直方体型作業船

前部:約10m 大型ドッキングポート兼エアロック区画

中央部:約30m 乗員区画・専門救難設備・要救助者一時収容区画

後部:約20m 主推進・発電・冷却・推進剤系機関区

クアドリガ連結部:左右各1基、計2機

傷病者標準収容:約24名

主要設備:大型ドッキングポート、上下デブリシールド、船体開口・工作機材、仮設与圧接続設備、生命維持支援資材、医療設備

主用途:多数傷病者救難、専門救難隊輸送、前線救護、応急処置、状態安定化、医療拠点への搬送



【どうして箱《はこ》みたいな形《かたち》なの?】


カリガ級《きゅう》は、細長《ほそなが》くて流線形《りゅうせんけい》の宇宙船《うちゅうせん》ではありません。


だいたい、


箱《はこ》です。


もちろん、本当《ほんとう》の四角《しかく》い箱《はこ》ではありませんが、船体《せんたい》は全体《ぜんたい》として直方体《ちょくほうたい》に近《ちか》い形《かたち》をしています。


宇宙《うちゅう》には空気《くうき》がほとんどないので、大気中《たいきちゅう》を飛《と》ぶ飛行機《ひこうき》のように、空気抵抗《くうきていこう》を小《ちい》さくするための形《かたち》にする必要《ひつよう》はありません。


それよりカリガ級《きゅう》では、人《ひと》を運《はこ》ぶ場所《ばしょ》、医療機材《いりょうきざい》を置《お》く場所《ばしょ》、救難工具《きゅうなんこうぐ》を積《つ》む場所《ばしょ》、担架《たんか》を動《うご》かす通路《つうろ》などを使《つか》いやすく配置《はいち》することのほうが大切《たいせつ》です。


だから、


箱《はこ》。


とても分《わ》かりやすいですね!



【なかをみてみよう!】


カリガ級《きゅう》は、全長《ぜんちょう》およそ60m。


大《おお》きく三《みっ》つの部分《ぶぶん》に分《わ》かれています。


船首側《せんしゅがわ》のおよそ10mには、大型《おおがた》ドッキングポートとエアロックがあります。


中央部《ちゅうおうぶ》のおよそ30mには、乗員区画《じょういんくかく》、専門救難設備《せんもんきゅうなんせつび》、医療設備《いりょうせつび》、そして助《たす》け出《だ》した人《ひと》を収容《しゅうよう》する区画《くかく》があります。


船尾側《せんびがわ》のおよそ20mには、主推進器《しゅすいしんき》、発電設備《はつでんせつび》、冷却設備《れいきゃくせつび》、推進剤《すいしんざい》など、船《ふね》を動《うご》かすための機械《きかい》が集《あつ》められています。


前《まえ》は、


「助《たす》けるための入口《いりぐち》」。


真《ま》ん中《なか》は、


「人《ひと》を助《たす》ける場所《ばしょ》」。


後《うし》ろは、


「船《ふね》を動《うご》かす場所《ばしょ》」。


役割《やくわり》が、とてもはっきり分《わ》かれているんだね!



【船首《せんしゅ》が開《ひら》く!】


カリガ級《きゅう》の正面《しょうめん》には、大《おお》きなドッキングポートがあります。


事故船《じこせん》へ直接《ちょくせつ》つながり、救難隊員《きゅうなんたいいん》や担架《たんか》を通《とお》すための入口《いりぐち》です。


でも、普段《ふだん》はむき出《だ》しになっていません。


ドッキングポートの前《まえ》には、上《うえ》と下《した》に一枚《いちまい》ずつ、厚《あつ》いデブリシールドがあります。


閉《と》じているときは、大《おお》きな二枚《にまい》の板《いた》が船首《せんしゅ》を守《まも》っています。


接舷《せつげん》するときには、上側《うわがわ》のシールドが上《うえ》へ、下側《したがわ》のシールドが下《した》へ退避《たいひ》します。


すると――


中《なか》から、大型《おおがた》ドッキングポートが現《あらわ》れます!


閉《と》じているときは、事故現場《じこげんば》の破片《はへん》から大切《たいせつ》な接舷設備《せつげんせつび》を守《まも》る。


使《つか》うときだけ、大《おお》きく開《ひら》く。


救難船《きゅうなんせん》らしい仕組《しく》みです。



【ここがすごい!】


クアドリガを二機《にき》、つれていける!


カリガ級《きゅう》の左右《さゆう》には、クアドリガを一機《いっき》ずつ取《と》りつけるための連結部《れんけつぶ》があります。


つまり、


左右《さゆう》あわせて二機《にき》!


たとえば、


右側《みぎがわ》にグラディヴス。


左側《ひだりがわ》にサルースC。


という組《く》み合《あ》わせで飛《と》ぶこともできます。


現場《げんば》まで運《はこ》ばれているあいだ、クアドリガは自分《じぶん》だけで長距離《ちょうきょり》を飛《と》び続《つづ》ける必要《ひつよう》がありません。


そのぶん、推進剤《すいしんざい》、電力《でんりょく》、そして熱《ねつ》の余裕《よゆう》を、事故現場《じこげんば》で使《つか》うために残《のこ》しておくことができます。



【でも、くっついているだけじゃない!】


急《いそ》いで事故現場《じこげんば》へ向《む》かうときには、連結《れんけつ》したクアドリガの推進器《すいしんき》も使《つか》うことができます。


クアドリガの推進方向《すいしんほうこう》をカリガ級《きゅう》の船体軸《せんたいじく》へ合《あ》わせ、カリガ自身《じしん》の主推進器《しゅすいしんき》と左右《さゆう》に連結《れんけつ》した二機《にき》のクアドリガ、その三者《さんしゃ》の力《ちから》を合《あ》わせて加速《かそく》します。


ただ運《はこ》んでいるだけではありません。


必要《ひつよう》なら、


いっしょに押《お》してもらうのです!



【火星工学《かせいこうがく》メモ①】


カリガ級《きゅう》は、どのくらい加速《かそく》できる?


標準救難任務時《ひょうじゅんきゅうなんにんむじ》のカリガ級《きゅう》を、およそ650tとします。


主推進器《しゅすいしんき》の総推力《そうすいりょく》は、およそ1.5MN。


まず、標準救難任務時質量《ひょうじゅんきゅうなんにんむじしつりょう》650tを、そのまま使《つか》って計算《けいさん》してみましょう。


650tは、


650,000kg。


1.5MNは、


1,500,000N。


加速度《かそくど》は、


a = F ÷ m


なので、


1,500,000 ÷ 650,000


≒ 2.31m/s²。


地球《ちきゅう》の標準重力加速度《ひょうじゅんじゅうりょくかそくど》を約《やく》9.8m/s²とすると、


2.31 ÷ 9.8


≒ 0.24。


つまり、


約《やく》0.24G!


カリガ級《きゅう》は、救難隊《きゅうなんたい》や医療設備《いりょうせつび》をたくさん積《つ》んだ大《おお》きな船《ふね》ですが、それでも自力《じりき》でしっかり加速《かそく》することができます。



【クアドリガが手伝《てつだ》うと?】


では、


カリガ級《きゅう》にグラディヴスとサルースCが連結《れんけつ》され、三者《さんしゃ》がいっしょに加速《かそく》するときは、どうなるでしょう?


大切《たいせつ》なのは、


「三機《さんき》の最大推力《さいだいすいりょく》を、そのまま足《た》せばよい」


というわけではないことです。


グラディヴスとサルースCでは、機体《きたい》の質量《しつりょう》も、MMRの使《つか》い方《かた》も、必要《ひつよう》になる推力配分《すいりょくはいぶん》も同《おな》じではありません。


しかも、左右《さゆう》に連結《れんけつ》された二機《にき》がばらばらに押《お》してしまうと、カリガ級《きゅう》の船体《せんたい》へ余計《よけい》な回転《かいてん》の力《ちから》がかかってしまいます。


そこで、


カリガ級《きゅう》の主推進器《しゅすいしんき》と、左右《さゆう》のクアドリガの推進器《すいしんき》を、ひとつの救難編成《きゅうなんへんせい》としてまとめて制御《せいぎょ》します。


推進方向《すいしんほうこう》を船体軸《せんたいじく》へそろえ、機体《きたい》ごとの状態《じょうたい》や連結位置《れんけついち》を見《み》ながら、編成全体《へんせいぜんたい》がまっすぐ安定《あんてい》して加速《かそく》できるように推力《すいりょく》を配分《はいぶん》するのです。


だから、


グラディヴスがいつも全力《ぜんりょく》で押《お》すわけでもありません。


サルースCがいつも最大推力《さいだいすいりょく》を出《だ》すわけでもありません。


組《く》み合《あ》わせる機体《きたい》、MMRの状態《じょうたい》、推進剤《すいしんざい》や熱《ねつ》の余裕《よゆう》、そして事故現場《じこげんば》へ着《つ》いてから必要《ひつよう》になる仕事《しごと》によって、使《つか》う推力《すいりょく》は変《か》わります。


そのため、連結時《れんけつじ》の加速度《かそくど》は、いつでも同《おな》じひとつの数字《すうじ》になるわけではありません。


でも、


カリガ級《きゅう》だけで飛《と》ぶよりも、必要《ひつよう》なときには左右《さゆう》のクアドリガにも加速《かそく》を手伝《てつだ》ってもらえる。


これが、カリガ級《きゅう》の大《おお》きな強《つよ》みです!



【じゃあ、ずっと全力《ぜんりょく》で押《お》してもらおう!】


……とはいきません。


グラディヴスもサルースCも、事故現場《じこげんば》へ着《つ》いてから仕事《しごと》があります。


事故船《じこせん》へ近《ちか》づく。


船体《せんたい》につかまる。


回転《かいてん》を抑《おさ》える。


船外作業《せんがいさぎょう》をする。


そのためには、推進剤《すいしんざい》も、電力《でんりょく》も、熱《ねつ》の余裕《よゆう》も残《のこ》しておかなければなりません。


行《い》く途中《とちゅう》で全部《ぜんぶ》使《つか》ってしまったら、


現場《げんば》へ着《つ》いてから働《はたら》けません。


だから、


「いま速《はや》く飛《と》ぶこと」


と、


「現場《げんば》で働《はたら》ける余裕《よゆう》を残《のこ》すこと」


の両方《りょうほう》を考《かんが》えて、三機《さんき》の推力《すいりょく》を配分《はいぶん》します。


救難《きゅうなん》では、


到着《とうちゃく》した瞬間《しゅんかん》が仕事《しごと》の終《お》わりではないのです。



【事故現場《じこげんば》へ着《つ》いたら?】


事故現場《じこげんば》へ近《ちか》づくと、左右《さゆう》のクアドリガが分離《ぶんり》します。


クアドリガは先《さき》に事故船《じこせん》へ近《ちか》づき、船体《せんたい》の状態《じょうたい》を調《しら》べたり、回転《かいてん》を抑《おさ》えたり、作業《さぎょう》するための場所《ばしょ》を確保《かくほ》したりします。


そのあいだ、カリガ級《きゅう》は少《すこ》し離《はな》れた場所《ばしょ》で待機《たいき》します。


大《おお》きなカリガが、動《うご》きの分《わ》からない事故船《じこせん》へいきなり近《ちか》づくと危険《きけん》だからです。


そして、


「いまなら入《はい》れる!」


という状態《じょうたい》になってから、事故船《じこせん》へ接近《せっきん》します。



【完全《かんぜん》に止《と》まっていなくても、くっつける?】


できます。


ただし、


とても慎重《しんちょう》に行《おこな》います。


宇宙船《うちゅうせん》どうしが接舷《せつげん》するときに大切《たいせつ》なのは、宇宙全体《うちゅうぜんたい》から見《み》て止《と》まっていることではありません。


相手《あいて》との動《うご》きの差《さ》を小《ちい》さくすることです。


事故船《じこせん》が少《すこ》し横《よこ》へ動《うご》いているなら、カリガも同《おな》じように動《うご》きます。


事故船《じこせん》の接舷口《せつげんこう》が動《うご》いているなら、その動《うご》きへ船首《せんしゅ》を合《あ》わせます。


触《ふ》れる瞬間《しゅんかん》に二隻《にせき》の動《うご》きがほとんど同《おな》じなら、大《おお》きな衝撃《しょうげき》を出《だ》さずに接舷《せつげん》することができます。



【火星工学《かせいこうがく》メモ②】


回《まわ》っている船《ふね》の接舷口《せつげんこう》は、どのくらい動《うご》く?


回転《かいてん》している物体《ぶったい》では、中心《ちゅうしん》から遠《とお》い場所《ばしょ》ほど、大《おお》きな円《えん》を描《えが》いて動《うご》きます。


回転《かいてん》の角速度《かくそくど》をω、


回転中心《かいてんちゅうしん》から接舷口《せつげんこう》までの距離《きょり》をrとすると、


接舷口《せつげんこう》の速《はや》さvは、


v = ωr


で表《あらわ》すことができます。


つまり、


同《おな》じ速《はや》さで回《まわ》っている船《ふね》でも、回転中心《かいてんちゅうしん》から遠《とお》い接舷口《せつげんこう》ほど速《はや》く動《うご》きます。


大《おお》きな船《ふね》へ接舷《せつげん》するのがむずかしい理由《りゆう》のひとつです。



【カリガは救急車《きゅうきゅうしゃ》?】


そうです。


でも、


それだけではありません。


カリガ級《きゅう》の中央部《ちゅうおうぶ》には、助《たす》け出《だ》した人《ひと》を収容《しゅうよう》するための区画《くかく》と医療設備《いりょうせつび》があります。


標準《ひょうじゅん》では、およそ24人《にじゅうよにん》の傷病者《しょうびょうしゃ》を収容《しゅうよう》できます。


事故船《じこせん》から人《ひと》を出《だ》したら、


状態《じょうたい》を調《しら》べる。


けがの重《おも》さを判断《はんだん》する。


必要《ひつよう》な処置《しょち》をする。


状態《じょうたい》を安定《あんてい》させる。


そして、医療拠点《いりょうきょてん》へ運《はこ》びます。


つまりカリガ級《きゅう》は、


救急車《きゅうきゅうしゃ》であり、


救難隊《きゅうなんたい》の輸送船《ゆそうせん》であり、


事故現場《じこげんば》のすぐ近《ちか》くへ持《も》っていける小《ちい》さな救急処置室《きゅうきゅうしょちしつ》でもあるのです。



【助《たす》けたら、全速力《ぜんそくりょく》で病院《びょういん》へ!】


……とは限《かぎ》りません。


けがをした人《ひと》を乗《の》せているとき、


宇宙船《うちゅうせん》が出《だ》せる最大加速度《さいだいかそくど》と、


実際《じっさい》に出《だ》してよい加速度《かそくど》は、


同《おな》じではありません。


患者《かんじゃ》の体《からだ》には、加速《かそく》するときの力《ちから》がかかります。


しかも、大切《たいせつ》なのは力《ちから》の大《おお》きさだけではありません。


どちらの方向《ほうこう》から力《ちから》がかかるのか。


途中《とちゅう》で方向《ほうこう》が変《か》わるのか。


急《きゅう》に強《つよ》くなるのか。


何分《なんぷん》続《つづ》くのか。


こうしたことも考《かんが》えなくてはいけません。



【医療班《いりょうはん》が、飛《と》び方《かた》を決《き》める!?】


カリガ級《きゅう》では、患者《かんじゃ》を診《み》ている医療班《いりょうはん》が、


「いまは、この方向《ほうこう》ならここまで加速《かそく》してよい」


「横方向《よこほうこう》の力《ちから》は、これより小《ちい》さくする」


「しばらく姿勢《しせい》を変《か》えない」


といった条件《じょうけん》を操船側《そうせんがわ》へ伝《つた》えます。


操船担当《そうせんたんとう》は、その条件《じょうけん》を守《まも》ったまま、いちばん早《はや》く医療拠点《いりょうきょてん》へ着《つ》ける経路《けいろ》を考《かんが》えます。


患者《かんじゃ》の状態《じょうたい》が変《か》われば、使《つか》ってよい加速度《かそくど》も変《か》わります。


すると、


飛行計画《ひこうけいかく》も変《か》わります。


到着時刻《とうちゃくじこく》も変《か》わります。


救急搬送《きゅうきゅうはんそう》では、


「宇宙船《うちゅうせん》がどこまで飛《と》べるか」


ではなく、


「患者《かんじゃ》を安全《あんぜん》に運《はこ》べる範囲《はんい》で、どこまで速《はや》く飛《と》べるか」


が大切《たいせつ》なのです。



【一番《いちばん》短《みじか》い道《みち》が、一番《いちばん》早《はや》い?】


これも、


そうとは限《かぎ》りません。


たとえば短《みじか》い経路《けいろ》を使《つか》うために、途中《とちゅう》で船《ふね》を大《おお》きく回転《かいてん》させなければならないとします。


健康《けんこう》な人《ひと》だけなら、問題《もんだい》のない飛《と》び方《かた》かもしれません。


でも、頭《あたま》を強《つよ》く打《う》った人《ひと》や、体《からだ》の中《なか》で出血《しゅっけつ》している可能性《かのうせい》のある人《ひと》を治療《ちりょう》しながら運《はこ》んでいる場合《ばあい》はどうでしょう?


大《おお》きな姿勢変更《しせいへんこう》をしない、少《すこ》し遠回《とおまわ》りの経路《けいろ》なら、そのあとの区間《くかん》で、もっと大《おお》きく加速《かそく》できるかもしれません。


結果《けっか》として、


遠回《とおまわ》りしたほうが早《はや》く病院《びょういん》へ着《つ》くこともあります。


宇宙《うちゅう》の救急車《きゅうきゅうしゃ》では、


距離《きょり》だけを見《み》て道《みち》を決《き》めることはできないのです。



【サルースとは何《なに》がちがうの?】


サルースは、事故現場《じこげんば》へ最初《さいしょ》に飛《と》び込《こ》むことが得意《とくい》な救難機《きゅうなんき》です。


細《こま》かく動《うご》き、


事故船《じこせん》へつかまり、


人《ひと》を助《たす》け出《だ》します。


カリガ級《きゅう》は、もっとたくさんの人《ひと》と道具《どうぐ》を運《はこ》びます。


専門救難隊《せんもんきゅうなんたい》。


医療班《いりょうはん》。


大型工具《おおがたこうぐ》。


生命維持支援設備《せいめいいじしえんせつび》。


救助《きゅうじょ》した人《ひと》を治療《ちりょう》する場所《ばしょ》。


それらを、まとめて事故現場《じこげんば》へ持《も》っていきます。


サルースが、


「最初《さいしょ》に助《たす》けに行《い》く機械《きかい》」


なら、


カリガは、


「助《たす》け続《つづ》けるための場所《ばしょ》を運《はこ》んでくる船《ふね》」


なのです。



【くらべてみよう!】


サルース


→事故船《じこせん》へすばやく近《ちか》づき、直接《ちょくせつ》救助《きゅうじょ》する。



グラディヴス


→高《たか》い機動力《きどうりょく》と精密作業能力《せいみつさぎょうのうりょく》を使《つか》い、むずかしい場所《ばしょ》へ入《はい》って状況《じょうきょう》を変《か》える。



カリガ


→救難隊《きゅうなんたい》、医療班《いりょうはん》、設備《せつび》を運《はこ》び、助《たす》け出《だ》した人《ひと》を受《う》け取《と》って治療《ちりょう》しながら運《はこ》ぶ。



一機《いっき》ですべてをするのではありません。


事故船《じこせん》へ入《はい》る機械《きかい》。


事故船《じこせん》を支《ささ》える機械《きかい》。


人《ひと》を助《たす》け出《だ》す救難隊《きゅうなんたい》。


治療《ちりょう》する医療班《いりょうはん》。


そして、


その全部《ぜんぶ》を必要《ひつよう》な場所《ばしょ》へ運《はこ》ぶ救難船《きゅうなんせん》。


それぞれが、自分《じぶん》の得意《とくい》な仕事《しごと》をします。



【カリガ級《きゅう》は、すごくない?】


グラディヴスのような、とびぬけた加速性能《かそくせいのう》を見《み》せる試験機《しけんき》ではありません。


サルースのように、事故船《じこせん》のすぐ横《よこ》へ最初《さいしょ》に飛《と》び込《こ》んでいく機体《きたい》でもありません。


事故船《じこせん》から少《すこ》し離《はな》れたところで待《ま》っていることさえあります。


でも、


救難機《きゅうなんき》が人《ひと》を見《み》つけても、


助《たす》け出《だ》して終《お》わりではありません。


その人《ひと》を受《う》け取《と》る。


けがを調《しら》べる。


治療《ちりょう》する。


生《い》きたまま医療拠点《いりょうきょてん》へ届《とど》ける。


そこまで続《つづ》いて、


救難《きゅうなん》です。


カリガ級《きゅう》は、


宇宙《うちゅう》の事故現場《じこげんば》と病院《びょういん》のあいだをつなぐための救難船《きゅうなんせん》なのです。

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