【大型惑星間定期旅客貨物船 セカンド・ホライズン】
【セカンド・ホライズンってなにをするの?】
セカンド・ホライズンは、地球と火星のあいだを行き来する、とても大きな宇宙客船です!
たくさんの人と荷物をのせて、何週間もかけて宇宙を旅します。
船の前には、大きな二つの居住ドラムがあります。
この中には、客室だけではなく、レストランやラウンジ、病院、運動施設などもあります。
長い宇宙旅行のあいだも、乗客が快適にくらせるように作られているのです。
ただ人を運ぶだけではなく、
「宇宙を旅する時間そのものを、快適にすごすための船」
なんだね!
【セカンド・ホライズンのスペック】
名称:セカンド・ホライズン
分類:大型惑星間定期旅客貨物船
主要航路:地球圏―火星圏
全長:400~500m級
居住ドラム:直径約200m × 2基
居住ドラム通常回転数:約2rpm
居住ドラム人工重力:約0.45G
乾燥質量:約140,000t
標準航行質量:約180,000t
最大航行質量:約200,000t
主機関:AEドライブ
主機関総推力:約20MN
通常巡航加速度:約0.10m/s²(約0.01G)
旅客定員:約2,400名
乗員:約800名
通常最大乗船者:約3,200名
通常貨物搭載量:約20,000~30,000t
最大貨物搭載量:約30,000~40,000t級
地球―火星間標準所要時間:約3週間~1か月半
※惑星間距離や航路条件によって変わります。
【どうして大きな輪っかが二つあるの?】
宇宙では、ものを下へ引っぱる重力がほとんどありません。
でも、何週間も重力のない場所ですごすのは、人間の体にとってたいへんです。
そこでセカンド・ホライズンでは、大きな居住ドラムを回転させています。
ドラムの中にいる人は、回転によって外側へ押されます。
この力を利用すると、床のある生活空間を作ることができます。
セカンド・ホライズンの居住ドラムは、
半径 約100m
回転数 約2rpm
です。
回転による加速度は、
a = ω²r
で求められます。
この条件では、居住区に生じる人工重力は約0.45Gになります。
火星の重力より少し強く、地球よりは軽いんだね!
【どうして二つの輪っかは反対にまわるの?】
大きな居住ドラムを回すと、船にも回転しようとする力がはたらきます。
一つだけを回すと、中央船体まで反対方向へ回ろうとしてしまいます。
そこで、二つの居住ドラムを同じくらいの速さで、反対方向へ回します。
すると、それぞれの角運動量を、おたがいに打ち消すことができます。
そのため、乗客がいる居住ドラムは回っていても、船の中央部分は回転せずにすむのです。
二つとも回っているのに、船は回らない!
ふしぎだね!
【火星までどうやって飛ぶの?】
セカンド・ホライズンは、一気にものすごい速さまで加速する船ではありません。
通常巡航加速度は約0.10m/s²。
地球の重力のおよそ100分の1です。
でも、その小さな加速を何日も続けます。
航程の前半ではAEドライブで加速を続け、中間点の近くで船体の向きを反対にします。
そして後半は、目的地へ向かいながら減速します。
こうすることで、目的地へ着くころには、ちょうどよい速さまで戻ることができます。
地球と火星の距離はいつも同じではないので、旅行時間も変わります。
条件のよい便なら三週間ほど。
遠い時期には、一か月半ほどかかることもあります。
【どうして荷物をもっといっぱい積まないの?】
セカンド・ホライズンは、貨物もたくさん運びます。
でも、荷物を積めるだけ積む船ではありません。
船が重くなると、同じエンジンの力でも加速しにくくなります。
セカンド・ホライズンでは、まず乗客と乗員、水や食料などの必要物資、安全に航海するための余裕を確保します。
そのあとで、予定された巡航加速度と到着時間を守れる範囲まで貨物を積みます。
だから積むものも、
医薬品
精密機械
電子部品
急いで届けたい修理部品
など、早く運ぶことに価値のある荷物が中心です。
旅客船は、時間も商品なんだね!
【もしこわれたら?】
大きな宇宙船でも、事故は起こります。
セカンド・ホライズンは、火星へ向かう航海中、未登録のデブリ群と衝突したことがあります。
デブリは船の中心ではなく、中央貨物区画を斜めに通過しました。
中心からずれた場所へ大きな力が加わったため、船体には回転する力が生じました。
さらに、壊れた配管から噴き出すガスや、生き残った姿勢制御器の力が加わり、船体は複雑な回転を始めました。
外部接舷口は、宇宙空間に直径数百メートルの円を描くように動いていました。
この事故船へ接近したのが、救難作業宇宙船サルースAです。
サルースAは船体の回転周期を観測し、四本の可動推進脚をそれぞれ別の方向へ噴射して、動く接舷口との相対速度を小さくしました。
そして――
回転する20万t級の宇宙船へ、直接とりついたのです!
【火星工学メモ】
20万tの船を、20MNで押すと?
セカンド・ホライズンの最大航行質量を約200,000t、
AEドライブの総推力を約20MNとします。
加速度は、
a = F ÷ m
なので、
20,000,000N ÷ 200,000,000kg
=
0.10m/s²
となります。
地球の標準重力加速度は約9.8m/s²なので、
約0.01G
です。
一秒では、ほとんど速くなったようには感じません。
でも一日続けると、速度は約8.6km/s増えます。
十日なら約86km/s。
小さな加速も、ずっと続ければ、とても大きな速さになるのです!
すごいね!




