【QR-12A サルース】
【サルースAってなにをするの?】
サルースAは、宇宙で事故にあった船や人を助けるための救難作業宇宙船です!
四本の大きな「あし」を上手に動かして、くるくる回る宇宙船にも近づくことができます。
あしの先にはエンジンや作業用の道具がついていて、事故船につかまったり、こわれた船体を切ったりすることもできます。
宇宙では、消防車も救急車も走ってくることができません。
だからサルースAが、宇宙の消防車と救急車になるのです!
【サルースAのスペック】
正式名称:QR-12A サルース
分類:第二世代クアドリガ型救難作業宇宙機
任務時質量:約160 t
推進器総推力:約600 kN
胴体主推進系:約300 kN
可動推進脚:約75 kN × 4基
可動推進脚数:4基
通常MMR作動率:50~60 %
最大MMR作動率:70~75 %
MMR非作動時最大加速度:約0.38 G
通常最大加速度:約0.8~1.0 G
短時間最大加速度:約1.3~1.5 G
主用途:遭難船救助、接舷、船外作業、損傷船処置、要救助者回収
主要作業装備:固定用アンカー、船殻切断装置ほか
熱制御方式:蓄熱・排熱カートリッジ併用式
慣性制御装置:MMR
【クアドリガってなに?】
クアドリガは、四本の大きな可動推進モジュールをもった宇宙船のなかまです!
ふつうの宇宙船は、船のうしろについている大きなエンジンを使って進みます。
そのため、進む方向を大きく変えるときには、まず宇宙船そのものの向きを変えなくてはいけません。
クアドリガはちがいます。
四本の推進モジュールを、それぞれ別の方向へ向けることができます。
だから――
前を向いたまま横へ動く!
回りながら別の方向へ進む!
相手の動きに合わせながら近づく!
といった、ふつうの宇宙船ではむずかしい動きができます。
しかも、この四本は飛ぶためだけのものではありません。
先にアンカーや工具をつければ、宇宙船につかまったり、こわれたところを直したりすることもできます。
推進器にもなって、作業用のうでにもなる。
それが、クアドリガのいちばん大きな特長です。
【どうしてあしが四本あるの?】
一本の大きなエンジンより、四本に分けたほうが、いろいろな方向へ動きやすくなります。
たとえば右へ動きたいとき。
クアドリガは、機体ぜんぶを右へ向けなくても、推進モジュールだけを動かすことができます。
機体を回したいときには、右側と左側の推進器をちがう方向へ向ければ、機体をその場で回転させることもできます。
救難作業では、もっと便利です。
二本で事故船につかまる。
一本で作業をする。
もう一本で機体を支える。
一本のモジュールに、ひとつだけの仕事が決められているわけではありません。
そのとき必要な仕事を、四本へ分けて行うことができるのです。
クアドリガが四本の「あし」をもっているのは、歩くためではありません。
宇宙で、いろいろな仕事をさせた結果、四本になったのです。
【MMRってなに?】
サルースAは、第二世代クアドリガです。
第二世代のクアドリガには、
MMR
という装置がついています。
MMRは、宇宙船や推進モジュールを動かすときの「重さ」を、一時的に小さくするための装置です。
おなじ力で押しても、動かすものが軽ければ、もっと速く動かせます。
サルースAのようなクアドリガには、大きな推進器や工具をつけた四本のモジュールがあります。
これをすばやく動かすのは、とてもたいへんです。
そこでMMRを使います。
MMRが働いているあいだは、機体やモジュールの有効慣性質量が小さくなり、おなじ推力でも、より大きく加速することができます。
でも、MMRは魔法ではありません。
使うには電気が必要です。
そして、たくさんの熱も出ます。
軽くすればするほど、いつでも便利!
……というわけではないのです。
【どうやって宇宙船をたすけるの?】
宇宙で事故をおこした船は、かならず止まっているとはかぎりません。
回っているかもしれません。
横へ流れているかもしれません。
その両方かもしれません。
そんな宇宙船へ、いきなりつかまることはできません。
まずサルースAは、事故船の動きを調べます。
つぎに四本の推進モジュールを動かしながら、
事故船とおなじ方向へ、おなじ速さで動きます。
これを速度同調といいます。
サルースAから見て、事故船がほとんど止まって見えるところまで動きを合わせたら、ゆっくり近づきます。
そして――
アンカーを打つ!
機体を固定する!
事故船の動きに合わせて推進器を使う!
切断装置で救助するための入口をつくる!
サルースAは、飛んで終わりの宇宙船ではありません。
近づいて、つかまって、作業をするところまでが仕事なのです。
【火星工学メモ】
宇宙船は、いくつの方向へ動けるの?
宇宙空間を飛ぶ物体には、大きく分けて六つの動きがあります。
まず、場所を変える動き。
前後。
左右。
上下。
これを並進3自由度といいます。
つぎに、向きを変える動き。
左右へ首を振るヨー。
上下へ首を振るピッチ。
機体そのものを横へ転がすロール。
これを回転3自由度といいます。
あわせて――
6自由度!
宇宙船は、この六つを組み合わせながら飛んでいます。
クアドリガでは、四本の推進モジュールの向きと推力をそれぞれ変えることで、機体を進ませる力と、機体を回す力を同時につくります。
たとえばサルースAが、船首を事故船へ向けたまま横へ滑り、さらに事故船の回転へ合わせて姿勢を変えるとき。
四本の推進器は、すべておなじ方向へ噴射しているわけではありません。
機体を横へ動かすための推力と、機体を回転させるためのモーメントを同時につくるように、それぞれ別の方向と出力で働いています。
このとき必要な各推進器の推力を求めるには、機体の質量、重心位置、各推進器の位置と推力方向、目標加速度、目標角加速度などから、並進力と回転モーメントが要求値を満たすよう推力配分を計算します。
四本のエンジンを、じょうずに動かしているんだね!




