表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リナの冒険ノート2  作者: リナ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
9/93

リナ、友情の再確認

**20xx年6月10日(月曜日) 高校1年生**

**朝**


今週も雨だった。


傘を差しながら駅へ向かう。


先週から、咲希ちゃんとの関係がぎくしゃくしている。


文化祭の演目決定以来、なんとなく距離を感じる。


「今日こそ、ちゃんと話そう」


そう決めていた。


電車の中で咲希ちゃんを探したけど、見当たらない。


いつもの車両にいない。


「避けられてるのかな」


不安が胸を締め付けた。


学校に着いた。


教室で咲希ちゃんの席を見る。


まだ来ていない。


私は自分の席に座った。


**午前**


1時間目の授業が始まる直前に、咲希ちゃんが教室に入ってきた。


私と目が合った瞬間、咲希ちゃんは視線を逸らした。


「やっぱり」


胸が痛くなった。


授業中、何度か咲希ちゃんの方を見た。


でも、一度も目が合わなかった。


休み時間、声をかけようとした。


「咲希ちゃん...」


「ごめん、図書室に行くから」


そう言って、咲希ちゃんは足早に教室を出ていった。


「あ...」


追いかけようと思ったけど、できなかった。


**昼**


お昼休み。


いつもなら咲希ちゃんと食べるお弁当を、一人で食べた。


味がしない。


「田中さん、一人?」


クラスメイトの山田さんが声をかけてくれた。


「うん...」


「良かったら、一緒に食べる?」


「ありがとう」


山田さんと何人かで、お弁当を食べた。


みんな、楽しそうに話している。


でも私は、心ここにあらずだった。


「田中さん、大丈夫?」


「ごめん。ちょっと考え事してて」


「演劇部の脚本のこと? すごいじゃない」


「ありがとう」


でも、嬉しくない。


咲希ちゃんがいないと、意味がない。


**午後**


放課後、演劇部。


咲希ちゃんも来ていた。


でも、私とは話さない。


「今日から、本格的に稽古を始めます」


山口先輩が言った。


「田中さんも、演出に参加してもらいます」


「はい」


立ち上がった。


配役の発表があった。


主役は佐藤先輩。


みんな、拍手している。


咲希ちゃんも拍手していた。


でも、なんだか機械的に見えた。


稽古が始まった。


私は演出として、意見を求められる。


「この場面、どう思う?」


佐藤先輩が聞いた。


「もう少し、感情を込めて...」


私の言葉を、みんなが聞いてくれる。


でも、咲希ちゃんだけは、そっぽを向いていた。


**夕方**


部活が終わった。


咲希ちゃんが、また先に帰ろうとする。


「咲希ちゃん、待って」


勇気を出して、声をかけた。


咲希ちゃんが振り返った。


「話がある」


「...何?」


冷たい声だった。


「二人で話したい」


「別に、話すことなんてないよ」


「ある。お願い」


しばらく睨み合った。


「...分かった」


咲希ちゃんが渋々頷いた。


二人で、屋上に向かった。


雨は止んでいた。


**夜**


屋上で、向き合って立った。


「咲希ちゃん、怒ってる?」


「怒ってなんかない」


でも、明らかに怒っていた。


「嘘だよ。先週から、私を避けてる」


「避けてない」


「避けてる。話もしてくれない」


咲希ちゃんが黙った。


「私の脚本が選ばれたから?」


「違う」


「じゃあ、何?」


「...」


咲希ちゃんが俯いた。


「ごめん。私の脚本が選ばれて、嬉しくないのは当然だと思う」


「リナは...」


「何?」


「リナは、私が悲しんでるって思ってるでしょ?」


「え?」


予想外の言葉だった。


「私が、嫉妬してるって思ってるでしょ?」


「...」


図星だった。


「それが、嫌だった」


咲希ちゃんの目に、涙が浮かんだ。


「私は、リナの友達として、嬉しかった。本当に」


「咲希ちゃん...」


「でも、リナが気を遣ってるのが分かって、それが辛かった」


「ごめん」


「私のことを、そんな小さな人間だと思ってたなんて」


涙が頬を伝った。


私も、涙が出てきた。


「違う。そんなつもりじゃない」


「じゃあ、何で気を遣うの?」


「分からない。でも、咲希ちゃんに悪いなって...」


「それが嫌なの!」


咲希ちゃんが叫んだ。


「私の気持ちを勝手に決めないで」


「ごめん...ごめん」


私も泣いていた。


二人で、泣いていた。


しばらく、そうしていた。


「リナ」


「何?」


「おめでとう。脚本が選ばれて」


咲希ちゃんが笑った。


涙を流しながら。


「ありがとう」


「今度は、心から言える」


「咲希ちゃん...」


「私たち、友達でしょ?」


「うん」


「だったら、もっと信じて」


「うん」


抱き合った。


温かかった。


「一緒に、いい舞台を作ろう」


「うん。絶対に」


友達って、こういうものなんだ。


そう思った。


家に帰った。


お母さんが「どうだった?」と聞いた。


「仲直りした」


「良かったわね」


「うん。咲希ちゃんは、いい子だった」


「最初から分かってたでしょ?」


「うん。でも、改めて思った」


今日は、大切なことを学んだ日だった。



## 後書き


**日記**


**20xx年6月10日(月曜日) 高校1年生 田中里奈**


今日、咲希ちゃんと話した。


喧嘩みたいになったけど、仲直りできた。


私が勘違いしていた。


咲希ちゃんは、私の脚本が選ばれたことを喜んでくれていた。


でも、私が気を遣っているのが嫌だった。


そういうことだった。


友達の気持ちを、勝手に決めちゃいけない。


そう学んだ。


咲希ちゃんは、私が思っていた以上に強くて、優しい子だった。


「私たち、友達でしょ?」


その言葉が、胸に響いた。


本当の友情って、こういうものなんだと思う。


お互いを信じること。


気を遣いすぎないこと。


素直な気持ちを伝えること。


今日から、また一緒に頑張れる。


文化祭の舞台も、みんなで作り上げよう。


咲希ちゃんがいてくれて、本当に良かった。


友達って、素晴らしい。


今度は、心から「どんな時でも笑顔で」いられそう。


咲希ちゃん、ありがとう。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ