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リナの冒険ノート2  作者: リナ


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77/93

リナ、日曜日をブロックで塗りつぶす

**20xx年7月19日(日曜日) 高校1年生**

**朝**


目が覚めて、天井を見ながら体の状態をざっくりチェックする。


(うん、今日は……けっこう軽いほう)


布団の中で、三点確認。


・足 → 起き上がってそのままキッチンまで余裕で行けそう。

・お腹 → ほぼ存在感なし。ときどき「先週バタバタしてたよね〜」って思い出程度に主張してくるくらい。

・頭 → ちゃんと起きてる。ふつうに日本語の文章が読めそうなレベル。


(これは、“元気デー(地面軽め+眠気ふつう)”だな)


ベッドの横に置いてある、赤い手帳を開く。


左のページに先週(月〜土)のブロック予定と、

横にちょこんと書かれた「◎」「△」「×」。


『7/13(月)

 6〜8:英語ワーク+復習 △

 20〜22:『二人の季節』+ストレッチ ◎』


『7/16(木)

 6〜8:理科ワーク ◎

 20〜22:英単語+ストレッチ △(眠気)』


(◎の日、多いの朝ブロックなんだよな……

 夜ブロック、普通に×まみれのときあるもん)


今日のページを開く。


『7/19(日)

 天気:晴れ/気温:暑い予定/体調:元気デー(地面軽め)』


その下に、今日のブロックを書き込む。


『8〜10:英語ワーク+数学見直し

 10〜12:理科ワーク(15min×2セット)

 14〜16:『二人の季節』夏の章

 20〜22:明日からの週間ブロック決め+ストレッチ』


(今日は“2時間ブロックで塗り絵する日曜日”ってことにしよ)


洗面所で顔を洗って、化粧水→乳液→日焼け止め。

鏡の前で、恒例の3秒自分チェック。


一、二、三。


(あ、先週より目の下のクマちょっとマシ。

 肌も、とりあえず大荒れしてないし。

 “夏休み前に顔面崩壊コース”ではない)


「今日は、“がんばれそう顔九割デー”認定でお願いします」


小声で宣言してから、前髪を整える。


手の甲には、細めのペンで小さく書く。


『2h+15min』


(2時間ブロックの中に、“十五分だけ本気枠”を一個入れる。

 全部を本気でやろうとすると、また木曜日みたいにバテるし)


---


**午前(8〜10時ブロック:英語+数学)**


朝ごはんは、蒸し器から出てきた温かいさつまいもと、

目玉焼きと、味噌汁。


「日曜だけど、テスト前だから“ちゃんと朝ごはん食べてから勉強強化週間”です」と母。


「ネーミング、強化週間のくせにちょっとゆるいんだよな」


そう言いながら、さつまいもを割る。

湯気の向こう側が、ちょっとだけオレンジに見える。


(今日のおやつ枠も、絶対さつまいも活躍するやつじゃん)


ごはんを食べて、

8〜10時ブロックスタート。


机の上に、英語ワークと数学のノートを並べる。

赤い手帳のすみっこに『8〜10:◎狙い』とちょっとだけ強気に書いた。


(まずは英語、30分。

 そのあと数学に移動して、

 9時半くらいから“15分本気枠”やる感じで)


そう決めて英語を解き始めたところで、

スマホがブルッと震えた。


画面には、クラスメイトからのメッセージ。


『ねえ、今ちょっといい?

 数学の証明ヤバすぎて死にそう。

 通話で教えてほしいレベル……』


(うっ……出た、“通話で教えて”案件)


手の甲の『2h+15min』が目に入る。

そして、頭の片すみにある、自分ルール。


(“5分以内で知識だけ”、

 “それ以上は先生とか他の人にバトン渡す”。

 ここで1時間コース入ったら、

 自分のブロック全部崩壊するやつ)


少しだけ息を吸って、

LINEのキーボードを開く。


『今8〜10で自分の勉強ブロック中だから、

 通話はむずい…!』


一瞬迷ってから、続ける。


『でも、その証明のとこ、

 ノートにまとめてるやつあるから、

 ポイントだけ写真送るのはできるよ』


数十秒後、返事。


『神…!通話無理なの了解!

 写真くれるだけでもめっちゃ助かる…!』


(通話断っても、“冷たい”ってわけじゃない感じの返事でちょっと救われた)


数学ノートをペラペラめくって、

その単元のページをスマホでパシャ。

図をなぞったり、

「ここだけ“ゴールから逆算する”って考えたほうが楽」と

自分で書いたメモが映るように撮る。


写真を送るときに、一言添える。


『この図の下の、“こうなるはず”ってとこから

 証明を組み立ててくと、ちょい楽かも。

 分かんなかったら、まずそこをマネしてみてー』


(これなら、5分以内でできる“知識シェア”って感じかな)


送信してから、スマホを伏せる。


(よし、自分ルール的にもギリセーフ)


時計を見ると、8時半をちょっと過ぎたくらい。


(英語に戻る。

 このブロックの“15分本気枠”、

 9時15分からにしよ)


英語ワークを区切りのいいところまで進めて、

9時15分。

スマホのタイマーを十五分にセット。


『英語長文15min本気』


スタートボタンを押す。


(今から十五分は、

 “集中してるフリ”じゃなくて、

 ほんとに集中する時間)


目の前の英文が、

さっきよりちょっとだけクリアに見えた。


---


**午前後半(10〜12時ブロック:理科)**


10時になって、ブロック切り替え。

赤い手帳の横に、小さい丸を描いて、

そこに『△』を書いておく。


(英語◎にしたかったけど、

 途中でLINE対応も挟んだし、

 “がんばったけどちょい崩れブロック”ってことで△)


理科ワークを机の中央にドンと置く。


(ここから12時までは理科タイム。

 でも、ひたすら解いてると絶対飽きるから、

 “15min本気枠”を二回に分けて入れる作戦で)


『10:10〜10:25 15min本気①

 11:05〜11:20 15min本気②』


手帳の今日のページに、小さく書き込む。


(ブロックの中にさらにミニブロック作ると、

 なんかゲームのステージ増やしたみたいで、

 ちょっと楽になる)


一回目の十五分で、

イオンのところを一気に攻める。

昨日、自習時間に説明したときの「磁石イメージ」を思い出しながら。


(人に説明したところって、

 自分も理解度上がるんだよな。

 あれ、けっこう得してるよね)


二回目の十五分では、

グラフ問題だけを集中的にやる。


タイマーが鳴った瞬間、

ペンを置いて、

ワークの端に小さくハナマルマークを描いた。


(十五分×2セットやったから、

 今日の理科ブロックは“◎寄りの△”ってことで)


---


**昼**


お昼ごはんは、

冷やしうどんに、

蒸した鶏むね肉ときゅうりとプチトマトを乗せたやつ。


「テスト前は“消化に優しい・でもタンパク質は削らない”がモットーです」と母。


「母、最近ちょいちょいスローガン風なんだよな」


「なんとなくノリで言ってるだけだから、あまり深く考えないように」


テーブル越しに、

父が新聞を折りたたみながら聞いてくる。


「勉強のほうはどうだ、計画どおり?」


「まあ、“2時間ブロックで、なんとかデーでも最低限やる作戦”にしてる」


「また新しい専門用語出てきたな」


「リナ流時間割ね」と母が笑う。


太一が、うどんをすすりながら言う。


「オレも午前中、“十五分だけ社会”やったよ。

 昨日の約束守った。えらい?」


「えらい。

 “十五分だけちゃんとやったら、堂々とゲームしていい権”のやつね」


(自分の工夫が、

 弟にもじわじわ浸透してるの、ちょっと楽しい)


---


**午後(14〜16時ブロック:『二人の季節』)**


お昼のあと、

少しだけソファで横になってから、

14〜16時ブロック開始。


机の上に、『二人の季節』用のノートと、

昨日図書室で見た『いつか行きたい、冬の街』を思い出しながら書いたメモを広げる。


(今日は、夏の章の“夕立のあと”のシーンを書きたい)


ペンを持って、ノートに書き始める。


> 「雨上がりの道を歩くたびに、

>  彼女は『今日の足の重さ』を確かめる。

>  その重さは、

>  その日、どれだけ夏と仲良くなれたかのメモみたいなものだった。」


(この前の“足の重さ=歩いた証拠”と、

 エッセイの“その街と仲良くなれた重さ”の、

 いいとこ取りしたやつ)


書いている途中で、

なんとなく集中がふっと切れる。


(あ、これ以上ダラダラ続けると、

 “なんとなく机にいるだけ”タイムになるやつ)


時計を見ると、14時40分。


手の甲の『2h+15min』を見て、

スマホのタイマーを手に取る。


「じゃあ、ここから十五分だけ“セリフタイム”」


声に出して宣言して、

十五分セット。


> 「ねえ、七月の空気ってさ」

>  彼女は言った。

> 「ただの“暑い”じゃなくて、

>  “今日も来たよ〜”って毎日顔出してくる知り合いみたいじゃない?」


(本からもらった感覚、

 自分の言葉に変えるの、

 ちょっとずつ上手くなってる気がする)


タイマーが鳴ったときには、

今日書きたかったセリフの塊はとりあえず形になっていた。


(2時間ブロック全部を完璧にはできないけど、

 “十五分本気枠”一個ちゃんと取ったなら、

 ◎あげてもいいでしょ)


赤い手帳の『14〜16:二人の季節』の横に、

小さく『◎(セリフ十五分本気)』と書き込む。


---


**夕方**


16時を過ぎたころ、

しろの散歩タイム。


外に出ると、

七月の空気は相変わらず重めだけど、

夕方の風がほんの少しだけマイルドだった。


(今日は“攻撃力控えめモード+セミ鳴き始め”って感じ)


しろが電柱の匂いを念入りにチェックしている間、

ふと、自分の将来のことを考える。


(いつか、自分の本が出て、

 それを読んだ誰かが、

 “今日ちょっとだけマシだったかも”って思ってくれたらいいな)


頭の中で、その「誰か」を勝手に設定してみる。

部屋で一人、ごろごろしながら本を読んでる高校生。

ページの端っこに、自分で小さくメモを書く子。


(“今日の自分もまあまあ悪くない”って、

 その子が思ってくれたら、

 それだけで相当勝ちなのでは)


でもすぐに、

現実の自分の足元に視点が戻る。

サンダルの中の足が、

じんわり汗ばんでいる。


(そのために今できるの、

 2時間ブロックの中に、

 十五分だけでも“ちゃんと書く時間”を残すことなんだよな)


---


**夜(20〜22時ブロック:週間ブロック決め+ストレッチ)**


ごはんは、

鮭のホイル蒸しと、

きのこのソテー、

冷ややっこと味噌汁。


(今日のメインは鮭か。

 魚率高くなってきたな、うち)


食後のデザートは、

昨日の残りのさつまいもを、

トースターで軽く焼き直したやつと、

プレーンヨーグルトを少し。


焼き芋をひと口、

ヨーグルトをひと口。


(甘いけど、

 “罪悪感ゼログループ”の味)


お風呂で湯船に浸かって、

下腹を軽く押してみる。


(もう完全に“アレの名残り”も消えた。

 今は“元気デー〜元気多めデー”ゾーンだな)


お風呂上がりに白湯を飲んで、

三分ストレッチ動画を再生。

今日もちゃんと最後までやり切る。


(“しんどすぎない日だけやる”ルールにしたおかげで、

 「やらなきゃ」じゃなくて「やっとくか」に変わったの、

 地味にデカいよな)


20〜22時ブロックは、

赤い手帳と向き合う時間。


机に手帳を開いて、

今週分のページをめくる。


◎が多かった朝ブロック。

×が何個か並んでいる夜ブロック。


(夜はやっぱ、22時まで詰めるとしんどいんだよな……)


ボールペンで、

来週の時間割を書き始める。


『月

 6〜8:英語ワーク+理科 ◎狙い

 20〜21:二人の季節(15min本気枠含む)

 21〜22:白湯+ストレッチ(できたらラッキー枠)』


『火

 6〜8:数学+英単語

 20〜22:テスト見直し or おやすみブロック』


(夜を“2時間ガチ”じゃなくて、

 “1時間+1時間ゆる枠 or おやすみ枠”にしたほうが、

 たぶん現実的)


今週の反省を、

ページの端っこにメモする。


『◎が多かったところ → 朝ブロック、体調“元気デー”の日

 ×が多かったところ → 夜22時まで詰めた日(眠気+スマホ)』


『→ 夜ブロック詰めすぎない。

  “できたらラッキー枠”を作る。』


(“できなかったところ”じゃなくて、

 “できたところベースで調整する”の、

 少しずつ板についてきた気がする)


手帳を書き終えたら、

英語ノートを開いて、今日の一文。


『Today’s memo:


 Two-hour blocks worked better

 when I left a small space

 for “just fifteen minutes.”』


下に日本語。


『→ 2時間ブロックも、

 “十五分だけちゃんとやるスペース”があると、

 だいぶマシになる。』


ノートを閉じて、

日記ノートを開く。



## 後書き


**日記**


**20xx年7月19日(日曜日) 高校1年生 田中里奈**


今日は、「2時間ブロックの中に“十五分だけ本気枠”をはめこんだ日」だった。


朝、赤い手帳を見ながら一日のブロックを決めて、

8〜10、10〜12、14〜16、20〜22って、

時間割っぽく書き出したら、

それだけでちょっとだけ「自分でコントロールしてる感」が出た気がした。


英語ブロックの途中で、

友達から「数学通話で教えてほしい」ってLINEが来たとき、

正直、ちょっとだけ「うわどうしよう」ってなった。

でも、自分の中で決めた

「5分以内・知識で助ける/それ以上は大人や他の人にバトン」

のルールを思い出して、

ノートの写真+一言アドバイスだけ送って、

通話は断ることにした。


断る瞬間は胸がぎゅっとなったけど、

「それでもありがとうって言ってもらえた」ことで、

(あ、ちゃんと助け方を選んでもいいんだな)って

少しだけ安心した。


理科ワークと『二人の季節』は、

2時間全部を完璧にやろうとすると途中でだれてくるから、

一つのブロックの中に

「15min本気枠」を1〜2回だけ仕込むやり方が、

思ったよりうまくハマった。

タイマーをかけて、「今から十五分だけちゃんとやる」って決めると、

最初から最後まで集中が続くわけじゃなくても、

その十五分だけはちゃんと“自分で選んで集中してた時間”だって

言い切れる感じがする。


『七月の空気』と、

図書室で見た『いつか行きたい、冬の街』からもらった

「足の重さ=その日その場所と仲良くなれた証拠」っていう感覚を、

『二人の季節』の夏の章に混ぜられたのも、

今日のよかったことの一つ。

好きな本の言葉を、

ちょっとだけ自分の物語のほうに引っ張ってくる作業が、

最近けっこう楽しい。


中期目標は、

①『二人の季節』の夏の章を、今週中に“夕立のあと”まで書く。

② 白湯+3分ストレッチを、“元気デー〜なんとかデー”の日に続ける。

の二つのまま。

ただ、②は「毎日やる」じゃなくて

「できそうな日にやる」って決めたことで、

結果的に回数は増えてるのが不思議だなと思う。


来週からの実験としては、


・夜ブロックは“2時間ガチ”じゃなくて

 “1時間集中+1時間ゆる枠 or おやすみ枠”にする。

・2時間ブロックの中に、必ず「15min本気枠」を一つだけ入れる。


この二つを試してみることにした。

たぶん、全部やろうとするとまたどこかで固まるから。


今日は、手帳とタイマーと、

自分ルール(5分以内の助け方)のおかげで、

テスト前の日曜日が“がんばりすぎてバテる日”じゃなくて、

「ちょっとだけ自分を上手に使えた日」になった気がする。


まだ不安もあるし、

テストも、将来のことも、

ぜんぶがスッキリしたわけじゃないけど、


とりあえず今日は、

赤い手帳の今日のページに書いた『◎と△』を見て、


これで、よし。


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