リナ、初めての脚本
**20xx年5月20日(月曜日) 高校1年生**
**朝**
目が覚めて、カレンダーを見た。
今日、演劇部で脚本を提出する日。
先週、山口先輩に「文化祭の演目、1年生にも脚本を書いてほしい」と言われた。
私は手を挙げた。
「書きます」
でも、まだ完成していない。
時計は6時。
「まだ時間がある」
ベッドから出て、机に向かった。
ノートに書きかけの脚本。
タイトルは「二つの道」
高校生が進路に悩む話。
自分の経験を元にしている。
ペンを握った。
最後のシーンを書かなきゃ。
**午前**
結局、朝食もそこそこに書き続けた。
お母さんが「リナ、遅刻するわよ」と言った。
「あと少し!」
最後の台詞を書いた。
「完成」
時計を見た。7時40分。
「やばい」
急いで制服を着た。
脚本をファイルに入れて、鞄に詰めた。
「いってきます!」
走った。
電車に滑り込んだ。
息を切らしながら、座席に座った。
鞄から脚本を取り出した。
読み返す。
「これで、いいかな」
不安だった。
中学の時は、先生に言われて書いた。
でも、今回は自分から手を挙げた。
期待に応えられるだろうか。
学校に着いた。
ギリギリ間に合った。
**昼**
お昼休み。
咲希ちゃんが「リナ、脚本できた?」と聞いた。
「うん。今朝、完成させた」
「すごい! 私、まだ半分」
咲希ちゃんも脚本に挑戦していた。
「リナのテーマは?」
「進路に悩む高校生の話」
「へえ。私は、友情の話」
「読んでみたい」
「お互い、頑張ろうね」
「うん」
でも、内心は不安だった。
私の脚本、面白いだろうか。
先輩たちは、どう思うだろうか。
**午後**
放課後、演劇部。
今日は脚本の提出日。
部室に入ると、山口先輩が待っていた。
「提出する人、前に来て」
私は咲希ちゃんと一緒に前に出た。
他に2人の1年生も脚本を持っていた。
「ありがとう。じゃあ、預かるね」
先輩が脚本を受け取った。
「来週、みんなで読み合わせをします」
「はい」
先輩が私の脚本を見た。
「『二つの道』。いいタイトルだね」
「ありがとうございます」
嬉しかった。
でも、すぐに不安が襲ってきた。
読まれる。評価される。
怖い。
練習が始まった。
でも、集中できなかった。
脚本のことで頭がいっぱいだった。
**夕方**
部活が終わって、咲希ちゃんと帰った。
「リナ、緊張してる?」
「うん。すごく」
「私も。自分の書いたもの、人に見せるの怖い」
「分かる」
駅までの道を歩きながら、話した。
「でもさ、リナの脚本、絶対面白いよ」
「そうかな」
「うん。だって、リナは人の気持ちを書くのが上手だもん」
咲希ちゃんの言葉が、嬉しかった。
「ありがとう」
「こっちこそ。リナと一緒に頑張れて良かった」
電車に乗った。
窓の外を見ながら、考えた。
脚本を書くって、自分をさらけ出すこと。
恥ずかしい。怖い。
でも、それが演劇なのかもしれない。
**夜**
家に帰った。
「ただいま」
お母さんが「脚本、提出できた?」と聞いた。
「うん」
「良かったわね。頑張ったわね」
「まだ、評価されてないけど」
「大丈夫。リナの書いたものなら、きっといいわ」
お母さんの言葉が、心に染みた。
夕食の時、お父さんが「どんな話を書いたんだ?」と聞いた。
「進路に悩む高校生の話」
「自分の経験か」
「うん。中学の時、受験で悩んだから」
「いいテーマだな」
お父さんが頷いた。
太一が「お姉ちゃんの話、見たい」と言った。
「上演されるか分からないけど、もしされたら来てね」
「うん!」
部屋に戻った。
机に向かって、勉強を始めた。
試験の失敗以来、毎日2時間勉強している。
今日も、ちゃんとやる。
1時間経った。
休憩に、携帯を見た。
美香ちゃんからメッセージ。
「リナ、元気? 最近忙しそうだね」
返信した。
「うん。演劇部の脚本書いてた。今日提出したよ」
「すごい! リナらしいね。応援してる」
「ありがとう」
美香ちゃんとは、高校が別になった。
でも、こうやって繋がっている。
嬉しい。
また勉強を再開した。
今日は、数学の復習。
前回の試験で間違えたところを、もう一度解く。
「今度は、間違えない」
自分に言い聞かせた。
勉強が終わって、日記を書こう。
今日の、ドキドキした気持ちを。
## 後書き
**日記**
**20xx年5月20日(月曜日) 高校1年生 田中里奈**
今日、演劇部に脚本を提出した。
タイトルは「二つの道」
進路に悩む高校生の話。
朝まで書いていて、ギリギリで完成させた。
提出した時、山口先輩が「いいタイトルだね」と言ってくれた。
嬉しかった。
でも、不安。
来週、読み合わせがある。
みんなの前で、私の書いた脚本が読まれる。
怖い。
自分をさらけ出すみたいで。
でも、これが演劇なんだと思う。
咲希ちゃんが「リナは人の気持ちを書くのが上手」と言ってくれた。
そう言ってもらえて、少し自信が持てた。
お母さんも、お父さんも、応援してくれた。
家族の支えが、嬉しい。
試験の後、毎日勉強を続けている。
今日も2時間、ちゃんとやった。
部活も勉強も、両立する。
諦めない。
来週の読み合わせ。
緊張するけど、楽しみでもある。
私の書いた物語が、みんなに届くといいな。
脚本を書くって、すごく楽しい。
言葉で世界を作る。
キャラクターに命を吹き込む。
もっと、上手くなりたい。
どんな時でも笑顔で。
でも今は、ドキドキで笑顔になれない。
来週、頑張ろう。




