リナ、「めんどくさい美容」と休戦する
**20xx年5月18日(月曜日) 高校1年生**
**朝**
目が覚めた瞬間、足がじんわり重かった。
(あ、今日は「元気デー」と「なんとかデー」の間くらいだな。
ふつう寄りなんだけど、ちょいだる……元気少なめの“なんとか動ける日”って感じ)
布団の中で、いつもの「体の様子チェック」。
・ふくらはぎ → 「ちゃんと歩けるけど、階段はのんびりでお願いします」くらい
・下腹部 → じんわり。カイロいらないけど、ずっとそこにいるアピール
・腰 → ちょっと重い。寝返りサボり度二割
・頭 → 起きられるけど、意識だけまだ枕の上であくびしてる感じ
(今日のラベルで言うと、
体調は“元気寄りなんだけどちょいしんどいなんとかデー”。
テンションは「元気少なめ」ってとこかな。
“なんとか動けるけど全力モードじゃない日”)
ベッドから起き上がって、カレンダーを見る。
先週の「元気デー/元気多めデー」の欄には、
小さく『スマホと握手』と書いてある。
(先週の私、盛れ度より“っぽさ”選べたんだよな。がんばったじゃん)
今日の欄に『元気少なめ/なんとかデー』と書き込む。
(体調は元気少なめ、行動モードは“なんとかデー”。
“なんとか動けるけど全力は出さない日”ってラベル)
その横には、マステで貼った紙。
『元気デー:35分×3セット(台本・進路・英語)
なんとかデー:30分×2〜3セット(台本+どれか一つ)
おやすみデー:日記+ストレッチだけ』
さらに、その下に、先週書き足したメモもある。
『写真の前は「3秒自分チェック」
→ 今日は盛る日か、そのまま寄りか、相談して決める』
(これ、写真だけじゃなくて、今日みたいな「体育で膝出る日」にも使えるかも)
洗面所で顔を洗って、タオルで拭いたあと、
鏡の前に立つ。
まだ少しひんやりした頬に、
いつもの化粧水をぱしゃぱしゃとなじませて、
すぐにシンプルな乳液を重ねる。
(はい、朝の保湿。
難しい美容液とかはまだいいや。
“とりあえず乾かさない”が私ルール)
ついでに首まで伸ばして、
日焼け止めを顔と首と腕にささっと塗る。
(これサボると、あとから「なんであのとき塗らなかったん」って
未来の私が文句言ってきそうなんだよね)
前髪をとかしながら、
ふと目線が下がって、自分の足に止まった。
(……やっぱちょっと生えてるよね、これ)
膝から下のすねに、
うっすらと黒いポツポツ。
今日の体育はバスケで、
ハーフパンツだ。
(見えなくはないけど、近くでがん見されたら「おや?」ってなるレベル)
思わず顔をしかめる。
(てかさ、生えてこなかったら一番ラクなんだけど。
「おはようございます今日も元気に再生しました〜」じゃないのよ)
でも、朝から全部きれいにしようとすると、
確実に遅刻コースだ。
そこで、鏡に映った自分の足に向かって、
小さく心の中でつぶやく。
(はい、「3秒自分チェック」……今日の脚、どんな感じですか)
一、二、三。
(教室の蛍光灯の下で見たら、たぶん自分には気になるけど、
周りの人はそこまで見てないレベル。
近くでじーっと見られる機会は……体育のときの自分くらい)
そう判断して、
シェーバーに伸ばしかけた手を止めた。
(よし、今日は「見えるところ3ミリルール」でいこう。
ぱっと見て「おっ」と思わないラインならOK)
制服のスカートに着替えながら、
頭の中にもう一人の未来の自分が浮かぶ。
仕事から帰ってきて、
ソファで足を投げ出しながら、
「今日もよく働いた脚〜」って自分のふくらはぎをぽんぽん叩いてる大人の自分。
(ムダ毛あるかどうかより、
「今日も歩いてくれてありがと」って言ってあげられるほうが、
なんかいいな)
カレンダーの端を見ると、
週末のところに小さく『歯医者』の文字。
(月イチの歯医者デー……。
ちょっとめんどいけど、
「虫歯ゼロですね」って言われると、地味に嬉しいんだよな)
そう思いながら、
カレンダーの今日の欄に、
小さく一行書き足した。
『今日の一歩:ムダ毛と「とりあえずの休戦協定」を結ぶ』
---
**午前**
一時間目の数学が終わって、
二時間目は体育。
更衣室の扉を開けると、
すでに何人かがジャージに着替え始めていて、
にぎやかな声が飛び交っていた。
「ねえ見て、昨日めっちゃ剃ったから今日すべすべなんだけど〜」
「触らせろ」
「え、やだ〜(腕差し出してる)」
笑い声と、
シェーバーの「ウィーン」という音。
(今日もここは、美容サロンかジムかってくらいにぎやかだな……)
隅っこのベンチで、
里奈もジャージに着替える。
ハーフパンツに履き替えた自分の脚を、
ふと見下ろす。
(うん……さっきの3秒チェックどおり。
近くでじーっと見なきゃそんなにわからない)
斜め前で着替えていた子が、
自分の足を見て、ため息をついた。
「はぁ〜……なんでさ、
ほっとくと絶対生えてくるようにできてんのかな、これ」
「わかる。
“標準装備です”みたいな顔して生えてこないでほしい」
「てかさ、男子は生えててもそんなに言われないのにね。
女子だけ“ちゃんとしてるかどうか”チェックされるの不公平じゃない?」
(それな)
心の中で全力同意しながらも、
口から出たのは、
少し柔らかくしたバージョンだった。
「なんか、“女子力チェック項目”に勝手に入れられてる感じあるよね、毛」
「そうそう。
テストの範囲にしてくれた覚えないんだけどってなる」
みんなで笑う。
笑いながら、
里奈はさっきの会話を
頭の中で一行メモに変換した。
(仮タイトル:
“生えてくる速度で女子力決めないでほしい問題”)
体育館に向かう途中、
ふくらはぎがじんわり重くなる。
(今日は“なんとかデー”寄りなんだから、
バスケも“全力スプリント”じゃなくて“できる範囲”ってことで)
ボールを追いかけながら、
何度かふっと息が切れそうになるたび、
手の甲を見る。
そこには、
今日のキーワードが小さく書いてある。
『一個ずつ』『近くを守る』
(全部は守れなくてもいいから、
自分から一番近いところだけは守る。
脚も、体力も、心も)
キーワードをなぞるみたいに、
胸の中で繰り返しながら、
里奈は自分のペースでコートを走り続けた。
---
**昼**
体育のあとでお腹ペコペコになりながら、
教室でお弁当を広げる。
今日のお弁当は、
お母さんが作ってくれた蒸し鶏と、
ブロッコリーとにんじんの蒸し野菜、
しいたけのソテー、それから
端っこにちょこんと入ってる、
おばあちゃんお手製のぬか漬けきゅうり。
(相変わらず“健康セット”って感じだな……でも、
こういうの食べてると、体育のあとでも変に胃がもたれないんだよね)
ごはんの上には、
小さい梅干しが一個だけ。
(甘いお菓子より、こういう酸っぱいやつのほうが、
今は体にしみる感じする)
斜め前の子が、
コンビニのポテチをばりばり開ける。
「一個いる?」
「ありがと……でも今はいいや。
油っぽいの、体育のあとだとちょっと負ける」
「健康〜〜」
からかわれながらも、
里奈の胃はちょっとホッとしている。
「ねえ昨日さ、
インスタで“学生のうちに全身脱毛しとくべき”っていう広告めっちゃ出てきてさ」
向かいの子が、
スマホを見せてくる。
そこには、
キラキラした笑顔のモデルさんと、
「今なら学割!」の文字。
「こういうの見ると、
“やらなきゃヤバいのかな私”ってちょっと焦るんだよね〜」
「わかる。
しかも“ツルスベ女子はモテる”とか書いてあると、
なんかもう圧がすごい」
隣の子が、
半分笑いながら言った。
「でもさ、
やる人はやるし、やらない人はやらない、でよくない?
全部“やって当たり前”になったら、
なんか生きるのしんどそう」
口から出た言葉に、
自分で一瞬びっくりする。
(あ、これけっこう本音寄りだ)
「たしかに」
「“やってもいいし、やらなくても別に人間として減点されない”くらいがいいよね」
テストでいうなら、
“加点問題”であってほしい、と思う。
お弁当を食べながら、
里奈はさっきの自分の言葉を
頭の中で二行にまとめた。
(翻訳=“やる人はやるし、やらない人はやらないでよくない?”
本音=“全部義務みたいになるとしんどい”)
②の「翻訳+本音一言」の目標。
今日はちゃんと両方出せた気がした。
そのとき、
別のテーブルからこんな声が聞こえてきた。
「うちの親さ、
“女の子なんだからちゃんと処理しなさい”ってうるさいんだよね。
“だらしなく見えるよ”とか言われる」
(“女の子なんだから”っていう呪文、ほんとあちこちから出てくるな)
胸の奥が、
小さくチクッとした。
でも今は、
そのトゲを全力で抜きに行く体力はない。
(今日の私は“元気少なめのなんとかデー”。
あんまり深追いすると、一気に“おやすみデー行き”コース)
お弁当の卵焼きを一口かじって、
口の中の甘さと一緒に
心のモヤモヤも少しだけ薄めた。
---
**午後**
午後のホームルーム。
生活指導の先生が来て、
身だしなみの話になった。
「これから暑くなってくると、
どうしても身だしなみが乱れがちになります。
スカート丈、髪色だけじゃなくてですね……
清潔感、というのはとても大事です」
(あ、来る)
「特に女の子はですね、
社会に出ると“清潔感があるかどうか”を
けっこう見られることが多いです。
“だらしない印象”を持たれないように、
今のうちから意識しておきましょう」
(“特に女の子は”って、やっぱり付くんだ)
隣の子が、
机の下で小さくため息をついたのがわかった。
里奈の胸の中で、
さっき更衣室で聞いた「女子は大変〜」の声と、
インスタ広告の「ツルスベ女子はモテる」と、
今の先生の「清潔感」という言葉が
ごちゃっと一緒くたになって渦を巻く。
(清潔にしとくのは男女関係なく大事だとしてさ。
なんで“女子”にだけ追加でいろいろ乗っけてくるんだろ)
でも、
挙手して言い返す勇気はさすがにない。
棒グラフみたいに、
頭の中に「言いたいことゲージ」が立ち上がる。
(今の私のゲージ、
たぶん35%くらい。
50%超えたら何か言ってたかもしれない)
代わりにノートの端に、
こっそり一行書いた。
『仮タイトル:
“清潔感って言葉で女子の宿題増やさないでほしい問題”』
(今日のモヤモヤは、とりあえずこの仮タイトルに避難させとこ)
先生の話を聞きながら、
里奈は窓の外をちらっと見る。
校庭の端を、
スーツ姿の人たちが歩いているのが見えた。
たぶん、近くの会社から駅に向かっている。
(十年後の私は、
ああいうスーツ着てるのかな。
“清潔感ある大人の女になりなさい”って言われる側じゃなくて、
「自分で決める」側でいたいな)
スーツじゃなくてもいいけど、
少なくとも、
自分の体の扱い方を
誰かに細かくチェックされない働き方をしたい。
(そのために今できることって、
たぶん“全部ちゃんとやる”じゃなくて、
“自分のラインを自分で決める”練習なんだろうな)
ホームルームが終わるころには、
ふくらはぎの重さが
朝より少し増していた。
---
**夕方〜夜**
家に帰ると、
台所からお味噌汁の匂いがした。
鍋の横では、
蒸し器のふたからほわっと湯気が出ている。
「おかえりー。
今日体育あったんでしょ?
ちゃんと脚剃っといた?」
お母さんが、
蒸し上がったブロッコリーとじゃがいもを
お皿に移しながら何気なく聞いてくる。
(来た、“女の子なんだから系”質問予告)
「んー……今朝ちょっとだけ様子見て、
“近くで見ないとわかんないレベルだからまあいっか”って判断した」
「なにその判断」
「“とりあえず休戦協定”結んだ感じ?
全部と戦おうとすると私が負けるから、
今日は見えるところだけなんとかするってことで」
「ふーん……まあ、
あんたがちゃんと考えてるならいいけど。
ほら、納豆混ぜといて。
女子は鉄分とかたんぱく質とか取っときなさいよ〜」
「はいはい、“人間として”ね」
「そう、“人間として”」
お母さんは、
あっさり話題を流した。
(よかった、“ちゃんと剃りなさい”で終わらなかった)
心の中で、
小さくガッツポーズをする。
(グレーな一言、今日も役に立ったな。
「全部ちゃんとやるのは無理」って、
冗談ぽく言えたの、たぶん前よりマシ)
夕飯は、
蒸し野菜と蒸し鶏、
しいたけのソテー、
お味噌汁、納豆。
見た目だけなら
健康雑誌にそのまま載せられそうなメニューだけど、
食べてみると、
体育で疲れた体にじわっとしみる。
(ジャンクフードもみんなでワイワイ食べるときは楽しいけど、
毎日これだけ食べてるの、
意外と私の体には合ってるのかもな)
ごはんを食べて、お風呂に入る。
湯船の中で、
自分の脚をぼんやり眺める。
(今日バスケ頑張った脚。
ちょっとムダ毛あるけど、
ちゃんとコート走ってくれた脚)
風呂上がり、
タオルでざっと水分を取ったあと、
すぐに全身にボディミルクを伸ばす。
(お風呂上がり即保湿。
これサボると、すねが“砂漠”になるんだよね)
鏡の前で化粧水をぱんぱんと叩きながら、
腕と脚をもう一度見る。
(よし、今日は「見えるところ3ミリルール」を
ちゃんと紙に書いておこう)
部屋に戻って、
机の前に座る。
体調メモの表の横に、
新しいメモを貼る。
『見えるところ3ミリルール
・制服で出る場所(ひざ〜足首、前腕)は
近くで見て「おっ」と思わないラインまででOK
・長ズボンやタイツの日は、基本ノーチェックでよし
・全部完璧にしようとしない』
(“やる or やらない”じゃなくて、
“どこまでやるか”を決めるルール)
少し肩の力が抜けた気がした。
壁の時計を見ると、
十九時半を少し過ぎている。
(今日は“元気少なめのなんとかデー”だから、
なんとかデーメニューでいこう。
30分×2セット)
スマホのタイマーを
「30:00」にセットして、
一回目をスタートさせる。
一セット目は、『二人の季節』。
今日は、
登場人物の女の子たちが更衣室で
ムダ毛の話をしているシーンを書く。
> 「ねえ、なんでさ、
> ほっとくと絶対生えてくるようにできてるんだろうね」
>
> 「知らん。
> でも、生えてくる速度で女子力測られたくはない」
さっき更衣室で聞いたセリフと、
自分の仮タイトルを混ぜて、
少し強めに言わせる。
> 「やる人はやればいいし、
> やらない日があっても人として減点はされない、
> って世界にならないかな」
書きながら、
(これ、自分に言ってるな)と思う。
二セット目は、「土台科目」の置き換えメニュー。
今日は理科の日にする。
(机に向かう元気はちょい少なめだから、
実験動画に置き換えよう)
スマホで、
「ちゃんとした高校レベルの実験動画」を一本再生する。
酸とアルカリの話を聞きながら、
ノートの端に一行メモを書く。
『今日の理科:
“中和”みたいに、
+と−を混ぜてほどよくする感じ、
人間関係にも必要そう』
(たぶん、
私の“女子としてこうあるべき”と“めんどくさい”も、
どっかで中和してあげないとしんどいんだろうな)
二セット目のタイマーが鳴って、
スマホを机に置く。
(本当はもう一セットくらいやりたいけど、
今日は“なんとかデー”メニューまで)
未練がじんわり残るけど、
あえて教科書を閉じる。
ベッドに移動して、
日記ノートを開いた。
## 後書き
**日記**
**20xx年5月18日(月曜日) 高校1年生 田中里奈**
今日は、
「めんどくさい美容と、
とりあえず一回休戦協定を結んでみた日」だった。
---
### 今日できたこと
1. **朝、「3秒自分チェック」で体育前のムダ毛パニックを止められたこと。**
ハーフパンツの日で、
いつもなら「うわやばい」となって全部剃ろうとして
バタバタするところを、
鏡の前で3秒だけ自分の脚を見て、
「近くで見ないとわからないレベルだから今日はOK」と判断できた。
そのおかげで、
遅刻ギリギリにならずに済んだし、
体育のときも「まぁこのくらいなら」って
自分で決めたラインの中で動けた。
先週の「写真前3秒チェック」を
別の場面に応用できたのは、
ちゃんと工夫が生きてる感じがして嬉しい。
2. **お昼の脱毛トークで、「翻訳+本音一言」を出せたこと。**
「学生のうちに全身脱毛しとくべき」広告を見ながら、
みんなが焦ったり笑ったりしていたとき、
「やる人はやるし、やらない人はやらない、でよくない?」と
まずふわっと翻訳を出してから、
「全部“やって当たり前”になるとしんどそう」と
自分の本音も一言足せた。
②の目標の練習としては、
今日はかなりいい感じだったと思う。
3. **“なんとかデー”メニュー「30分×2セット」でちゃんと止まれたこと。**
体調的には“元気寄りなんだけどちょいしんどいなんとかデー”で、
正直もう一セットくらいならできそうな気もしたけど、
壁のメニュー表を見て、
「今日はなんとかデーだから2セットまで」というルールを優先できた。
台本(ムダ毛シーン)と理科(実験動画+一行メモ)までやって、
そこで終わりにしたおかげか、
今そんなにぐったりしていない。
明日の自分の足と頭に、
ちょっとだけ余力を残せた感じがする。
---
### 今日できなかったこと
1. **更衣室で感じた「女子だけ宿題多い問題」を、ちゃんと誰かと深めに共有すること。**
「生えてくる速度で女子力決めないでほしい」という
仮タイトルレベルのモヤモヤは浮かんだけど、
それを「ほんとさ、女子だけチェックされがちじゃない?」みたいに
もう一歩突っ込んで口に出すことはできなかった。
冗談っぽくなら言えるかもしれないのに、
結局ノート行きで終わった。
2. **生活指導の先生の“特に女の子は清潔感が〜”に、何かしら自分の立場を持つこと。**
頭の中では
「清潔にするのはみんな大事だけど、
女子にだけ追加で宿題乗せないでほしい」と思ったのに、
「まぁ世の中そういうもんだしな」と
自分で自分を黙らせてしまった。
教室で言い返すのは難しくても、
せめて友達と帰り道に話題にするとかすればよかったかもしれない。
3. **理科の動画にちゃんと集中すること。**
「土台科目置き換え」として
実験動画を一本見られたのはよかったけど、
頭の半分は“清潔感トーク”と“ムダ毛のこと”で占領されていて、
正直、内容の三割くらいしか残っていない気がする。
一行メモを書けたからとりあえず満足してしまったけど、
「勉強した」って胸を張れるほどではなかった。
---
### 障害とその分析
1. **「女子だけ宿題多くない?」を深く話すのが怖い理由。**
見た目とかムダ毛の話は、
冗談っぽくしゃべってるうちはまだいいけど、
真面目モードに入った瞬間に
その場の空気が重くなる気がして怖い。
「考えすぎじゃない?」って思われるのもイヤだし、
「自分のことちゃんとしてないからでしょ」って
言われたら多分刺さる。
だから、
「まあいろいろあるよね〜」くらいのところで
話を止めてしまったんだと思う。
2. **先生に対して何も言えなかった理由。**
教室で、大人に直接
「その言い方、ちょっと……」と言うのは、
やっぱりハードルが高すぎる。
周りのみんながどう思っているかも見えないし、
自分一人だけが変な方向に浮いてしまうのが怖い。
それに、「清潔感を大事にしろ」という部分自体は
完全に間違っているわけでもないから、
どこからどこまでにツッコミを入れればいいのかも
よくわからなかった。
3. **理科に集中できなかった理由。**
今日は体も心も“元気少なめのなんとかデー”で、
そんなに元気があるわけじゃなかった。
そういうときに「動画ならラクでしょ」と思って
置き換えを選んだけど、
動画だとぼーっと眺めてしまって、
逆に頭の中の雑音に負けやすいのかもしれない。
「目と耳を使う勉強」は、
ある意味、一番雑念が入りやすいのかも、と思った。
---
### 明日以降の具体的な対策(小さな実験)
#### 1. 「見えるところ3ミリルール」をちゃんと運用してみる
* 今日紙に書いたとおり、
・制服から見えるところは「近くで見て“おっ”と思わないラインまで」
・隠れてるところは、基本ノーチェック
というルールを、しばらく続けてみる。
* 「全部ツルツルにしなきゃ」じゃなくて、
「自分から見て気になる範囲+人からなんとなく見える範囲」だけでも
とりあえずOKにする。
→ 「やってない自分=だらしない」っていう
極端なジャッジを、少しずつゆるめたい。
#### 2. 「モヤモヤ仮タイトルを一個だけ誰かと共有する」実験
* 先生や広告の言葉にモヤッとしたとき、
まず仮タイトルにしてノートに書く。
* その中から一個だけ、
帰り道とかお昼とか、
雰囲気が大丈夫そうなときに
友達に軽く話してみる。
例)
「さっきの“清潔感”の話、
女子にだけ宿題増やしてる感ない?」
* その場で深刻な議論にしなくてよくて、
「なんかそういう感じしない?」レベルで止めてよし、にする。
→ 「ぜんぶ飲み込む」か「全部ぶつける」かの二択じゃなくて、
「ちょっとだけ出して、反応を見る」という中間を増やしたい。
#### 3. 「土台科目の置き換えメニューを紙に書いて可視化する」
* 英語・理科・国語それぞれに、
具体的な置き換え案を紙に書いて、
体調メモの表の横に貼る。
例)
英語 → 洋楽一曲+歌詞をざっと見る/
英語の短い動画を一つ見る
理科 → 実験動画一本/
理科系のショート解説を一つ見る
国語 → 好きな小説一ページ/
短い詩を一つ読む
* その日の体調や心の余裕を見て、
「机」「置き換え」「今日はお休み」のどれかを選ぶ。
→ 「なんとなく動画見たから勉強したことにしちゃう」を減らして、
「今日はこれをやる」と意識して選べるようにしたい。
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### 中期目標のメモ(今のところの二つ)
① 理科・国語・英語を「土台科目」として、
週のうち三日はどれか一つに必ず触れる。
② 進路や将来の話題が出たとき、
「翻訳した一言」+「自分の本音一言」を返す。
(一回の会話で全部言えなくても、
どちらか一つでも出せたら前進としてカウント)
今日は、
* ①について → 理科の実験動画+一行メモができたので、
置き換えメニューとしては合格。
集中度は高くなかったけど、
「ゼロではない」を守るという意味では◎。
* ②について → お昼の脱毛トークで、
翻訳と本音をセットで出せたので、
これは“けっこうよくできた日”と言っていいかもしれない。
進路ノートとは別の話題だけど、
「自分の働き方・生き方」に関係する感覚だったので、
目標にちゃんとつながっている気がする。
どちらの目標も、
「めっちゃ進んだ!」という感じではないけど、
“ちょっとずつ前に動いてる”くらいの手応えはある。
---
### 繰り返しの意識
最近、
「女の子はこうあるべき」とか
「清潔感が〜」とか
「学生のうちに〜しとくべき」とか、
いろんな大人とか広告とかSNSとかから
いろんな声が飛んでくる。
正直、
全部真に受けてたら
体力もお金も足りない。
だから、たぶん私はこれからも、
・「元気デー/なんとかデー/おやすみデー」と
「元気多め/元気少なめ」で
自分の体と心の残量をざっくり見て
・モヤモヤした言葉はとりあえず仮タイトルにして逃がして
・そのうちの一個だけ、
『二人の季節』とか友達との会話に混ぜてみて
・夜のメニューは元気デー・なんとかデー・おやすみデーで調整して
・日記で「それでもできたこと」を3つ数える
みたいなことを、
続けていくんだと思う。
十年後、
「女の子なんだから」という言葉に
いちいち心がザクザクしない大人になれているかはわからない。
でも、
今日みたいに「めんどくさい美容」と
一回休戦協定を結んでみる日を
ちょっとずつ増やしていけば、
今よりは自分の体と仲良くなれる気がする。
今日は、
「全部完璧にはできないけど、
“ここまでならやる、それ以外は今日はお休み”を
自分で決められた高校生」
だった、ということにしておく。
自己採点は、
“元気少なめ寄りのなんとかデー”。
(“ちょいだるだったけど、工夫でまあまあマシにできた日”)
キラキラでもないし、
モヤモヤがゼロになったわけでもない。
でも、
お風呂あがりに鏡の前で、
「今日の脚、よく走ったね」って
ちょっとだけ思えたから、
それだけで今日は、とりあえずよし。




