リナ、「とりあえず」を飲み込んでみる
**20xx年3月30日(月曜日) 高校1年生**
**朝**
目が覚めたとき、
頭の中の重りは、ほとんど感じなかった。
(今日は、○寄りの○って感じ)
天井を見つめたまま、
体の中をざっとスキャンするみたいに意識を走らせる。
・ふくらはぎ → 軽い
・下腹部 → 存在はしてるけど「いますよ〜」くらい
・腰 → ちょっとコリ感あるけど、□まではいかない
・頭 → むしろスッキリしすぎて、変に考え事しそうな予感
布団から出て、
カレンダーの今日のマスに○をつける。
その横に、小さく『※思考過多注意』と書き足した。
(身体は軽いけど、
そのぶん頭が走りがちな日、ってやつだ)
机の上には、
先週から使っている二冊のノートが並んでいる。
一冊目:『やりたい度シート』
二冊目:『現実条件シート』
表紙の端っこに、小さくラベルが貼ってある。
「A/B側」と「C側」。
(同じ紙の上で殴り合わせると、
Aゾーンが即死するから、
別ページに避難させたやつら)
やりたい度シートを開くと、
『理科』『物語』『実験ノート的な生き方』みたいな単語が
丸で囲まれている。
現実条件シートのほうには、
・学費
・距離
・偏差値
・両親の体力(経済&メンタル)
みたいな、
Aゾーンのテンションを確実に下げてくるワードが
リスト化されている。
(今日は、
三者面談用の“進路希望調査”を
とうとう渡される日って言ってたし)
(“とりあえず安定”で埋めるモードに
自動変換されないように、
朝のうちにA/B側をちゃんと見とこ)
ベッドの端に座って、
やりたい度シートを五分だけ眺める。
「理科で何をしたいか」っていう具体的なイメージは
相変わらずぼんやりだけど、
・実験道具を片付けずに出しっぱなしにして怒られる未来
・研究室のコーヒーの匂い
・夜遅くまで、データとにらめっこしてる自分
みたいな断片は、
前より少し色がついてきた気がする。
(“よくわからないけどワクワクするゾーン”が
まだ生きてるだけで、だいぶ違う)
手の甲を見る。
先週書いた『余白/波/距/棚/声』は、
少し薄くなっているけど、まだ読める。
ペンを手に取って、
新しく一つだけ書き足した。
『余白/波/距/棚/声/仮』
(今日のテーマ、“仮”。
進路希望調査の「第一希望」の欄を、
“確定じゃないけど、とりあえず”で埋めないためのやつ)
(“とりあえず”って言葉を、
今日は自分の口から出さない実験)
喉の奥が、
一瞬だけきゅっと固くなった。
(“とりあえず”を封印すると、
ちゃんと迷ってるのがバレるからな……)
でも、そのままじゃ
例の「安定タワー」の話に
全部持っていかれるのも目に見えてる。
制服に袖を通しながら、
鏡の前で小さく息を吸って吐く。
(今日は、
“何も決めてません”でも
“全部決めました”でもなくて)
(“仮で置いてます”っていう状態を
ちゃんと言葉にする日)
そう決めて、
家を出た。
---
**午前**
一時間目の現代文が終わってすぐ、
担任が例の封筒を持って教卓に立った。
「はい、進路希望調査。
第一希望、第二希望、第三希望まで書いて、
来週頭までに提出してくださいー。
“未定”も可だけど、
その場合は“未定の理由”をちゃんと書くこと」
(来た)
クラス中から、
微妙なため息と笑い声と、
「うわー」という悲鳴のミックスが上がる。
封筒の中から取り出された薄い紙が、
一枚ずつ配られてくる。
里奈のところにも、
白くてツルツルした進路希望調査用紙が届いた。
『第一希望』『第二希望』『第三希望』。
その下には、
『理由』『備考』『その他(自由記入)』の欄。
(この“白さ”が一番こわいんだよな)
ボールペンを握った手に、
少しだけ汗がにじむ。
配り終えた担任が、
黒板の前に立って言う。
「もちろん、
今ここで完璧に決めろとは言わないけど、
“とりあえず空欄で出す”のはナシな。
“仮”でもいいから、
今の時点での方向性を書いといてくれ」
(“とりあえず空欄で出す”禁止)
(でも“とりあえず”で埋めるのも、
私の中ではほぼ同罪なんだよな)
周りを見渡すと、
「第一希望:○○大学 経済」と
サラサラと書き始める子もいれば、
「まだ全然決めてないし〜」と
笑いながらペンをくるくる回している子もいる。
里奈は、
まず紙の右上の余白に小さく『A/B側』と書いた。
で、その下に、
また小さく『C側』と書く。
(やりたい度シートと現実条件シートを
ここにミニ版で再現するやつ)
「田中ー、進み具合どうだ?」
担任が、
プリントを配り終えたあと
教室をぐるっと回りながら一人一人覗いていく。
里奈の机のところに来たとき、
ちらっと紙を見て首をかしげた。
「お、A側とC側?」
「……はい。
“やりたい”側と“安定”側を
一応分けて考えようかなって」
(今、“とりあえず”って言葉を
口から出しかけたのを、
ギリギリ飲み込んだ)
担任は、
ちょっとだけ目を細めて笑った。
「いいじゃん。
別に最終決定じゃないからさ。
“仮置きでもいいから、
自分の棚のどこに何を置くか考えました”っていうのが
わかれば十分だよ」
(“仮置き”)
(その単語、
今の私にはめちゃくちゃありがたい)
「じゃあさ、
そのA側に今置いてるやつを、
第一希望の“理由”欄のほうに
文章で書いてみな。
欄が小さいなら、
裏に続き書いてもいいから」
「……はい」
(“安定”で埋めろ、じゃなくて、
“棚の中身を見せて”って方向)
(この先生、
ときどきこっち寄りの言い方をしてくれるから、
まだ息ができるんだよな)
担任が去ったあと、
里奈は深呼吸を一つしてから
『第一希望』の欄にペン先を置いた。
『理学系(未確定)』
(“とりあえず○○大学”って書きそうになったけど、
“未確定”って正直に書いた)
理由欄には、
やりたい度シートに書いた断片を
短く切って並べる。
『実験や観察を続けたい。
物語を書くこととも、できればつなげたい。
ただ、具体的な分野や大学はまだ迷い中。
A/Bゾーンで棚に置いて考えている途中です』
(進路希望調査で「棚」って単語を使う高校生、
たぶんあんまりいないと思うけど)
(これが私の“仮”だからな)
紙を見つめていると、
胃の奥のキリキリは
ゼロにはならないけど、
さっきよりは弱まっていた。
---
**昼**
昼休み。
今日もいつものテーブルで弁当箱を開く。
「進路調査、書いた?」
隣の子が、
卵焼きをつつきながら聞いてくる。
「第一希望だけ、“理学系(未確定)”って書いた」
「未確定って書いちゃっていいんだ?」
「“とりあえず事務”って書くよりは、
今の私には正直かなって」
(“とりあえず”封印、
口から出る前に止めた二回目)
向かいの子が、
自分のプリントをひらひらさせる。
「私、“とりあえず短大”って書いちゃった」
「お母さんにそう言われた?」
「うん。
“女の子はそのくらいで十分”って」
(またそのフレーズ……)
喉の奥が、
少しだけ熱くなる。
いつもだったら、
ここで「そうなんだ〜」と笑って
話を流していただろう。
今日は、
手の甲の『仮』を
親指でそっと押しながら、
口の中で一回だけ言葉を転がす。
(グレーな一言バージョンで、
半歩だけ出してみる)
「“十分”かどうかは、
決めるの本人じゃない?」
言ってから、
心臓がドクンと強く打つ。
(言った)
向かいの子が、
箸を止めて里奈を見る。
「まあ、
うちの母は“とりあえず”で言ってるだけだからな〜」
そう言って笑ってくれたので、
教室の空気が
急に重くなることはなかった。
(“場を壊す人”にならない範囲で、
一センテンスだけ反論できた感じ)
(これ、
グレーな一言実験の
進路バージョンだ)
「里奈は、
“理学系(未確定)”なんだっけ」
「うん。
“未確定”って書いたら、
先生が“仮置きって書いてもいいぞ”って言ってくれた」
「仮置き、いいな。
うちも母に“仮って書いとくね”って言ってみよ」
(“とりあえず”を、“仮置き”に変換するやつ)
(伝染したらちょっとうれしい)
弁当の最後の一口を飲み込んだとき、
胸の奥のモヤモヤは
朝より少しほぐれていた。
---
**午後**
放課後、
教室には、
部活に行く前のざわざわした空気が残っていた。
里奈は、
鞄に教科書を詰め込みながら、
進路希望調査をクリアファイルにしまう。
(家に持ち帰って、
もう一回だけA/B側とC側を見比べてから
書き足したいところがあれば書く)
廊下に出ようとしたところで、
担任に呼び止められた。
「田中、ちょっといい?」
(小声で“職員室来い”って言われたときの
条件反射的な心拍上昇、
毎回変わらないな……)
職員室の前の廊下の端っこで、
先生が進路希望調査を手にしていた。
「“理学系(未確定)”って書いてあったな」
「はい」
「“未確定”って正直に書いてくれるのは、
こっちとしてはだいぶ助かる。
でさ、
ここの“理由”欄」
先生が指差すところには、
『棚に分けて考えている途中です』と
自分の字が並んでいる。
「これ、
三者面談のときも
このまま言っていいからな」
「……怒られません?」
思わず出た本音。
先生はちょっと笑って、
肩をすくめる。
「“何も考えてません”って顔で座られるほうが、
こっちも困るんだよ。
“棚に分けて迷ってます”って言われたら、
“じゃあこの棚はどう?”って
話ができるだろ」
(“迷ってます”って言っていい、って
明確に言われたの、
たぶん初めてかもしれない)
「あとさ」
先生が、
プリントの一番下の『その他』欄をトントンと叩く。
「ここ、
“身体の波も含めてペースを考えたい”とか、
そういうの書いてもいいぞ」
「え」
不意打ちだった。
喉の奥が、
一瞬で熱くなる。
(“身体の波”って単語、
先生の口から出てくると思ってなかった)
「前にさ、
保健室の先生が言ってたんだよ。
“女の子は、
毎月コンディション変わる前提で
進路とか働き方考えたほうがいいのに、
そこが話題に乗りにくい”って」
「……たしかに」
「だから、
書きたければでいいけど、
“体調の波を無視しないで進路考えたいです”みたいな一言、
ここに“仮”で置いておくのもアリだと思う」
手の甲の『仮』が、
じんわりと主張してくる。
(“女の子は安定したところへ”の反対側に、
こういう大人もちゃんといるんだよな)
「検討しといて」
「……はい」
職員室の前を離れるとき、
胸の真ん中あたりが
ちょっとだけ軽くなっていた。
(“身体の波”を、
進路の話と同じテーブルに乗せてもいいのかもしれない)
(“わがまま”じゃなくて、
条件の一つとして)
---
**夜**
夕食のあと、
リビングのテーブルの上に
進路希望調査を広げる。
お母さんが
テレビの音量を少し下げて、
隣に座ってきた。
「“理学系(未確定)”って書いたのね」
「うん。
“とりあえず事務”って書くのはやめた」
(今、自分の口から“とりあえず”って出たけど、
“やめた”とセットだからセーフってことにしとこ)
「ふふ。
正直でよろしい」
お母さんは、
理由欄を読みながら頷く。
「“棚に分けて考えている途中です”か。
あんたらしいわ」
「担任の先生が、
“そこ、書いていいよ”って言ってくれた」
「そうなんだ」
一拍置いてから、
里奈は『その他』欄に視線を落とす。
白いままの小さなスペース。
そこに、
ボールペンでゆっくりと言葉を置いていく。
『※生理前後など、体調の波がある前提で
勉強や将来の働き方を考えたいです。
“男の子と同じペースで”だけじゃない選び方も相談したいです。』
書きながら、
胸の奥がジリジリする。
(これ、
“甘えてる”って思われる可能性も
ちゃんとあるやつだ)
ペン先が震えないように、
指先に力をこめる。
「……それ、書けたんだ」
お母さんの声が、
少しだけ柔らかくなる。
「うん。
先生が、“書いていい”って言ってくれたし」
「いいと思うよ。
だって実際、
□ゾーンのときとか
頭回らない日あるもんね」
「ある」
(あるどころじゃない)
「“男の子と同じペースで”って、
世の中は簡単に言うけどさ。
スタートラインからして
毎月コンディション違うのにね」
お母さんの愚痴に、
ちょっと救われる。
(ここで“我慢しなさい”って言われたら、
たぶん私の中で何かが折れる)
「三者面談のとき、
その話、先生にもちゃんとできる?」
「……“仮置き”で話すことはできると思う」
「よし。
“仮置き”なら、
多少崩れてもやり直せるからね」
お父さんも、
少し遅れてテーブルに来て
プリントを覗き込む。
「“体調の波を前提に”か。
父さんも、
会議で“午後イチは眠い前提で議題決めましょう”って
言いたいくらいだぞ」
「それはただの昼食後問題でしょ」
三人で笑った瞬間、
テーブルの上の白い紙が、
少しだけ怖くなくなった。
夜。
自分の部屋で、
『二人の季節』の台本ノートを開く。
進路指導室のシーンのページに、
新しい台詞を一本書き足す。
> 「“とりあえず安定”って書くの、
> もうやめたいんです」
>
> 「じゃあ、なんて書くんだ」
>
> 「“仮でこうしたい”って書きたい。
> 身体の波があることも、
> 本当は一緒に出しておきたい」
書きながら、
今日の担任の言葉と、
お母さんの顔と、
自分の『その他』欄の文が
頭の中で重なる。
(この子は、
私よりちょっとだけ言い切るのがうまい)
(でも、
私が怖がりながらも“仮”で書いたことが、
この子のセリフの材料になってる)
ページの端に進捗メモを書く。
『・進路指導室シーン:
“とりあえず安定”→“仮でこうしたい”に書き換え
・身体の波の話を、脚本側にも一行入れた』
手の甲の『仮』を見て、
小さくため息をつく。
(完璧には、
まだ程遠いけど)
(“とりあえず”って書かないで
白い欄を埋めた今日くらいは、
自分の味方をしてもいいかもしれない)
そう思いながら、
ペンを置いた。
## 後書き
**日記**
**20xx年3月30日(月曜日) 高校1年生 田中里奈**
今日は、
“進路希望調査の白紙を、
“とりあえず安定”以外のやり方で埋めてみた日”だった。
---
**今日できたこと**
1. 進路希望調査の『第一希望』欄に、
「とりあえず○○大学」とか
「とりあえず事務」と書かずに、
『理学系(未確定)』と正直に書けた。
その上で、理由欄に
「棚に分けて考えている途中です」と
ちゃんと自分の状態を書いた。
これは、これまでやってきた
「棚」「A/B/Cゾーン」の実験を
進路調査に応用できた結果だと思う。
2. 昼休みに、
友達のお母さんの「女の子は短大で十分」発言に対して、
いつもの「そうなんだ〜」だけで流さずに、
「“十分”かどうかは決めるの本人じゃない?」と
グレーな一言で返せた。
場の空気を完全に変えずに、
自分の違和感だけはちゃんと外に出せたのは、
前から練習してきた「グレーな一言」実験の
進路バージョンとしては
かなり大きな一歩だと思う。
3. 進路希望調査の『その他』欄に、
「生理前後など、体調の波がある前提で
勉強や将来の働き方を考えたい」という文を
実際に書き込めた。
担任が「書いていい」と言ってくれたのも大きいけど、
○/△/□のコンディション記録と
「波」のキーワードを手の甲に書いて
観察してきたおかげで、
“これはわがままじゃなくて条件の一つだ”と
自分で少しだけ認められるようになっていたからこそ
書けた気がする。
---
**今日できなかったこと**
1. 担任に進路希望調査を見せられたとき、
「“仮置き”でいいから書いてみな」と言われて
内心かなりホッとしたのに、
「実は“物語と理科を両方やりたい”んです」とまでは
言えなかった。
理科の話は出せたけど、
“物語側”はまだAゾーンの奥に
隠したままにしてしまった感じがある。
2. 友達と短大の話をしているとき、
「女の子は安定したところへ」という
お決まりフレーズに対して、
頭の中ではもっと具体的な反論(
「身体の波があるからこそ選びたい働き方がある」とか)も
浮かんでいたのに、
結局そこまでは言えず、
一言だけで終わらせてしまった。
深く踏み込んで“空気が重くなる”未来が
怖すぎた。
3. 夜、SNSを見たとき、
「七分コース」を意識して
タイマーをセットしたものの、
「進路に関する情報だから」と
自分に言い訳して
結局九分くらい見てしまった。
「これは参考情報」「これはただの雑音」と
ラベリングする実験を
途中までやったけど、
焦りが強くなってきたところで
ただのスクロールに逆戻りしてしまった。
---
**障害とその分析**
1. 「物語と理科を両方やりたい」と言えなかったのは、
自分の中にある
「二つ欲しがるのは欲張り」というスキーマが
かなり強く効いているからだと思う。
小さいころから、
「どっちか一つにしなさい」と言われてきた経験が多くて、
“両方欲しい”を口に出すと
すぐに否定されるイメージが
無意識レベルでこびりついている。
そのせいで、
一番大事なAゾーンの中身を
最初の一回目では出さずに、
“安全そうなほう”だけを
先に出してしまう癖が残っている。
2. 「女の子は安定」というフレーズに
強いモヤモヤを感じながらも
深く突っ込めなかったのは、
「場を壊さないこと」が
私の中のかなり上位の欲求になっているからだと思う。
所属したい、嫌われたくない、安全圏にいたい、
という欲求が、
「自分の違和感を言いたい」「ラベルを貼られたくない」という
別の欲求よりも
先にブレーキをかける。
その結果、
“一言だけ言ってすぐ話題を戻す”という
安全策に落ち着きがち。
3. SNS七分コースが守れなかったのは、
「進路に関する情報=未来の自分を助けてくれる」と
自動的に“良いもの”ラベルを貼ってしまっていて、
それに逆らうと
「ちゃんと調べてない自分」になってしまう気がしたから。
でも実際には、
友達の「第一志望報告」系投稿は、
今の私にとっては
不安を強化する刺激に近い。
情報と刺激を区別する認知のクセが
まだうまく育っていない。
---
**明日以降の具体的な対策(小さな実験)**
1. SNSを見るとき、
「参考情報」「刺激(不安増幅)」「ただの娯楽」を
心の中で一言ラベリングしてから
スクロールする実験を、
明日から三日間だけ本気でやってみる。
特に進路系投稿については、
「これは今の自分にとって必要な情報か?
それともただ焦らせてくるだけか?」を
一瞬でも立ち止まって考える。
タイマー七分も合わせて使い、
「ラベリング→七分→終了」を
ワンセットとして練習する。
2. 担任との次の会話(ホームルーム後とか)で、
「理学系の中でも、
物語とつなげられたらいいなと思ってます」と
一文だけ足して言ってみる実験をする。
三者面談本番ではなく、
その前の“軽い雑談タイム”で出すことで、
自分の中の「二つ欲しい=欲張り」スキーマに
小さな反例を作りたい。
3. 体調の波について、
来月一ヶ月分の○/△/□に加えて、
「思考過多」「無気力」「イライラ」などの
心の状態も一言メモする実験をしてみる。
今日みたいに身体は軽いけど
頭が走りすぎる日と、
身体が□寄りで動けない日とで
進路のことを考えるタイミングを
変えたほうがいいのかどうか、
パターンを見たい。
これは、
これまでの○/△/□コンディション印と
「観察タイム」の組み合わせの
進化版としてやってみる。
---
**繰り返しの意識**
今日ぶつかったのは、
・「とりあえず安定」という
よくある大人のテンプレと、
Aゾーンの“よくわからないけどワクワクするものたち”を
どう共存させるか
・「両方やりたい」と言うことへの罪悪感と、
それでも口に出さないと
未来の選択肢ごと消えてしまう怖さ
・身体の波を
“隠すべき弱点”から
“ちゃんと条件として書いておく項目”に
少しずつ書き換えていくこと
あたりだったと思う。
一年前の私だったら、
進路希望調査は
「周りが言う安定職」を
そのままコピペして埋めて、
“とりあえず”笑って提出していた気がする。
今日の私は、
・A/B/Cゾーンの棚を紙の上にも描いてから
第一希望を書くことを選んだり、
・「“十分”かどうかは決めるの本人じゃない?」と
グレーな一言で返したり、
・『その他』欄に
身体の波のことを書く冒険をしたり、
たぶん、
「場を壊さない」欲求と
「自分の本音を殺しきらない」欲求の
ちょうど真ん中あたりを
必死で探っていた。
まだ、
・物語と理科の両方を
正面から口に出す勇気は足りてないし、
・“女の子は安定”発言に対して
本気で反論できるほどの言葉もないし、
・SNSの七分コースも
安定して守れているとは言いがたい。
それでも、
今日の白い紙の上には、
少なくとも
「とりあえず」
の四文字は
一度も書かなかった。
“とりあえず”で埋めた未来と、
“仮で置きました”と書いた未来とでは、
きっと少し違う。
その違いがどれくらい大きいのかは、
今の私にはまだわからないけれど、
少なくとも、
今日の私が明日の私に渡せるバトンとしては、
「白紙のまま放り投げる」よりは
マシな気がする。
身体の波も、
進路のモヤモヤも、
全部を一気に説明できる日は
こないかもしれない。
それでも、
・手の甲の『余白/波/距/棚/声/仮』
・A/B/Cゾーンの棚の図
・○/△/□+“思考過多”メモ
・『二人の季節』の台詞たち
こういう小さな道具と物語を
ちょっとずつ増やしながら、
「全部できたわけじゃないけど、
“とりあえず”ってごまかす回数は
昨日より一回減った」
くらいの変化を
積み上げていきたい。
今日は、
その一回がちゃんとあったから、
まあ、
自分の味方をして寝てもいいかな、
と思う。




