リナ、未来のモヤモヤを三つの棚に分けてみる
**20xx年3月16日(月曜日) 高校1年生**
**朝**
電子音が鳴る一秒前くらいに、
目の奥がふっと現実側に浮かんできた。
(最近、目覚ましよりちょっとだけ早く起きがちなんだよな)
スマホが、机の上でかすかに震える。
「七時二分」
先週より一分だけ早い。
どうでもいい差だけど、
なんとなく「まだこっち側にいる」感じがする。
布団の中で、
下腹と腰のあたりを軽くなぞる。
(先週の□ゾーンは抜けたけど、
“全部スッキリ○!”ってほどでもない、
っていう中途半端ポジション)
足を伸ばすと、
ふくらはぎのあたりに
うっすら残ってる水分の重さみたいなのがわかる。
机の前に座って、
カレンダーを見下ろす。
先週の□と△の列の続きに、
土曜日と日曜日の欄がある。
土曜日には△、
日曜日には○。
その下に、
小さく「カラオケ(午前)」と書いてある。
(とりあえず土曜の実験は、
身体的にはちゃんと持った、ってことか)
今日のマス目はまだ空白。
(体感的には△寄りの○、
先週と同じ“中間種族”)
でも、
先週より頭がクリアな感じがするから、
今日は○に寄せておく。
ボールペンで、
今日の日付に○を一つ。
カレンダーの凡例の横に、
新しい小さいメモを書き足す。
『※○の日でも、
「モヤモヤ多め」は別カウント』
(コンディションが○だからって、
気持ちまで○とは限らないです、っていう注釈)
油性ペンを手に取って、
手の甲を見る。
『余白/波/距』のインクは
さすがに薄くなっていた。
その横に、
さらに一文字足す。
『余白/波/距/棚』
(今日のテーマは、“棚”。
モヤモヤを一個の塊で持たないで、
三つくらいの棚に分けて置いてみる実験)
(実験、その十一。
“未来の不安を三層に仕分けしてみる”)
制服の袖を通しながら、
土曜日のカラオケのことを思い出す。
午前だけ参加のハーフコース。
最初はちょっと後ろ髪を引かれたけど、
帰ってきてから『二人の季節』を書けた分、
あれはあれで正解に近かった気がする。
鏡の前で髪をまとめる。
目の下のクマはほぼ消えているけど、
なんとなく目つきが
「年度末モード」に入ってきている感じがした。
(高一のラストスパート、って感じだよなあ)
手の甲の『余白/波/距/棚』を
一度だけ見てから、
ノートを机の端に開きっぱなしにして部屋を出る。
階段を降りるとき、
テレビから
「三者面談」「進級」「受験」という単語が
ニュースの中に紛れ込んで聞こえてきて、
胃のあたりがわずかにきゅっとなった。
---
**午前**
ホームルームで、
新しいプリントが配られる。
『進路希望調査(事前アンケート)』
(来た)
三者面談の前座みたいなやつ。
プリントの上の方には、
『第一希望』『第二希望』『その他』の三つの欄。
(第一希望って言われても、
“希望”ってレベルまで育ってるもの、
まだそんなにないんですけど)
担任の先生は、
黒板の前で腕を組みながら言う。
「このアンケートは、
三者面談のときの話のたたき台みたいなものです。
**全部埋めなきゃいけないわけではありません。**
“今の時点でここまでは考えてる”
“ここから先はまだモヤモヤしている”
みたいな目安を書いてください」
(“全部埋めなくていい”って
先生側から言われるの、
けっこう珍しくない?)
先週の「それぞれのペース」といい、
たぶん先生の中でも、
なにかアップデートが進んでる。
プリントを受け取りながら、
手の甲の『棚』を
親指でそっとなぞる。
(これ、
今日の実験テーマと
めちゃくちゃ相性いいかもしれない)
一時間目の現代文の授業中。
先生が
太宰だか誰だかの一文を朗読している間、
里奈の頭の中では
プリントの三つの欄が
ずっとちらついていた。
(“理系の大学でなにかをやる”っていう
ざっくりしたイメージと)
(“でもそもそも大学行けるのか問題”と)
(“本当は脚本とか物語とかも続けたい”って気持ちと)
全部を
一つの「進路」ってラベルの箱に
無理やり詰め込もうとすると、
途端に息苦しくなる。
(成績表を三色で塗り分けたときみたいに、
進路も三層くらいに分けたら
少しはマシになるのかな)
ページの端に、
こっそり小さくメモを書く。
『進路=
①確実にやりたい/続けたいこと
②興味あるけどこわいこと
③周りに言われてる“安定”』
(この三つを、
とりあえず別々の棚に置いてから
考えてみる)
二時間目の終わりには、
天井の蛍光灯の光が
少しだけまぶしく感じてきた。
(気圧下がってきてる?
それとも単純に寝不足?)
こめかみのあたりがじんわり重くて、
コンディションの○に
小さな※をつけたくなる感じだった。
---
**昼**
お昼休み。
今日は購買のパンの日。
焼きそばパンを半分に割りながら、
向かいの子が言う。
「で、土曜のカラオケ、
午前だけ参加どうだった」
(そういえば、
まだちゃんと振り返ってなかった)
「あのね、
午前だけでちょうどよかった、
が正直な感想」
「おお」
「最初の一時間くらいは
楽しくてテンション上がってたけど、
二時間目に入ったあたりで
“このあともずっとは無理だなー”って
身体が言い始めてたから」
「午後も残ってたら
□になってたパターン?」
「たぶんね。
家帰ってから
ちゃんと『二人の季節』書けたし」
そう言いながら、
土曜の記憶を再生する。
マイクを握った佐伯くんが、
ちょっと古めのアニソンを歌って、
意外と音程が安定していて驚いたこと。
(あの人、
体育で走ってるときと
歌ってるときの顔、
けっこう違うんだよな……)
それを言葉にしそうになって、
口の中で止める。
(「歌うまいね」って言ったら、
また誰かに何か言われるかな、って
中学の記憶がまだちょっと生きてる)
焼きそばパンをかじりながら、
別の角度から話を出す。
「午後、
みんながプリクラとか
ゲームセンター行ってる時間にさ」
「うん」
「私は家で、
進路指導室のシーンの続き書いてたんだよね」
「おー、
脚本優先したんだ」
「優先というか、
ハーフ&ハーフ?
“午前は人付き合い枠”、
“午後は自分の物語枠”
みたいな」
隣の子が、
「それ、休日の距離メモリだね」と笑う。
「進路指導室のシーン、
この前話してたやつ?」
「そう。
“全部決めろって言われると
いきなり遠くまで走らされてる気がする”
っていうセリフのあとにさ、
“とりあえず棚だけ決めよう”って話を
入れようかなって思って」
「棚?」
「“確実にやりたいこと棚”と、
“ちょっと興味あるけど怖い棚”と、
“とりあえず生活できる棚”」
言いながら、
さっき授業中に書いたメモと
だいたい同じ構造を
友達に説明していることに気づく。
(私の頭の中の実験用紙、
だいたい『二人の季節』と
セットで動いてるな)
「それいいじゃん。
“全部決めなさい”より
“棚のラベルだけ決めときなさい”の方が
ちょっと息できる」
向かいの子が、
ペットボトルのお茶を飲みながら頷く。
机の下で、
足の甲をぎゅっと曲げてみる。
朝から続いていた
こめかみの重さが、
少しだけ軽くなった気がした。
(“未来全部”って言われると
パニックになるけど)
(“棚三つ”くらいだったら、
今日のコンディションでも
ギリ触れる範囲かもしれない)
---
**午後**
五時間目が終わるころには、
教室全体が
「午後三時の眠気ゾーン」に突入していた。
机に突っ伏しそうになるのをこらえながら、
プリント類をまとめる。
放課後、
教室に残って
三者面談アンケートを書き始める子もいれば、
家でじっくりやる子もいる。
里奈は、
プリントをクリアファイルに入れてから立ち上がった。
(頭痛が軽いとはいえ、
このまま教室で書いたら
たぶん“とりあえず埋めた版”になる)
(今日は、“棚版”にしたい)
下校の途中、
空の色が
冬と春の間みたいな
中途半端なグレーだった。
(“中途半端コンビ”だな、今日)
家に着いて、
制服を脱いで部屋着に着替える。
机の上に、
ノートとペンと
進路アンケートを並べる。
『人間関係距離メモリ図』のページを開いて、
そのとなりのページに
新しく円を描いた。
真ん中に「田中里奈」。
その外側に、
三つのゾーンをぐるりと書く。
『Aゾーン:今の時点で
本当に続けたい・やってみたいこと』
『Bゾーン:興味はあるけど、
自信や情報が足りなくて怖いこと』
『Cゾーン:周りに
“安定”と言われているルート』
(成績表三色マップの応用版、
って感じだな)
まずAゾーンに、
「理科(実験・分析系)」「脚本・物語」「自然に関わる何か」を書く。
Bゾーンには、
「理系大学」「映像・演出」「心理っぽい分野」。
Cゾーンには、
「事務」「公務員」「実家から通える会社」。
(Aは“好き寄り”、
Cは“世間の安心寄り”、
Bはその間の迷子味)
頭の中のモヤモヤが
紙の上で
三方向に分散していく感覚があった。
(全部を「第一希望」に
詰め込まなくていい、ってだけで
だいぶ息のしやすさ違うな)
進路アンケートの「第一希望」の欄には、
『理系進学(理学部・工学部など)
※詳細はBゾーンとして検討中』と書く。
「第二希望」の欄には、
『安定寄りの職種(事務職など)
※Cゾーンとして情報収集中』。
「その他」の欄には、
『脚本・物語の活動は
どのルートでも
細く長く続けたい』と
小さく付け足した。
(“どのルートでも続けたい”って
書いちゃったぞ)
自分で書いておきながら、
胸の奥が
じんわりむず痒くなる。
(でもたぶん、
これを「その他」に書いておくのと
何も書かないのとでは、
未来の私の扱いが
ちょっと変わる気がする)
頭の重さは
まだ残っているけど、
さっきより輪郭がはっきりしてきた感じがした。
タイマーを二十五分にセットして、
ポモドーロ一セット目は数学。
体調が完全な○じゃないから、
途中で一回深呼吸を挟みながら、
「今日は七割モード」と
手帳にメモしておく。
二セット目は、
『二人の季節』タイム。
進路指導室のシーンの
続きに取りかかる。
> 「全部決めなさい、って言われるとさ」
> 「人生の地図を
> 一枚で描けって言われてる気分になるんだよね」
> 「とりあえず、
> “この棚にはこれ置きたい”くらいで
> 今日は許してほしい」
> 「“やりたい棚”と“怖い棚”と
> “とりあえず生活棚”?」
> 「そう。
> 全部同じ棚に詰め込むと
> 崩れてくるから」
書きながら、
自分がさっきノートに描いた図と
ほとんど同じ構造を
キャラにしゃべらせている。
(でも、
これを物語の中に置いておくことで、
たぶん未来の私が読み返したときの
避難場所になる)
ページの端に進捗メモ。
『・進路指導室シーン:棚の比喩 1ページ追加
・A/B/Cゾーン=人物の台詞として固定』
タイマーが鳴る頃には、
頭の重さは相変わらずだけど、
胃のあたりのキュッとした感じは
少しだけ緩んでいた。
---
**夜**
夕食のとき、
テーブルの端に
進路アンケートの控えを置いておいた。
「お、
進路アンケート書いたんだ」
お父さんが
ハンバーグを切りながら言う。
「うん。
“棚方式”で」
「棚?」
お母さんが首をかしげる。
「“確実にやりたいこと棚”と、
“興味あるけど怖い棚”と、
“周りが安定って言う棚”に分けて、
それぞれ書いてみた」
お母さんは、
アンケートの控えを手に取って
目を通す。
「……“どのルートでも
脚本・物語は続けたい”」
その一文のところで、
ほんの少しだけ
眉が動いた。
(来た)
「脚本って、
それで食べていくってこと?」
(“はい/いいえ”の二択で
答えたら地雷なやつだ)
手の甲の『棚』を
テーブルの下で指でなぞる。
(“全部説明”じゃなくて、
“グレーな一言”応用編)
「食べていくかどうかまでは
まだわかんないけど、
“どのルートでも
完全にゼロにはしたくない”って意味」
できるだけ、
声のトーンをフラットに保つ。
「“まずは安定を”って言われるのは
わかるんだけどさ。
“安定=それだけやる”って言われると、
なんか
自分の中のAゾーンが
全部Cゾーン行きになる感じがして」
「Aゾーン?」
お父さんが笑う。
「棚が本格的だな」
「Aが“やりたい棚”で、
Cが“安定って言われる棚”で、
Bがその間の迷子棚」
太一が、
「オレの棚も整理して」とか言ってる。
お母さんは、
少し黙ってから
ため息をついた。
「……お母さんのときはね」
声が、
いつもより少し低い。
「“女子は特に、
安定したとこに行きなさい”って
ずっと言われてたから。
どうしても里奈にも
“そうしなさい”って言いかけちゃう」
(“女子は特に”)
高校に入ってから
何度も聞いてきたフレーズ。
でも今日は、
そこに続く言葉が
少し違った。
「でも、
身体の波がある中で
全部背負わせるのは
たしかにきついよね。
棚に分ける、っていう考え方は
ちょっといいかもしれない」
お母さんの「きつい」が、
初めて
“里奈側の身体”の話と
セットで出てきた気がした。
胸の奥が、
じんわり熱くなる。
「三者面談のときはさ」
自分でも驚くくらい
自然なタイミングで、
言葉が出た。
「“全部決めました”って顔するんじゃなくて、
“今はこういう棚に分けて考えてます”って
話をしたい」
お父さんが頷く。
「いいと思う。
“決めたふり”されるより、
“どの棚に何が入ってるか”
教えてもらった方が
父さんも安心する」
「……怖くない?」
思わず聞いてしまう。
「“まだ決めてません”って言う娘、
怖くない?」
お父さんは
少しだけ笑った。
「怖くないと言ったら嘘になるけど、
“何も考えてません”と
“棚分けして考えてます”は
全然違うからな」
(“怖いけど、違う”)
それくらいのグレーな言葉が、
今の自分には
いちばんしっくりくる。
夕食のあと、
食器を片付けてから
お風呂に入る。
湯船に浸かると、
昼間のこめかみの重さが
じんわり溶けていく感じがした。
(○の日でも、
気圧とか年度末とか
モヤモヤ要素は普通に乗ってくる)
身体を拭いて、
パジャマに着替えて、
部屋の明かりを少し落とす。
布団に入ってから、
スマホを手に取る。
(三分呼吸→五分→二分、
“ソフトランディング用アラーム”本番)
タイマーを三分にセットして、
画面を伏せたまま枕元へ。
ゆっくり吸って、
ゆっくり吐いて。
胸の上下だけに
意識を集中させる。
三分が終わる音がしてから、
今度は五分タイマー。
SNSを開いて、
友達の投稿を
ざっと流し見る。
(今日は“体調あるある”じゃなくて、
猫の動画と
夕焼け写真くらいにしとこ)
五分が終わる前に
「あと一回だけ更新……」って指が動きそうになるけど、
一回深呼吸してから
二分タイマーに切り替える。
「ここから二分で終わり」
自分に小さく宣言してから、
あと一回だけタイムラインを更新して、
アラームが鳴った瞬間に
画面を閉じた。
(七分ジャスト。
昨日までの十五分だらだら勢とは
だいぶ別物な気がする)
“普通そうな顔”で目を閉じながら、
頭の中にある
いくつかの棚を思い浮かべる。
Aゾーン、Bゾーン、Cゾーン。
○、△、□。
距離メモリの円。
どれもまだ、
完璧なラベルの貼り方はわからないけど。
(とりあえず今日は、
“全部ごちゃ混ぜ”じゃなくて、
“棚に分けようとした”ところまで
できたってことにしとこう)
そう自分に言い聞かせて、
ゆっくりと息を吐いた。
## 後書き
**日記**
**20xx年3月16日(月曜日) 高校1年生 田中里奈**
今日は、
“未来のモヤモヤを
三つの棚に分けて眺めてみた日”だった。
---
**今日できたこと**
1. 進路アンケートを
「第一希望=全部決めた答え」にしないで、
ノートにA/B/Cゾーンの三つの棚を描いてから
書き始めることができた。
Aゾーン(やりたい)、Bゾーン(興味あるけど怖い)、
Cゾーン(周りが安定と言う)に分けたことで、
“全部を一つの正解にしろ”という圧が
少しだけ弱まった。
これは、前にやった
「成績表三色マップ」の応用として
けっこううまく機能した気がする。
2. 夕食のときに、
お母さんから
「脚本って、それで食べていくってこと?」と聞かれたとき、
“全部説明モード”にならずに、
「どのルートでも完全にゼロにはしたくない、
って意味」と
グレーな一言で返すことができた。
そのあと「女子は特に〜」の話が出たときも、
身体の波の話とセットで
お母さんから「きついよね」という言葉が出てきて、
会話の温度が前より少し柔らかくなった。
3. 夜のSNSタイムで、
三分呼吸→五分→二分の
二段階アラーム実験を
初めてちゃんと本番で試せた。
合計七分でスマホを閉じることができて、
昨日までの十五分だらだらスクロールと比べると
「自分で決めて終われた感」が
だいぶ違った。
これは、先週から続けている
呼吸タイマー実験の
バージョンアップだと思う。
---
**今日できなかったこと**
1. 午前中の現代文の授業で、
進路アンケートのことが気になりすぎて、
一部の本文の内容が
頭に入ってこなかった。
先生が言っていた例え話を
クラスメイトにあとから聞き直すことになって、
「今ここ」の集中が
まだうまく切り替えられていないと感じた。
2. 進路アンケートの「第二希望」欄に
Cゾーンの“安定寄りルート”を書いたとき、
一瞬で
「結局は安定かよ」と
自分で自分を責めるモードに入りそうになった。
「これはCゾーンとして情報収集中」と
注釈をつけることで
なんとか持ち直したけど、
“安定”という言葉に対する
拒否反応と不安が
まだうまく整理できていない。
3. 午後、
ポモドーロ二セット目のあとに
ちょっとだけ休憩のつもりで
ベッドに横になったら、
十分くらい
意識が飛ぶように眠ってしまった。
体調○だからといって
エネルギーが無限ではないのに、
頭の中で「もっとやれるはず」と
無理をかけてしまった感じがある。
---
**障害とその分析**
1. 現代文の内容が頭に入らなかったのは、
「進路を考えなきゃ」が
頭の中で“緊急モード”扱いになっていたからだと思う。
本当は、
アンケートは今日中にざっくり方向性が決まればいいだけなのに、
「今この瞬間に完璧な答えを出さなきゃ」と
0か100かの思考をしてしまうクセが
まだ根強い。
さらに、
こめかみの重さもあって、
集中力の池の水位が
普段より低かったのも影響している。
2. Cゾーン=“安定”に対するモヤモヤは、
「女子は特に安定したとこへ」という
世代をまたいで受け継がれている価値観と、
自分の中の「やりたいことAゾーン」の存在が
真っ向からぶつかっているからだと思う。
“安定を選ぶ=夢を裏切る”みたいな
極端な構図でとらえてしまうせいで、
Cゾーンを「情報集め用の棚」として
冷静に扱うのが難しい。
3. ポモドーロ後の意識飛びは、
体調○の日でも
季節の変わり目や
気圧の変化で
見えない疲れがたまっているのに、
「先週の□の日よりはマシだから
今日はガンガン行けるはず」と
自分に期待をかけすぎたせいだと思う。
身体のコンディションと
メンタルのモヤモヤが
別物のようでいて
けっこうリンクしているのに、
そこをまだうまく計算に入れられていない。
---
**明日以降の具体的な対策(小さな実験)**
1. 進路関連のことを考える時間を
「一日一コマ」に区切る実験をする。
例えば、
“今日の進路タイムは十五分だけ、
Aゾーンの中身を一個だけ深掘り”
とか、
“明日はBゾーンの職業を
一種類だけ調べる”みたいに、
一度に全部やろうとしない。
これは、
勉強でやっているポモドーロの
「小分け思考」を
進路にも応用するイメージ。
2. 三者面談に向けて、
言いたいことを
“長文説明”ではなく
“短いグレーな一言+補足”の形にして
三つだけ準備する。
例えば、
「まだ迷子ゾーン多いけど、
理科は続けたいです」
「安定も大事だけど、
完全にAゾーンを捨てるのは嫌です」
「身体の波がある前提で、
勉強のペースを考えたいです」
など。
これは、
これまで練習してきた
“グレーな一言”の
進路版としての応用。
3. 体調○の日でも、
気圧が低そうな日や
頭が重い日は、
最初から「七割モード」宣言を
ノートに書く実験をする。
その日は、
勉強時間や予定を
あえて七割に抑えたうえで、
どのくらい疲れ方が変わるかを観察する。
これは、
□の日に予定を減らす実験の
“軽い日バージョン”として
試してみたい。
---
**繰り返しの意識**
今日向き合ったのは、
・「進路」という一枚岩っぽい言葉を
A/B/Cの三つの棚に分解すること
・“女子は特に安定を”という
古いラベルに対して、
自分なりのAゾーンの存在を
少しだけ認めてみること
・身体の波が大きくない○の日でも、
気圧や年度末の空気で
モヤモヤの量が増える、
という現象をちゃんと観察すること
みたいなテーマだった。
一年前の私だったら、
進路アンケートなんて
「とりあえず安定っぽい職業を書いて出す」か
「よくわからないから空欄のまま出す」かの
どちらかだったと思う。
今日の私は、
・成績表三色マップで使った
「色分け思考」を
A/B/Cゾーンの棚分けに応用したり、
・お母さんに対して
“全部説明”ではなく
“グレーな一言+少しだけ本音”を
試してみたり、
・呼吸タイマー+二段階アラームという
夜のSNS対策を
実際に七分で成功させたり、
少しずつだけど、
「全部決めるか、何も考えないか」の世界から
“途中の棚を用意する世界”への移行を
練習できた気がする。
もちろんまだ、
・現代文の授業中に
進路のことを考えすぎて
目の前のテキストを落としたり、
・Cゾーンの“安定”に触れただけで
自分を責めそうになったり、
・体調○の日だからといって
つい予定を詰め込み過ぎて
ミニ居眠りに突入したり、
課題は山盛りだ。
それでも、
「全部を今ここで決め切れない自分」=ダメ、
ではなくて、
「今日はA/B/Cの棚を
ちゃんと描けたところまでできた」
「“棚に置いておく”という選択肢も
決め方の一つだ」
と見なせるようになってきたのは、
ここ数週間の実験の積み重ねの
成果な気がする。
身体の波も、
進路のモヤモヤも、
どっちも「今すぐ完全解決」は
ほぼ無理だと思う。
だからこそ、
・○/△/□のマークとか、
・距離メモリの円とか、
・A/B/Cの棚の図とか、
自分で作った小さい道具たちを
その日その日のコンディションに合わせて
ちょっとずつ使い回しながら、
「まあ今日も、
未来のことを全部決めたわけじゃないけど、
棚を一段だけ整えたよね」と
言える日を
増やしていきたい。
全部の答えが
きれいに出揃う未来なんて
たぶん来ないのかもしれないけど、
昨日よりほんの少しだけ
“決められない自分”への諦め方が
ゆるくなったなら、
それだけでも
この実験は
ちゃんと前に進んでいるんじゃないかと、
今日は思えた。




