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リナの冒険ノート2  作者: リナ


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43/93

リナ、“わからない”を声に出してみる

**20xx年2月3日(月曜日) 高校1年生**


**朝**


耳元で、

また軽い電子音が鳴った。


「……七時五分」


天井の白い模様を、

一呼吸ぶんだけ目でなぞる。


(実験、その四。

 “一個目アラーム+朝五分の観察タイム”)


一月で使い切ったノートのページのあとに、

新しく「二月」の見出しをつけた。


スマホは、

先週と同じくベッドから少し離れた棚の上。


布団の中で

一瞬だけ迷ってから、

腕を外に出す。


空気の冷たさが

肌にまとわりついて、

背筋にぞわっと鳥肌が立つ。


(ここ、

 毎回ちょっとした修行なんだよな)


えい、と

半身を起こす。


足を下ろした床は、

思ったより冷たくて、

一気に目が覚める。


スマホのアラームを止めて、

そのまま机の椅子に腰かける。


『二月からのゆるい実験メモ』を開いて、

今日の日付の横にペン先を置く。


(“起きてから五分は、

 今日の自分の様子と予定を書くタイム”)


手元の腕時計をちらっと見て、

針の位置を頭に刻む。


ノートには、

最初にこう書いた。


『・学年末テストまであと〇日

 ・数学と英語に“先生質問候補”あり

 ・放課後、職員室前までは行く(最低ライン)』


(“質問する”じゃなくて、

 “前までは行く”を最低ラインにするの、

 自分らしい甘さだけど)


でも、

いきなりハードルを上げすぎて

自分で折れるよりは、

こうやって階段を細かく刻んだ方が

今の自分には合っている気がした。


制服に着替えて、

タイツを引き上げる。


鏡の中の自分は、

先週より少しだけ

顔が引き締まって見えた。


(たぶん、

 “新二年生”って言葉のせい)


前髪を整えていたら、

ドアの向こうから

お母さんの声。


「里奈ー、

 テスト前なんだから、

 夜ふかししないでよー」


「してないし」


反射的に返してから、

(まあまあしてたな)と

心の中で訂正する。


その小さい罪悪感と一緒に、

ノートの隅に小さく書き足す。


『・夜の“スマホだらだらゾーン”要注意』


**午前**


駅のホームに立つと、

吐く息はまだ白いけど、

風の冷たさが

少し丸くなっている気がした。


電車に乗り込んで、

つり革につかまる。


(今日も、“電車十分+スマホ五分”セット)


カバンから

メモ帳と単語帳を出す。


メモ帳の新しいページには、

上の方に先にタイトルだけ書いておいた。


『先生に聞きたいことメモ』


(昨日の自分、

 やる気だけはある)


数学の問題集の番号と、

英語の長文のページ数を

小さく書き込む。


『・数Ⅰ P.56 途中式が急に飛ぶところ

 ・英語 長文の“主語どこ行った問題”』


書いているうちに、

自分の中の“わからない”が

ちょっとだけ整理されていく。


(“できない自分”っていう

 ふわっとした塊が、

 “このページのここの行”っていう

 ピンポイントに変わる感じ)


十分のタイマーが鳴いて、

今度はスマホの番。


ロック画面の通知を

一度だけ眺めてから、

タイマーを五分にセットする。


ニュースアプリを開くと、

「理系女子特集」みたいな文字が

目に飛び込んできた。


(“リケジョ”って言い方、

 いまだにちょっとモヤるんだよな)


記事には、

「数学が得意な女子はかっこいい」とか

「男子に負けない」とか、

そんな表現が並んでいる。


(“男子に負けない”って、

 なんでそこでいちいち

 比べられる前提なんだろ)


胸のあたりが

じわっと熱くなる。


タイマーが鳴ったところで、

スマホを閉じる。


メモ帳の端に、

さっきの記事のことを

短く書き足す。


『・“理系女子=特別”って言い方の違和感

 →『二人の季節』のセリフ候補』


(こうやって、

 モヤモヤをとりあえず“材料置き場”に移すの、

 だいぶ板についてきたかも)


**昼**


一時間目の英語が終わって、

二時間目は数学。


黒板には、

この前の図書館で

苦戦した単元の例題が出ていた。


先生が解き終わって、

チョークを置く。


「ここまでで、

 “よくわかんないなー”って人?」


挙手を促す言い方は、

いつもより

少しゆるかった。


(“よくわかんないなー”って

 自分から言ってくれるの

 ちょっとありがたい)


でも、

手は上がらない。


里奈も、

机の上で

シャーペンを握ったまま動けない。


(ここで挙げたら、

 クラスの空気の中で

 ひとりだけ飛び出す感じになるし)


代わりに、

ノートの端の

『先生に聞きたいことメモ』の欄に、

小さい矢印を書き足す。


『→今日の放課後、

 ここだけでも聞けたら◎』


チャイムが鳴って、

先生が教卓のプリントをまとめる。


「テスト前は、

 職員室に質問に来る人も増えます。


 “今さらこんなこと聞いていいのかな”って

 心配になるかもしれませんが、

 それを気にしてる間に

 テストは進みますからね」


さらっとした口調なのに、

妙に心に残る。


(“気にしてる間にテストは進む”って、

 なんか人生全体にも刺さるんだけど)


胸の真ん中が、

少しだけきゅっとなる。


**昼休み**


今日のお弁当の卵焼きは、

先週より甘くて、

ふわふわしていた。


向かいの子が、

教科書をトレーみたいに持ちながら言う。


「ねえ、

 数学やばい」


「やばいの定義よ」


隣の子が笑いながら返す。


「うち、

 このページ丸ごと“??”なんだけど」


そう言って見せてきたページは、

さっき里奈が

『先生に聞きたいことメモ』に書いたところと

ほとんど同じだった。


「……そこ、

 私もけっこうモヤモヤしてる」


つい本音が漏れる。


「え、

 里奈でも?」


“でも”が

ちょっとだけ刺さる。


(“里奈でも”って言われるたびに、

 勝手にハードル積まれてる感じするんだよな)


でも、

今日はその刺さり方を

ちゃんと観察する余裕が

少しだけあった。


「てかさ」


隣の子が、

箸を止めてこっちを見る。


「今日さ、

 放課後に一緒に先生のとこ行かない?


 ひとりで職員室行くの、

 普通に怖くない?」


心臓が、

スプーンを落としそうなくらい

ドクンと跳ねる。


(昨日日記に書いた“ひとりで抱えない質問実験”、

 思ったより早くチャンス来たんだけど)


喉が一瞬詰まる。


「……職員室前までは行く、って

 今朝ノートに書いたから」


グレー寄りだけど、

今の自分の本音に近い言葉を

そのまま出してみる。


「前までって」


「いや、

 ドアの前で固まる可能性も含めて、

 って意味」


そう付け足したら、

テーブルの上の空気が

ふっとゆるんだ。


「じゃ、

 固まるところまで一緒に行こ」


「こわくて無理だったら、

 廊下二往復して帰ろ」


「それはそれで運動になるしね」


笑いがこぼれる。


胸の奥で

張り詰めていた何かが、

少しだけほどけた。


**午後**


放課後。


教室の窓から差し込む光は、

冬のわりに柔らかかった。


カバンを肩にかけて、

教科書を抱える。


(職員室前まで、

 って朝書いたし)


自分で自分に、

小さく念を押す。


「行く?」


昼休みに約束した子が、

廊下で待っていた。


二人で並んで歩くと、

足音が

いつもより大きく響いて聞こえる。


職員室の前に着いた瞬間、

心臓の音が

耳のすぐそばで鳴り出した。


ドアには

「職員室」と

黒い文字。


(この四文字、

 なんでこんな威圧感あるんだろ)


手のひらに汗がにじむ。


「……一回、

 廊下の端まで行って戻ってこよ」


自分でもびっくりするくらい

素直にそう提案していた。


「賛成」


二人で廊下を歩いて、

突き当たりの窓から外を見る。


グラウンドでは、

一年生らしき男子が

ボールを蹴っていた。


「なんかあの子たち、

 “先輩が職員室行ってる”とか

 全然気にしてないんだろうな」


「たぶんね」


(“先輩”側にいるの、

 こっちなんだよな)


その事実が、

ほんの少しだけ

背中を押してくれる。


戻ってきて、

もう一度職員室の前に立つ。


今度は、

ノックする前に

心の中で深呼吸を一回。


トントン。


自分の指が

ドアを叩く音が、

やけに大きく響いた。


「はいー」


中から聞こえた声と同時に、

ドアを開ける。


「失礼します」


二人の声が

重なった。


中では、

先生たちがそれぞれ

机に向かって仕事をしている。


数学の先生は、

窓側の列で

プリントをめくっていた。


(ここからが本番)


足が少し震えるのを感じながら、

先生の机の前まで歩いていく。


先生が顔を上げて、

少し驚いたように目を丸くした。


「お、田中さんたち。

 どうしたの?」


喉が一瞬乾く。


(“どうしたの?”って聞かれて、

 “別に”って言って帰ったら

 今日一日がもったいなさすぎる)


心の中で、

自分にツッコミを入れる。


「今日の、

 数学の授業で……」


横で

友達が先に口を開いた。


「ここがわかんなくて」


ノートを差し出す手が、

かすかに震えている。


(あ、

 震えてるの、

 私だけじゃないんだ)


それを見て、

胸の奥で何かが

少し解けた。


「ええとね」


里奈も、

自分のノートを開く。


『先生に聞きたいことメモ』に書いたページの

隣の行を指さす。


「この途中式が、

 どうしてこうなるのか、

 もう一回だけ教えてほしくて」


声は小さかったけど、

ちゃんと空気を震わせた。


先生は、

少しだけ笑って

二人のノートを覗き込む。


「うん、いいところに気づいてるね。


 ここはね、

 こういう考え方をすると

 見えやすくなるんですよ」


そう言って、

黒ペンでゆっくりと

別の書き方を示してくれる。


途中で何度か、


「ここまでは大丈夫?」


と確認してくれるのが、

ありがたかった。


(さっき電車で読んだ“わからない前提で話してくれる人”って、

 こういう感じなのかも)


説明が一通り終わったところで、

先生がふと付け加える。


「女の子で、

 ここちゃんと聞きに来る子は

 けっこう伸びるんだよね。


 “数学は男子の方が得意”って

 思ってる人、

 まだけっこういるけど」


その言い方は、

責める感じではなかったけど、

里奈の胸の奥の

モヤモヤのスイッチを

少しだけ押した。


(“女の子で”って、

 わざわざ前につけなくても

 よくない?)


でも、

喉まで上がってきたその言葉は、

今日はまだ

声にはならなかった。


代わりに、

ノートの端に小さく書く。


『・“女の子で〜は伸びる”の言われ方の違和感

 →あとで整理』


先生が最後に一言。


「わからないところを

 ちゃんと持ってくるの、

 それだけでテスト前の

 いい準備ですよ」


“ちゃんとしてる”じゃなくて、

“いい準備”と言われたのが

少し救いだった。


職員室を出て、

扉が静かに閉まる。


廊下の空気が、

さっきより

少しだけ軽い。


「……生きてる」


友達がぽつりと言って、

二人で笑った。


(“質問できる子”っていう

 別の生き物じゃなくて、

 “震えながらもなんとか聞けた私たち”っていう

 カテゴリが増えた感じ)


心臓の鼓動は

まだ少し早いけど、

さっきまでの

ギュッとした苦しさとは

ちょっと違っていた。


**夕方**


今日は図書館には寄らず、

まっすぐ家に帰った。


(職員室チャレンジだけで

 体力けっこう削れたし)


その代わり、

自分の部屋で

“ハーフセットポモドーロ×二回”を

やってみることにした。


机の上を片付けて、

スマホは

手の届くけど視界からは外れる棚の上。


『二十分集中+十分スマホ』を

二回。


一回目の二十分は、

今日先生に教えてもらったところを

復習するタイム。


ノートにもう一度

途中式を書き写しながら、

自分で言葉にして

説明してみる。


(“説明できるかどうか実験”、

 わりと好きかもしれない)


二十分が終わって、

タイマーが鳴る。


十分のスマホタイムは、

最初の三分だけ

SNSをざっと見て、

残りの七分は

『二人の季節』関連に使うことにした。


メモアプリを開いて、

今朝電車で書いた

“理系女子”の記事のメモを読み返す。


(今日のモヤモヤ、

 そのまま舞台のセリフに持っていけそう)


二回目の二十分は、

『二人の季節』のノートタイム。


新しいページに、

太めのペンでタイトルを書き込む。


『第〇場:進路指導室の午後』


頭の中に、

舞台の上の二人の姿が浮かぶ。


> 「“女の子なのに理系なの?”って

>  言われるとさ、

>  なんか“えらいね”と“変わってるね”を

>  同時に渡されてる気持ちになる」


> 「じゃあ、

>  なんて言われたいの?」


> 「“それで?”って訊かれたい。

>  文系でも理系でもなく、

>  “あなたはどう生きたいの”って」


鉛筆を走らせながら、

自分の胸のあたりが

じわっと熱くなる。


(さっき先生に

 言えなかったぶんを、

 こっちに流し込んでる感じ)


ページの下の方には、

小さく進捗メモを入れておく。


『・進路指導室のシーン 台詞2ページぶん下書き

 ・“女の子で〜”発言をどう扱うか、

  次回要検討』


タイマーが鳴ったところで、

一気にペンを止める。


(“もっと書きたい”の途中で止めると、

 明日も続きが気になるんだよな)


それを、

自分へのちょっとしたご褒美にする。


**夜**


夕食のとき、

お父さんが

新聞を畳みながら言う。


「そういえば、

 進路希望調査の紙、

 そろそろ配られる頃じゃないか?」


お母さんが、

キッチンから顔を出す。


「そうだねー。

 女子は選択肢が多いんだから、

 ちゃんと考えなきゃね」


また出た、“女子は”。


胸のあたりで

さっきの職員室の言葉と

重なって、

少しだけザラッとする。


(“女子は選択肢が多い”って、

 なんでいつも“ちゃんと”とセットなんだろ)


喉まで何かが上がってくる。


(ここで黙るか、

 ちょっとだけグレーな一言を出すか)


箸を置いて、

一回深呼吸をする。


「……選択肢が多いのって、

 考える時間も多めにもらえる、

 ってことだといいんだけどね」


自分でも、

思ったよりスムーズに出てきた。


お母さんが

一瞬手を止めて、

里奈の方を見る。


「まあ、

 そうなんだけどさ」


お父さんが、

くすっと笑う。


「いいこと言うじゃないか。

 考える時間、

 親にも欲しいくらいだな」


テーブルの上の空気が、

少しだけ和らぐ。


(言い返した、ってほどじゃないけど。

 でも“はいはいわかってる”って

 笑って飲み込んだだけのときとは、

 ちょっと違う)


食器を片付けて部屋に戻るとき、

リビングの隅で

しろが丸くなって眠っていた。


その規則正しい寝息を聞いていたら、

少しだけ

自分の呼吸も

落ち着いてきた。


ベッドに入る前に、

『二月からのゆるい実験メモ』を開く。


今日の欄に、

小さくチェックを書き足す。


・一個目アラームで上半身起こす+朝五分観察→◯

・先生に聞きたいことメモ→職員室で一個だけ質問成功→△〜◯

・“女子は〜”発言へのグレーな一言返し→◯


(全部完璧じゃないけど、

 “ゼロ”ではない)


電気を消して布団に入ると、

遠くで電車の音がした。


一週間前の自分より、

そこから聞こえる未来の音が

ほんの少しだけ

近く感じる。


(“わからない”を

 全部飲み込んだままじゃなくて、

 ちょっとだけ

 外に出せるようになってきた気がする)


それだけでも、

先週より

諦めるタイミングが

少し遅くなっているのかもしれない、

と思いながら目を閉じた。


---



## 後書き


**日記**


**20xx年2月3日(月曜日) 高校1年生 田中里奈**


今日は、

“『わからない』を

 ちょっとだけ外に出してみた日”だった。


---


**今日できたこと**


1. 一個目のアラーム実験を続けながら、

「起きてから最初の五分は

今日の予定と気分を書く」という

“観察モードの朝”をスタートできた。

そのおかげで、

職員室に行くことを

朝のうちから最低ラインとして

自分に宣言できた。


2. 数学の授業で

その場で手を挙げることはできなかったけど、

ノートの端に

「先生に聞きたいことメモ」を作って整理し、

放課後、友達と一緒に

職員室まで行って

そのうち一つだけでも

直接質問することができた。

(先週の日記に書いた

“ひとりで抱えない質問実験”の、

実行版)


3. 勉強タイムのポモドーロを

「四十五分×一セット」から、

「二十分集中+十分スマホ×二セット」の

ハーフ版にサイズダウンして実験。

二回目の集中時間で

『二人の季節』の

新しいシーン(進路指導室の場面)の台詞を

2ページぶん書き進められた。


---


**今日できなかったこと**


1. 朝の「五分観察タイム」で書いた

“今日の予定”を、

日中ずっと意識し続けることはできなかった。

授業中や昼休みには

すっかり忘れていて、

思い出したのは

放課後の廊下を歩いているときだった。


2. 職員室では、

本当は数学だけじゃなくて

英語の長文の質問もしたかったけど、

一つ聞いた時点で

心拍数が限界に近くなり、

「もう一問」は言い出せなかった。


3. 夜のハーフポモドーロを、

本当は三セット目までやるつもりだったのに、

二セット目が終わったあと

スマホで動画を見始めてしまい、

気づいたら

次のタイマーをセットする前に

一時間近く経っていた。


---


**障害ハードルとその分析**


1. 朝の予定を

一日中覚えていられなかったのは、

書いたあとに

目につく場所にノートを置かなかったから、

という物理的な問題も大きいと思う。

机に開きっぱなしにしておくのは

なんとなく「ちゃんとしてる人」っぽくて、

自分には早い気がして

無意識に閉じてしまった。


2. 職員室で「二問目」が言えなかったのは、

単純に緊張で体力を使い果たしたのと、

「長居したら迷惑かも」という気持ちが

絡み合っていた。

先生の「他に質問ある?」という言葉を

“本音”ではなく、

“社交辞令かもしれない”と

勝手に解釈してしまったところもある。


3. 夜の三セット目に入れなかったのは、

「二セットできた自分」で

今日を終わらせたい気持ちがあって、

そこで終わりにした方が

“失敗しないで済む”と

どこかで思っていたから。

動画を見始めたのも、

「もう今日は十分やったし」という

自分への言い訳を

強化してしまう行動だった。


---


**明日以降の具体的な対策(小さな実験)**


1. 朝の観察タイムについては、

ノートを閉じてしまうのではなく、

机の端に開いたまま置き、

上に小さな付箋を貼っておく。

付箋には

「今日の自分」を一言でまとめる

ミニキャッチコピーを書いて、

目に入るたびに

朝の気持ちを思い出せるか

実験してみる。


2. 職員室での「二問目問題」については、

「質問候補」をたくさん持っていくのではなく、

「今日は最低一問だけ」と

★マークをつけたものを

あらかじめ決めておく。

それを聞けたら合格で、

余力があったら二問目に挑戦する

“おまけ枠”にする。

そうすれば、

“全部聞けなかった自分”より

“予定よりはできた自分”として

振り返れるかもしれない。


3. 夜のハーフポモドーロ三セット目については、

三セット目だけ

時間をさらに短くして

「十五分集中+五分スマホ」の

かなり軽いセットにする。

その十五分は、

勉強でも『二人の季節』でもどちらでもよくて、

とにかく椅子に座り直して

タイマーをスタートさせることだけを

目標にする“おまけ実験”にしてみたい。


---


**繰り返しの意識**


今日うまくいかなかったことは、

先週とほとんど

同じテーマの延長線上にある。


朝の使い方、

先生への質問、

勉強の二セット目・三セット目。


どれも、

「一回うまくいったから

 もう大丈夫」って言えるタイプのものじゃなくて、

むしろ何度も

条件を変えながら試していくしかない。


でも、


・スマホの位置を

 “手は届くけど視界からは外れる場所”に置いてみたり

・「先生に聞きたいことメモ」という

 “わからなさの棚卸し”を始めたり

・“グレーな一言”を

 今日は家族との会話にも

 少しだけ応用できたり


そういう“小さい応用”の数は、

確実に増えている。


一週間前の私は、

職員室のドアの前で

固まっている自分を想像しただけで、

そのまま廊下を引き返していたと思う。


今日は、

友達と一緒に

廊下を一往復してから、

震えながらも

中に入って

一つだけ

「わからない」を声に出せた。


それだけで、

世界の見え方が

ほんの少しだけ変わった。


進級、

進路、

“女の子だから”と言われる未来は、

まだ全部はっきりしないけれど、


・モヤモヤをメモして

・台詞にして

・小さな実験を挟んでから諦める


その遠回りのやり方だけは、

少しずつ

体に染み込んできている気がする。


「全部は無理だけど、

 今日は一個だけやってみたじゃん」


もし一年後の私が

今日の日記を読んだら、

きっとそう言って

笑うと思う。


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