リナ、“ちゃんと”の線をひいてみる
**20xx年2月10日(月曜日) 高校1年生**
**朝**
電子音が、
いつもより一段階高く聞こえた気がした。
「……七時五分」
一瞬、
そのまま布団に沈み込みたくなる。
(テスト初日の朝ってだけで、
空気の重さ、
いつもの一・二割増しじゃない?)
天井の模様を、
二呼吸ぶんだけ目でなぞってから、
腕を外に出す。
冷たい空気が
肌にまとわりついて、
背中にぞわっと鳥肌。
(実験、その五。
“一個目アラーム+五分観察+付箋キャッチコピー”)
えい、と
半身を起こす。
床の冷たさが
足の裏からしみ込んできて、
心臓が一気に目を覚ます。
スマホを止めて、
机の前の椅子に座る。
『二月からのゆるい実験メモ』を開いて、
今日はノートを閉じないで済むように
端っこに小さな付箋を貼る。
黄色い付箋の真ん中に、
ボールペンで一行。
『今日の里奈:震えながらも一本線は引く』
(“満点取る”とかじゃなくて、
“ここまではやった”って線くらいは
自分で引きたい日)
日付の下には、
いつもの三行。
『・学年末テスト一日目
・数学/国語
・「わからないの棚卸し」を信じてみる』
書いていたら、
胃のあたりがきゅっと縮む感じがした。
(中学のとき、
テストの日の朝にお母さんから
「ちゃんとやりなさいよ」って
言われるたび、
“ちゃんと”って何点からなんだろって
ずっと考えてたな)
制服に着替えて、
タイツを引き上げる。
鏡の中の自分は、
先週より少しだけ
目の下のクマが濃い気がするけど、
前髪の分け目は
いい感じに決まっていた。
(見た目だけでも、
“なんか大丈夫そうな人”に
寄せておきたい)
ノートを机の端に開きっぱなしにして、
付箋がちらっと目に入る位置に置いてから
部屋を出る。
階段を降りる途中で、
リビングからお母さんの声。
「里奈ー、
今日からテストでしょ?
ちゃんと見直しするんだよー」
また出た、“ちゃんと”。
「……できるところは、ね」
ちょっとだけ笑いを混ぜて返したら、
お母さんが
「そこは全部って言いなさい」と
半分冗談みたいに返してきた。
胸の真ん中が、
少しだけきゅっとなる。
(“全部ちゃんと”は、
今日も無理かもしれないけど)
靴を履きながら、
さっき書いた付箋の文字を
頭の中でなぞる。
(“一本線”くらいは)
**午前**
駅のホームは、
いつもより少し人が少なかった。
テスト期間だからか、
みんな集合時間がバラけている。
電車の揺れに合わせて、
つり革がゆらゆら揺れる。
(今日も、“電車十分+スマホ五分”)
メモ帳を開くと、
『先生に聞きたいことメモ』のページの横に
新しく書き足した欄が目に入る。
『テスト中の使い方実験』
その下に、
昨夜書いた箇条書き。
『・一周目→できそうな問題だけ先に埋める
・飛ばした問題に「?」印をつける
・見直しタイムは、
“全部を疑う”んじゃなくて
ケアレスミス候補だけチェック』
(“全部ちゃんと見直し”じゃなくて、
“ここだけ重点的に”にするやつ)
数学の「途中式が飛ぶ問題」は、
先週先生に聞いたおかげで
少しだけ霧が晴れている。
(“わからないの棚卸し”が、
ちゃんと今日のテストに
届いてるといいな)
十分のタイマーが鳴いた。
スマホの五分は、
今日はニュースじゃなくて
時間割の再確認と
クラスLINEだけざっと見る。
「数学終わったら死ぬ」
みたいなメッセージが
何個も並んでいて、
思わず苦笑する。
(“死ぬ”は言いすぎだけど、
“いったん魂抜ける”くらいは
あるかもしれない)
学校に着くと、
廊下には
いつもの元気な声と
少し低めのため息が混ざっていた。
黒板の端の時間割には、
太い字で
『学年末テスト一日目』。
(この字を見るたび、
“今年が終わる”っていうより
“高一が削られていく”みたいに感じるの、
私だけかな)
**テスト一時間目(数学)**
答案用紙が配られる音が、
教室中でカサカサ鳴る。
「それでは、
学年末考査一日目、
数学のテストを始めます。
名前とクラスを書いて、
合図があるまで
問題は開かないでください」
心臓が、
胸の中でドクンドクンと主張し始める。
(名前書くところまでは、
いつだって満点取れるのに)
深呼吸を一回。
「始め」
その声と同時に、
一斉に紙をめくる音。
一問目は、
見覚えのあるパターンで
少し安心する。
(ここでつまずいたら、
完全に心折れるやつだから
ありがたい)
途中式を書きながら、
先週先生に教えてもらった
別の考え方を思い出す。
(ここでこうまとめてから……)
シャーペンを動かす手は、
思ったよりスムーズだった。
二問目、三問目と進んでいくうちに、
「できた」「たぶんできた」「怪しい」の
三つの箱に
頭の中で自動的に仕分けされていく。
……四問目で、手が止まる。
(あ、これだ)
図形の問題。
図の中に描かれた補助線に、
見覚えがあるような、
ないような。
解き方が
頭の中で霧みたいに広がるだけで、
一本の線にならない。
胃の奥が、
きゅっと縮む。
(ここで固まると、
また“気にしてる間にテストは進む”になる)
メモ帳に書いた
「テスト中の使い方実験」を
思い出す。
(できそうな問題から埋める、
だったよね)
一度シャーペンを置いて、
「4」の横に
小さく「?」を書き込む。
そして、
まだ手をつけていない
大問の方に飛ぶ。
手の震えは、
完全にはおさまらない。
(“飛ばしていい”って
自分で決めたんだから、
今はそれを信じる)
最後の十分で
見直しタイムに入ったとき、
四問目に戻る。
さっきより
少しだけ冷静な頭で図を見ると、
別の角度から
補助線の引き方が
するっと浮かんできた。
(さっき職員室で教わったときの図と
似てる)
心臓の鼓動が
一瞬だけ落ち着く。
全部は書ききれなかったけど、
「完全に白紙」ではない状態まで
持っていくことができた。
(“満点”じゃなくて、
“ゼロじゃないところまで”)
鉛筆を置いた瞬間、
肩から力が抜けて、
視界が少しぼやけた。
**昼休み**
テストが終わった教室は、
一気に音量が上がる。
「無理」「終わった」「数学に殺された」
みたいな言葉が飛び交って、
ちょっとしたお祭りみたいだ。
お弁当のふたを開ける手が、
まだ少し震えている。
「どうだったー?」
向かいの子が、
おにぎりをかじりながら聞いてくる。
「んー……
できたとこと、
“お祈りゾーン”半々くらい?」
自分でも
なかなか便利な表現を出した気がして、
ちょっとだけ笑いそうになる。
「“お祈りゾーン”って何」
「部分点ください神社」
隣の子が
即興で命名して、
机の上に手を合わせるポーズをしてみせる。
笑い声が広がる。
(“全然ダメだった”って
自分を丸ごと落とすんじゃなくて、
ゾーン分けできたの、
ちょっと大人な気もする)
向かいの子が、
ふと思い出したみたいに言う。
「そういえばさ、
先週職員室で
先生に質問しに行ってたでしょ?」
心臓が、
またドクンと跳ねる。
「見てたの?」
「たまたま通りかかった。
なんか、
“ちゃんとしてる人”って感じで
かっこよかったよ」
“ちゃんとしてる”。
その言葉が、
今朝のお母さんの声と重なって、
胸の表面を
ざらっと撫でていく。
(“ちゃんとしてる人”って、
テストで何点取ったら
維持される肩書きなんだろ)
「……テスト前だから、
“わからないの棚卸し”しただけだよ」
そう言いながら、
箸の先を
お弁当の卵焼きに向ける。
「棚卸しって表現、
急に大人」
「やだ、
また里奈が大人っぽいって話になる」
「こないだも言ったじゃん」
軽口の応酬に混ざりながら、
さっきのモヤモヤを
頭の中の“材料置き場”にそっと移動させる。
(“ちゃんとしてる”ってラベル、
貼られる側の息苦しさも
どこかで書いておきたい)
教室の前の方では、
男子たちが
「大問3捨てた」とか
「いやそこは取れるとこでしょ」とか
言い合っている。
その声の中に、
佐伯くんの笑い声が混ざっていた。
ちらっとそっちを見ると、
目が合った……ような気がして、
心臓が一瞬止まりかける。
佐伯くんは、
少しだけあごを上げて
「どうだった?」と口パクした。
里奈も、
お弁当のふたを持ち上げるふりをしながら
「ふつう」と口を動かす。
(“めちゃできた”って言う勇気も、
“死んだ”って盛るノリも
まだ使いこなせない)
そのまま
何でもないように視線を外したけど、
耳の奥が
じんわり熱くなっていた。
**午後**
二時間目の国語のテストが終わると、
今日はもう下校時間。
ホームルームで、
先生が
紙の束を持って入ってきた。
「はい、
これが進路希望調査の用紙です。
一年生版なので、
そんなに細かく書く必要はありませんが、
“今の時点でどう思っているか”を
書いてみてください」
教室の空気が、
少しざわつく。
先生は、
女子の方をちらっと見て言った。
「特に女子はね、
進学、就職、資格、
将来のライフプランも含めて
考えることが多いので……」
また、“特に女子”。
胸の奥で、
さっきから積もっていたモヤモヤが
カリカリと音を立てる。
(さっきの“理系女子特集”も、
“女子は選択肢が多い”も、
“ちゃんとしてる人”も、
ぜんぶ同じ箱に入れられてる感じがする)
配られた紙には、
『文系』『理系』『まだわからない』のチェック欄。
“まだわからない”に
〇をつける手が、
一瞬ためらう。
(ここで“理系”にチェックしたら、
またあれこれ言われるのかな、って
一瞬考えちゃう時点で、
すでに影響受けてるんだよな)
結局、
深呼吸してから
“まだわからない”に丸をつけた。
(“考えてない”と“まだ決めきれない”は
違うってことくらい、
自分は知ってる)
ノートの端には、
また小さくメモ。
『・“ちゃんとしてる人”ラベルの重さ
・“まだわからない”を選ぶ勇気
→『二人の季節』の進路希望シーンに反映』
**夕方**
今日は図書館じゃなくて、
家で“ハーフポモドーロ三セット目おまけ実験”。
部屋の机の上を片付けて、
スマホは
例の棚の上。
ノートは
朝のページを開いたまま。
黄色い付箋の
『震えながらも一本線は引く』が、
視界の端で主張している。
一セット目(20分+10分)は、
国語の見直しと
明日の科目のチェック。
二セット目は、
数学の解答を思い出しながら
「さっきの自分の思考の流れ」を書き出す。
(ここで焦って飛ばした、とか
ここで“ゼロじゃない方”を選んだ、とか)
三セット目は、
“おまけ枠”。
タイマーを十五分にセットして、
『二人の季節』のノートを開く。
先週の
「進路指導室の午後」の続き。
> 「“ちゃんとしてる人”ってさ、
> 誰が決めてるんだろうね」
> 「成績表と、
> まわりの安心度?」
> 「じゃあ、
> テストの点が下がったら
> 急に“ちゃんとしてない人”になるの?」
> 「……それは、
> さすがにひどくない?」
ペン先が紙の上を走るたび、
自分の胸の奥で
今日溜まった言葉たちが
少しずつほどけていく。
> 「私さ、
> “全部ちゃんとする”のは無理だから、
> “ここまではやった”って線を
> 自分で引ける人になりたい」
その台詞を書いたところで、
タイマーが鳴った。
(おまけ枠なのに、
思ったよりちゃんと進んだ)
ページの下には、
小さく進捗メモ。
『・進路指導室シーン 台詞1ページ追加
・“ちゃんとしてる人”ラベルの話を
もう少し掘る必要あり』
**夜**
夕食の席。
お味噌汁の湯気が、
テーブルの上にふわっと広がる。
「で、
テスト初日はどうだった?」
お父さんが、
ご飯をよそいながら聞いてくる。
「……できたとこと、
“お祈りゾーン”半々くらい」
昼間の言い方を
そのまま持ってきてみる。
お父さんが
箸を止めて笑った。
「何その新しい単位」
「部分点ください神社、
だそうです」
横から太一が割り込んでくる。
「お祈りしても
点数は変わらないけどねー」
さくらが
冷静なツッコミを入れて、
テーブルの空気が和む。
そのタイミングで、
お母さんがふと真面目な声になる。
「でも、
高校のテストは
内申にも関わるんだから、
女子は特に
ちゃんと点取っておかないとね」
また、“女子は特に”と“ちゃんと”。
胃の奥が、
さっきより強くきゅっとなった。
(今日一日で、
何回この組み合わせ聞いたんだろ)
箸を置いて、
一回深呼吸。
(グレーな一言、
家でも応用)
「……点数がどうなるかは
まだわかんないけどさ」
自分の声が
少しだけ震えているのを感じながら、
続ける。
「少なくとも、
“ここまではやった”って線くらいは
自分で引けたと思うから、
今日はそれで勘弁してほしい」
言ってから、
心臓がドクンドクンと暴れる。
(言い過ぎたかな)
お母さんは
一瞬きょとんとした顔をしてから、
小さくため息をついた。
「……まあ、
そうやって自分で考えてるなら
いいんだけどさ」
お父さんが、
くすっと笑う。
「“全部ちゃんと”は、
大人でも無理だからな。
“ここまではやった”って線を
自分で説明できるなら、
それは十分“ちゃんと”してる方だと思うよ」
その言葉に、
胸の奥のきゅっとした感じが
少しだけ緩んだ。
しろが、
テーブルの下で
誰かの足に鼻先を押しつけてきて、
くすぐったくて笑いそうになる。
(“ちゃんとしてる人”って、
もしかしたら
テストの点だけじゃなくて、
こうやって自分の線を
ちょっとずつ説明できる人のこと
なのかもしれない)
部屋に戻って、
机の上のノートを見る。
黄色い付箋の文字は、
朝より少し
自分のものになっている気がした。
『震えながらも一本線は引く』
今日一日を思い返しながら、
その下に小さく
「とりあえず成功(△〜◯)」と書き足す。
電気を消して布団に入ると、
遠くでまた電車の音。
(テストっていう“評価の日”を、
ちょっとだけ“実験の日”にもできたなら、
先週よりは
諦めるタイミング、
また少し遅くなってるかもしれない)
そう思いながら、
目を閉じた。
## 後書き
**日記**
**20xx年2月10日(月曜日) 高校1年生 田中里奈**
今日は、
“学年末テスト一日目を、
できるだけ“実験の日”として扱ってみた日”だった。
---
**今日できたこと**
1. 一個目アラーム実験を続けながら、
「起きてから五分の観察タイム+付箋キャッチコピー」の新バージョンを
実行できた。
机の端にノートを開いたまま置いて、
『震えながらも一本線は引く』という一行を
一日中何度か視界に入れることができた。
2. 数学のテストで、
「できそうな問題から先に埋める/飛ばした問題に“?”印をつける」という
“テスト中の使い方実験”を
途中でパニックになりながらも
なんとか最後まで維持できた。
そのおかげで、
途中で詰まった四問目に
最後の見直しタイムで
もう一度チャレンジして
完全な白紙は避けられた。
3. 夜の勉強タイムで、
「ハーフポモドーロ三セット目は
十五分集中+五分スマホのおまけ枠にする」という
先週考えた“サイズダウン実験”を
実際にやってみて、
その十五分を『二人の季節』の
進路指導室シーンの台詞に使えた。
結果として、
“ちゃんとしてる人”ラベルに対するモヤモヤを
舞台の台詞として
一ページぶん言葉にできた。
---
**今日できなかったこと**
1. 朝の付箋キャッチコピーを
意識し続けるつもりだったけど、
テスト直前になると
緊張で頭がいっぱいになり、
“一本線”のことは
ほとんど忘れていた。
思い出したのは、
テストが全部終わって
家に帰ってからだった。
2. 国語のテストでは、
時間配分の実験をする余裕がなく、
最後の記述問題を
ほとんど時間切れで書くことになってしまった。
「全部ちゃんと読んでから答える」モードに入ってしまい、
結局見直しタイムを
ほとんど取れなかった。
3. 夜、
三セット目のあとに
もう少しだけ復習するつもりだったのに、
スマホで友達の
「テスト死んだ」投稿を眺めているうちに
だらだらスクロールしてしまい、
気づいたら
三十分以上経っていた。
「ニュースのネガティブ情報はほどほどに」という
前の実験結果を
完全には活かしきれなかった。
---
**障害とその分析**
1. 朝の付箋を
テスト前にも思い出せなかったのは、
付箋を「部屋の中だけの合図」にしてしまっていて、
学校に着いたあとは
別の世界みたいに
気持ちを切り替えてしまうクセがあるからだと思う。
“家モードの実験”と
“学校モードの自分”が
まだつながっていない感じ。
2. 国語の時間配分に失敗したのは、
数学での「飛ばす勇気」の成功体験を
そのまま応用する発想が
うまく出てこなかったから。
「国語はちゃんと全部読まなきゃ」という
過去の先生の言葉が頭に残っていて、
自分なりの実験より
“正解っぽい勉強法”を
優先してしまった。
3. 夜のだらだらスクロールは、
「今日のテストどうだった?」という
不安と、
「他のみんなも死んでたら安心する」という
ちょっと黒い気持ちが
混ざっていた。
その結果、
ネガティブっぽい投稿ばかり
集中的に見てしまい、
余計に疲れるという
いつものパターンに入った。
---
**明日以降の具体的な対策(小さな実験)**
1. 朝の付箋を
“家の中だけ”で終わらせないために、
付箋の内容を
小さいキーワードにして
手の甲かシャーペンに
ボールペンで書いていく実験をしてみる。
例えば明日は
「一本線」だけを書いておいて、
テスト中にそれが目に入るかどうか、
試してみたい。
2. 国語や他の科目でも
時間配分実験をするために、
問題用紙の余白に
“ここまでで〇分”という
自分用の目安を書いてから解き始める。
「全部ちゃんと読む」じゃなくて、
「最初の三分で全体を眺める」→
「次の十分で解けそうなところだけ埋める」という
数学でやったパターンを
少しだけ流用してみる。
3. 夜のだらだらスクロール対策として、
「テスト期間中のSNSは
ポモドーロの“スマホタイム”の中だけ」という
ルールを一回ちゃんと試す。
それ以外の時間に
触りたくなったら、
代わりに『二人の季節』の
モヤモヤメモを一行書く、
という“置き換え実験”をしてみたい。
---
**繰り返しの意識**
今日つまずいたことは、
ここしばらく
ずっとテーマになっていることの
延長線上にある。
・「全部ちゃんとやらなきゃ」と
思い込みがちなところ
・“女子は特に”という言葉の重さ
・テストや評価を
そのまま自分の価値だと
受け取りそうになるところ
どれも、
一回のテストや一回の実験で
すっきり消えるものじゃない。
でも、
・“わからない”を棚卸しして
先生に聞きに行った経験が、
今日の数学の一問を
白紙から「何か書けた」に
変えてくれたり
・“グレーな一言”の練習が、
家で「全部ちゃんと」って言われたときに
「ここまではやった」という線を
自分の口で説明する勇気につながったり
・“モヤモヤ→台詞”の実験が、
『二人の季節』の
進路指導室シーンを
少しずつ厚くしてくれたり
小さい応用の枝分かれは、
着実に増えている。
一年前の私だったら、
テストの日は
「全然ダメだった」「やばい」の
二択で世界を塗りつぶしていたと思う。
今日の私は、
・できたところ
・お祈りゾーン
・まだ実験中の部分
みたいに
いくつかのゾーンに
分けて見ることができた。
それでもやっぱり、
テストが返ってきたら
点数を見て落ち込む自分は
普通にいるだろう。
でもそのとき、
ただ責めるだけじゃなくて、
「この点数は、
“全部ちゃんと”に失敗した証拠、
じゃなくて、
“ここまで実験した結果の
一回分のデータ”だよ」
って、
少しだけ
今より優しい目で
自分に言えたらいいなと思う。
明日もまたテストだけど、
・付箋の言葉を
手の甲に移したり
・時間配分を
自分で決めてみたり
そうやって
“自分の線”を引く練習を
もう一回続けてみる。
全部は無理でも、
今日よりほんの少しだけ
諦めるタイミングを遅らせることなら、
きっとまだできると思うから。




