リナ、最後の追い込み
**20xx年8月19日(月曜日) 高校1年生**
**朝**
文化祭まで、あと2週間。
いよいよ最終段階に入った。
「時間が足りない」
朝食を食べながら、焦りを感じていた。
細かい修正点が、まだいくつも残っている。
お母さんが「大丈夫?」と心配そうに見た。
「うん。でも、やることがたくさんあって」
「でも、もう十分良い出来なんでしょ?」
そうなんだけど、完璧にしたい。
観客に最高のものを見せたい。
その想いが、私を駆り立てる。
「いってきます」
今日も、長い一日になりそう。
**午前**
学校で咲希ちゃんと会った。
「リナ、また早起きしてた?」
「うん。台本チェックしてた」
「ちゃんと睡眠取ってる?」
「大丈夫」
でも、実際は睡眠不足気味。
やりたいことが多すぎて、時間が足りない。
部室に入ると、みんなも同じような顔をしていた。
緊張と疲労が、混じっている。
「今日は、第二場の修正から」
山口先輩が言った。
昨日の稽古で見つかった、細かい問題点。
台詞のタイミング、立ち位置、感情表現。
一つ一つ、丁寧に直していく。
でも、修正すると別の問題が見つかる。
「完璧なんて、ないのかも」
そう思いながらも、手を抜けない。
**昼**
お昼休み、一人で台本と向き合った。
咲希ちゃんは照明の最終調整で忙しい。
みんな、それぞれの担当で精一杯。
「私にできることは何だろう」
脚本家兼演出助手として。
台詞の細かいニュアンス。
場面転換のタイミング。
キャラクターの心情の流れ。
考えることが、山ほどある。
弁当を半分残して、台本に集中した。
「ここの感情、もう少し深く」
「この台詞、もっと自然に」
赤ペンで、修正点を書き込んでいく。
時間が、あっという間に過ぎた。
**午後**
午後の稽古で、修正点を伝えた。
「この場面、もう少し間を取って」
「はい」
佐藤先輩が、素直に受け入れてくれる。
でも、修正するとリズムが変わる。
全体のバランスを考え直さなければ。
「頭がパンクしそう」
川田先生が「田中さん、無理しすぎない」と声をかけてくれた。
「大丈夫です」
でも、実際は限界に近い。
考えることが多すぎて、整理しきれない。
稽古の途中で、ミスが起きた。
音響のタイミングがずれた。
「すみません」
音響係の先輩が謝った。
でも、私もイライラしてしまった。
「もっと集中してください」
きつい口調で言ってしまった。
部室の空気が、重くなった。
**夕方**
稽古が終わった後、反省した。
「さっきは、すみませんでした」
音響係の先輩に謝った。
「いえ、こちらこそ」
でも、自分の余裕のなさが情けなかった。
みんな頑張ってるのに。
咲希ちゃんが「リナ、疲れてるよ」と言った。
「大丈夫」
「大丈夫じゃない。顔真っ青だよ」
確かに、体調がすぐれない。
でも、今休むわけにはいかない。
「あと2週間だから」
「でも、倒れたら元も子もないよ」
咲希ちゃんの言葉が、胸に刺さった。
また、以前と同じ道を歩もうとしている。
帰り道、一人で考えた。
完璧を求めすぎている?
でも、妥協はしたくない。
観客に、最高のものを見せたい。
その想いは、間違っていない。
ただ、方法が間違っているのかも。
**夜**
家に帰って、お母さんに相談した。
「最近、イライラしてしまう」
「疲れてるのね」
「でも、やりたいことがたくさんあって」
「全部、一人でやろうとしてない?」
お母さんの指摘が、的確だった。
確かに、一人で抱え込んでいる。
みんなで作るものなのに。
「信頼することも、大切よ」
「信頼?」
「みんなも、同じように頑張ってる」
「そうだけど...」
「リナが全部背負わなくていいの」
夕食の時、お父さんも同じことを言った。
「チームワークが大事だろう」
「うん」
分かってる。
でも、責任感が強すぎるのかもしれない。
部屋に戻って、今日を振り返った。
音響係の先輩に、きつく当たってしまった。
みんなも疲れてるのに。
「明日、きちんと謝ろう」
そして、もう少し肩の力を抜こう。
完璧じゃなくても、みんなで作った舞台なら。
それで十分なはず。
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## 後書き
**日記**
**20xx年8月19日(月曜日) 高校1年生 田中里奈**
文化祭まで2週間。
最終段階に入って、焦りが募っている。
やることが山ほどあって、時間が足りない。
完璧にしたい気持ちが強すぎて、余裕がなくなってしまった。
今日は、音響係の先輩にきつく当たってしまった。
みんな同じように頑張ってるのに。
自分の器の小ささに、情けなくなった。
お母さんに「一人で抱え込んでない?」と言われた。
確かに、そうかもしれない。
全部自分でやろうとしている。
でも、これはチームで作るもの。
みんなを信頼することも大切。
完璧を求める気持ちは間違っていない。
でも、方法を間違えてる。
一人で背負うものじゃない。
明日、きちんと謝って、みんなと協力しよう。
あと2週間。
みんなで、最高の舞台を作り上げたい。
でも、無理は禁物。
以前学んだことを、忘れちゃいけない。
どんな時でも笑顔で。
今日は笑えなかったけど、明日は笑おう。
反省と決意の一日だった。




