リナ、休息の勇気
**20xx年7月29日(月曜日) 高校1年生**
**朝**
昨夜、お母さんと長い時間話した。
「今日は休みなさい」
そう言われた。
でも、部活に行かないなんて。
「みんなが頑張ってるのに」
「リナが倒れたら、もっと迷惑でしょ?」
お母さんの言葉が正しいのは分かってる。
でも、罪悪感が消えない。
朝食も喉を通らない。
「本当に、休んでいいの?」
何度も自分に問いかけた。
**午前**
咲希ちゃんに連絡した。
「今日、お休みします」
返事はすぐに来た。
「やっと休む気になったんだね。良かった」
「みんなに申し訳なくて」
「大丈夫。リナのことをみんな心配してたから」
そうだったのか。
私が思ってるほど、みんな厳しくない。
「ゆっくり休んで」
咲希ちゃんの優しさが、胸に染みた。
でも、まだ罪悪感は残ってる。
お母さんが「散歩でもしましょうか」と提案してくれた。
「家にいると、考えすぎるから」
確かにそうだった。
**昼**
近所の公園を歩いた。
平日の昼間、静かで穏やか。
久しぶりに、演劇のことを考えない時間。
「気持ちいいね」
お母さんが言った。
「うん」
本当に、気持ち良かった。
風が頬を撫でていく。
鳥のさえずりが聞こえる。
「こんな時間があったことを忘れてた」
毎日が稽古で埋まっていた。
でも、こういう時間も必要なんだ。
ベンチに座って、空を見上げた。
雲がゆっくり流れている。
「私、頑張りすぎてたのかな」
「頑張ることは悪いことじゃない。でも、限度があるの」
お母さんの言葉が、優しく響いた。
**午後**
家に戻って、久しぶりに好きな本を読んだ。
演劇とは関係ない、小説。
主人公が旅をする話。
読んでいると、心が軽くなった。
「こんなに楽しかったんだ、読書って」
最近、宿題以外で本を読んでなかった。
演劇のことばかり考えて、他のことを忘れてた。
午後3時頃、山口先輩から電話があった。
「田中さん、大丈夫?」
「すみません、お休みして」
「謝らなくていいよ。みんな心配してたから」
「ご迷惑を...」
「そんなことない。むしろ、よく頑張ってくれてる」
先輩の言葉に、涙が出そうになった。
「明日から、また一緒にやろう」
「はい」
電話を切った後、ほっとした。
みんな、私を責めてない。
私が勝手に思い込んでただけ。
**夕方**
夕食の準備を手伝った。
久しぶりに、家族との時間を大切にした。
お父さんが帰ってきて、「今日は休んだんだってね」と言った。
「はい」
「それでいい。無理は続かないから」
太一が「お姉ちゃん、元気になった?」と聞いた。
「うん、ありがとう」
家族のおかげで、気持ちが楽になった。
みんなが私を支えてくれてる。
それなのに、一人で抱え込んでた。
「明日から、また頑張ろう」
でも、今度は無理をしすぎないように。
自分のペースで。
夕食の時、家族に感謝の気持ちを伝えた。
「ありがとう、みんな」
**夜**
お風呂にゆっくり浸かった。
久しぶりに、時間を気にせずに。
体の疲れが、少しずつ抜けていく感じ。
「やっぱり、休息って大切なんだ」
部屋に戻って、明日の準備をした。
でも、今日までとは違う気持ち。
焦りじゃなく、期待。
みんなと一緒に、良いものを作りたい。
でも、自分を大切にしながら。
咲希ちゃんからメッセージが来た。
「今日の稽古、リナのことをみんなで話したよ。早く元気になってねって」
温かいメッセージに、心が満たされた。
一人じゃないんだ。
みんながいる。
「明日、頑張ろう」
今度は、無理のない頑張り方で。
日記を書きながら、今日の気づきを整理した。
大切なことを学んだ一日だった。
## 後書き
**日記**
**20xx年7月29日(月曜日) 高校1年生 田中里奈**
今日、初めて稽古を休んだ。
罪悪感でいっぱいだったけど、休んで良かった。
お母さんと散歩して、久しぶりに本を読んで。
演劇以外のことを考える時間を持てた。
山口先輩から電話があって、「みんな心配してた」と言われた。
私を責める人なんていなかった。
みんな、私のことを思ってくれてる。
一人で抱え込む必要はなかった。
家族も、すごく支えてくれた。
お母さんの「限度がある」という言葉。
お父さんの「無理は続かない」という言葉。
太一の「元気になった?」という気遣い。
みんなが私を大切に思ってくれてる。
頑張ることは大事だけど、自分を大切にすることも大事。
そんな当たり前のことを、忘れていた。
明日から、また稽古に参加する。
でも、今度は違う。
無理をしすぎない。
自分のペースを大切にする。
それが、結果的にみんなのためにもなる。
今日は、大切なことを学んだ日だった。
どんな時でも笑顔で。
今日は、久しぶりに心から笑えた。




