リナ、疲労の境界線
**20xx年7月22日(月曜日) 高校1年生**
**朝**
夏休みが始まって一週間。
毎日の稽古で、体がクタクタ。
今朝は、起きるのが辛かった。
「もう少し寝たい」
でも、稽古は休めない。
お母さんが心配そうに見た。
「リナ、大丈夫?」
「うん。ちょっと疲れてるだけ」
「無理しちゃダメよ」
朝食を食べる手も重い。
こんなに疲れるなんて、思わなかった。
「でも、頑張らなきゃ」
みんなも同じ条件で頑張ってる。
弱音は吐けない。
**午前**
電車の中で、ウトウトしてしまった。
気がつくと、咲希ちゃんが肩を叩いていた。
「リナ、着いたよ」
「あ、ごめん」
「昨夜、遅かったの?」
「宿題やってたら、夜中になっちゃって」
稽古と勉強の両立が、思った以上に大変。
時間が全然足りない。
学校に着いて、部室に向かう。
足取りが重い。
「おはようございます」
声も小さくなってしまった。
山口先輩が「田中さん、顔色悪いね」と言った。
「大丈夫です」
でも、大丈夫じゃなかった。
**昼**
午前中の稽古中、集中力が切れた。
佐藤先輩の演技を見ているはずなのに、ぼんやりしてしまう。
「田中さん、どう思う?」
川田先生に聞かれて、慌てた。
「え、すみません」
「疲れてる?」
「少し...」
「無理は禁物よ」
でも、休むわけにはいかない。
お昼休み、一人で保健室に行った。
「疲れました」とは言えなくて、「頭痛がします」と嘘をついた。
保健の先生が「夏バテかしら」と言った。
少し横になって、目を閉じた。
でも、心は落ち着かない。
みんなは稽古を続けてる。
私だけサボってる気分。
**午後**
午後の稽古に戻った。
でも、やっぱり調子が出ない。
演出助手として意見を求められても、的確に答えられない。
「この場面、どうしますか?」
「えっと...」
頭が回らない。
普段なら、すぐに答えが浮かぶのに。
先輩たちも、私の様子に気づいていた。
気を遣わせてしまってる。
申し訳ない。
稽古の途中で、山口先輩が言った。
「今日は早めに切り上げましょう」
私のせいだと思った。
みんなに迷惑をかけてしまった。
**夕方**
部活が終わって、咲希ちゃんが声をかけてきた。
「リナ、最近無理してない?」
「そんなことない」
「でも、明らかに疲れてるよ」
「大丈夫」
強がってしまった。
咲希ちゃんが心配してくれてるのに。
「たまには休んでもいいんじゃない?」
「みんな頑張ってるのに、私だけ休めない」
「でも、体壊したら元も子もないよ」
分かってる。
でも、休みたくない。
文化祭まで、時間は限られてる。
一日でも無駄にできない。
帰りの電車で、また居眠りしてしまった。
**夜**
家に帰って、すぐにソファに倒れ込んだ。
「ただいま」
お母さんが「お疲れ様」と言ったけど、返事する元気もない。
「リナ、本当に大丈夫?」
「...疲れた」
ついに、本音が出てしまった。
お母さんが隣に座った。
「無理しすぎじゃない?」
「でも、みんなも同じだから」
「リナはリナよ。他の人と比べる必要はないの」
涙が出そうになった。
夕食の時、お父さんが「一日ぐらい休んでも大丈夫だろう」と言った。
「そんなことできない」
「なんで?」
「みんなに迷惑かけるから」
「体調不良で迷惑かけるより、マシだと思うけど」
お父さんの言葉が、胸に刺さった。
部屋に戻って、宿題をしようとした。
でも、集中できない。
文字がぼやけて見える。
「もうダメ」
机に突っ伏した。
頑張りすぎてるのは分かってる。
でも、どうすればいいか分からない。
## 後書き
**日記**
**20xx年7月22日(月曜日) 高校1年生 田中里奈**
今日は、本当に辛い一日だった。
疲労が限界に近づいてる。
朝起きるのも辛いし、稽古中の集中力も続かない。
保健室で休んでしまった。
演出助手としての仕事も、うまくできなかった。
みんなに迷惑をかけてしまった。
咲希ちゃんが「無理してない?」と心配してくれた。
家族も「休んでもいい」と言ってくれる。
でも、休むのが怖い。
みんな同じように頑張ってるのに、私だけ弱音を吐くなんて。
文化祭まで時間がないのに、一日でも無駄にできない。
そう思ってしまう。
でも、今日のような状態が続いたら、もっと迷惑をかけてしまう。
お父さんが「体調不良で迷惑かけるより、マシ」と言った。
確かにそうかもしれない。
明日、どうしよう。
このまま無理を続けるのか。
それとも、勇気を出して休むのか。
正解が分からない。
どんな時でも笑顔で。
でも今は、笑顔になれない。
助けてほしい。




