リナ、脚本の再生
**20xx年7月1日(月曜日) 高校1年生**
**朝**
今日から7月。
もう夏が始まる。
先週から、脚本の修正に取り組んでいる。
毎晩遅くまで、台本とにらめっこ。
「今日こそ、完成させよう」
そう決意して、朝食を食べた。
お母さんが「最近、よく頑張ってるわね」と言った。
「うん。でも、なかなか進まない」
「焦らなくていいのよ」
でも、文化祭まで時間がない。
焦らずにはいられなかった。
**午前**
学校で咲希ちゃんに会った。
「リナ、また徹夜した?」
「ばれた?」
「目の下にクマができてる」
咲希ちゃんが心配そうに見た。
「でも、少し見えてきたんだ」
「何が?」
「主人公の気持ちの流れ」
授業中も、頭の中で物語を組み立てていた。
最初は迷っている主人公。
友人のアドバイスで少し前向きになる。
でも、また壁にぶつかる。
そして最後に、自分なりの答えを見つける。
感情の波を、もっとはっきりさせよう。
**昼**
お昼休み、一人で図書室に行った。
静かな場所で、脚本を見直したかった。
机の上に台本を広げる。
赤ペンで、修正箇所に印をつけていく。
「ここのセリフ、もっと強く」
「この場面、感情が足りない」
問題点が見えてきた。
私は、主人公を理想的に描きすぎていた。
現実の高校生は、もっと迷う。
もっと弱い。
それでいいんだ。
完璧じゃなくていい。
**午後**
放課後、演劇部。
「田中さん、修正版はどう?」
山口先輩が聞いた。
「まだ途中ですが、方向性は見えてきました」
「どんな?」
「主人公を、もっと人間らしく」
先輩が頷いた。
「いいと思う」
今日は、修正した第一場だけ読んでもらった。
佐藤先輩が新しいセリフを読む。
「私は迷っている。本当に迷っている。どうすればいいか、全然わからない」
前のバージョンより、リアルに聞こえた。
「いいですね」
田中先輩が言った。
「感情が伝わってくる」
嬉しかった。
方向性は間違っていない。
**夕方**
部活が終わって、咲希ちゃんと帰った。
「リナ、今日は顔が明るいね」
「うん。少し光が見えた」
「良かった」
駅までの道で、修正のポイントを話した。
「主人公を完璧にしすぎてたんだ」
「確かに」
「リアルな高校生って、もっと迷うよね」
「うん。私たちみたいに」
咲希ちゃんが笑った。
「そうだ。私たちみたいに」
それが答えだった。
自分たちの等身大の想いを描けばいい。
**夜**
家に帰って、すぐに机に向かった。
今度は、第二場の修正。
友人との会話シーン。
前は、友人が的確すぎるアドバイスをしていた。
でも実際は、友人も迷う。
一緒に悩む。
それが、本当の友情だと思う。
咲希ちゃんと私みたいに。
ペンが進んだ。
セリフが自然に浮かんでくる。
「そうそう、こんな感じ」
夕食の時、お父さんが「調子はどう?」と聞いた。
「今日は進んだ」
「何かコツでも掴んだの?」
「うん。自分たちらしく書けばいいって気づいた」
「なるほど」
お父さんが頷いた。
「それが一番大事かもね」
夜遅くまで、修正作業を続けた。
でも、今日は苦痛じゃなかった。
むしろ、楽しかった。
物語が生き返ってくる感じ。
キャラクターが本当に息づいている。
「これなら、いける」
初めて、そう思えた。
## 後書き
**日記**
**20xx年7月1日(月曜日) 高校1年生 田中里奈**
今日、脚本修正の突破口が見つかった。
主人公を完璧に描きすぎていた。
理想的すぎて、リアリティがなかった。
本当の高校生は、もっと迷う。
もっと弱くて、もっと人間らしい。
私たちみたいに。
咲希ちゃんとの会話で気づいた。
「私たちみたいに」
その言葉がキーだった。
自分たちの等身大の想いを描けばいい。
完璧な答えを出す必要はない。
迷っていていい。
弱くていい。
それが、本当の人間だから。
第一場を修正して、読んでもらった。
「感情が伝わってくる」
先輩がそう言ってくれた。
方向性は正しい。
この調子で、全部修正しよう。
先週は絶望的だった。
でも今日、希望が見えた。
まだ時間はある。
きっと、いい脚本に仕上げられる。
どんな時でも笑顔で。
今日は、心から笑えた。
頑張ろう。




