364話 流星~”意志をもった一番星”②
〈※:イブナス視点〉
私と、バルケスティが生み出した『生命』に手を出した存在がまちがいなくいる。
イブナスの顔が怒りのせいで醜くゆがむ。
その顔は創造神というよりも、【魔神】と呼ぶにふさわしい形相に変化していた。
「あぁ…いいとも………。
お前が私とバルケスティの『楽園』に手出しするというのなら。見つけ出して我が手で、消滅させるまでだ。
楽には死なさんから覚悟しておけ!!!」
アベルを生み出した、裏で暗躍する謎の存在。
正体に心当たりはないがわかってることがある。
創造神の力の結晶が【大権】であるように”何者か”が用いる兵器。
向こう側の【大権】と呼べる存在がアベルなのだろう。
アベルは人間ですらない。
いや、正確にいえば生命とはいえなかったのだ。
創造神二柱が管理する世界という、『楽園』を侵略しようと企む三人目。
”何者か”が操る道具がアベルの正体だ。
まちがいない!
イブナスはいら立ちを感じながら、心のどこかで安心した。
ムンドモンドの頂点は創造神である自分だ。
同時に敵対する”何者か”の手腕とやらに感心する。
ムンドモンド最強であるこのイブナス相手に、ここまで存在を隠し暗躍し続けたことは、瞠目に値する。敵を褒めるべきだろう。
”何者か”の快進撃もここまでだがな!!
私がお前の存在に氣付いた以上。戦いはこちら側の勝利で確定したのだ。
敵が操る兵器と呼ぶべきアベルがどんなに強力だとしても、それを操る敵を倒してしまえば兵器は無効化される。
動かなくなるのは必然なのだ。
いや、賢者は兵器が強力であるなら正面からぶつかったりはしない。
イブナスは知り得ないがここにいないアベルなら、
「幽〇紋が強力なら本体を見つけて叩いた方が有効だね」もしくは、
「艦隊戦という正攻法でなく。かのイゼルロー◯要塞を策を用いて手にいれた魔術師ヤ◯を見習おう」と、いうところである。
「と、───……するなら。道具の心はいらんな………」
アベルが人間でないとわかったなら『新世界』に生き残らせる必要がなくなるのだ。
アベルにはなした、バルケスティの補佐を頼む件もご破算になったといってよいだろう。
ただ規格外な戦闘能力と宿す能力は魅力的であり、無くしてしまうには惜しいといえるのである。
だから心を壊し、道具として有用に使うことを今決めた!!
勇者アベル。
イブナスは頭の中で彼女についてわかってることをまとめる。
「他の生命からみて異常な…、規格外といえる戦闘能力に目がいって見落としていたが………。
……やつは周りにいる人間の『願いを叶えつづけているな』…………」
・オウ次郎のお父さんに会いたいという願い。
・ヒト三郎のアベル流を学び、アベルのようになりたいという願い。
・ケシ太郎のまともな人生を生きたいという願い
・アンダルシアと、ベアンの偽王を倒し奪われた王国を取り戻したいという願い。
そうだ、まちがいない。
勇者アベルは、アーガシアのアベルに想いを伝える願い~私が弄ぶ十英雄共の願いまでも叶えている。
偶然では片づけられないだろう。
「天空を駆ける流れ星が地上に降りたのか!?
一番星が地上にあらわれたかはわからない!?
しかし、ソイツは地上に産まれたのだ。
……まちがいなくアベルは、私が持つ【大権】と同じ存在だというわけか…………。」
”何者か”が生み出したイブナスと、バルケスティの『楽園』を壊す道具。
アベルの心を壊して、そして手にいれる。
【大権】と【アベル】を手にした自分に勝てる存在はムンドモンドのどこにもいなくなるだろう。
「くふふ…くっ、くふ。ふふふ、あはは。はーはぁっはっはっはははははははははは」
【魔神】イブナスは夢想し、大きく下衆な笑い声をあげるのだった。
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〈※:アベル視点〉
湯冷めしたかな!!?
すごい悪寒がしたんだけど。
このナメられるような、氣持ち悪い感覚はなんなんだい!?
俺は風呂からあがり宴会の席にいるのだ。
ニャハルのやつが俺の海老天をねらってる。手で触ろうとするのを、ここまで何度も防いでいた。
海老天もそうだがエビフライは絶対に死守するとも!!
「にゃっ! にゃっ!」
「ニャハルだめ! これは、あんたのご飯じゃないの!!」
怒られたニャハルは「にゃあ~~」と、鳴いた後すなおになった。
あきらめたわけじゃない。
『おりこうにしてたら、狙うご飯を貰えるかも作戦』へ移行したのだ。
俺にそんな手が通用するかい!!
ヴォルフのやつが隣に座りにくる。
それまで隣にいたアンダルシアは不満があるらしく、ヴォルフをぺちぺちと叩いている。
まぁ力を込めてない甘噛みならぬ、甘叩きといえるものなので険悪さがまったくない。
「フォローがすんだら私と代わってください」と、言い残しアンダルシアは席を立った。
キンダは、なにしにきたんだろう!?
「悩んでるのであろう!? 誰かに話せば氣が晴れるやもしれん。
我輩でよければはなしてみぬか?」
「俺さ…本当に人間なのかなぁ!?
自分では【人間種】だと思ってるけど。
ここまでしてきた功績とか。
他の六帝を大きく超えた【神越えの力】とかさ。…レベルをみてると疑問に思うんだ………」
「そうだな。貴公は我輩がよくしるアベルにしかみえぬがな。
いつか、ヒト三郎がいってたろう!?
貴公が強いからこそ、できることも多くなる。
それにより、救われた人間は多いのだ。我輩は悪いことではないと思うぞ」
氣楽にいってくれるね。
でも”自分が何者か”なんて。
悩んでも答えが出るわけじゃないね。
俺はアベルだ。なんのために生まれて、なにをして生きるのか!?
わからないなんて嫌だ。
だから、俺の心に従って人を助けて生きよう。
それだけ、わかってれば十分すぎるといえるだろう。
話が聞こえていたようで、サンが疑問に答えてくれる。
「創造神バルケスティの名において断言します。
アベル、貴女は間違えなく【人間種】です。ただ成長して、人より大きな力を手にしただけなのです。
姉は貴女が人間という事実は受け入れないでしょう。最終決戦でぶっ飛ばして、目を覚まさせてあげてください。
私が許します」
酔ってるせいか、サンはジト目だが目が真剣である。
しかも酔いつぶれて「私とお姉ちゃんが待ち望んだ人間。…ようやく、あらわれてくれた…………」とか、なんとかいってる。
はいはい。
だが俺の悩みがサンと、ヴォルフのおかげでなくなったことは間違いない。
俺はみんなと楽しい宴会を続けるのだった。
イブナスがいう「流星と一番星」なのですが。
アベルがきいたら「俺はアンパンマ◯か」と、ツッコミをいれると思います。〈※:ア◯パンマンはパン工場にいのちの星が落ちてきて、誕生しています〉
アベルが【道具】なのか【人間】かで、創造神姉妹の意見が別れました。
今の時点で明言はしませんが、バルケスティは神々と生命と深く接してきました。
そのため、経験によりバルケスティの方が、イブナスよりも人を見る目があります。
答えをほぼ、いってるような濁し方です。
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