363話 流星~”意志をもった一番星”①
祭がおわり俺はどっぷりと温泉に浸かっている。
汗が洗い流され体がじんわりと、温まっていくこの感覚。”風呂は命の洗濯”とはよくぞいったものだ。
俺の他に幹部もいるのだが、その中のニャハルが話しかけてきた。
「マスター。コスプレ祭で支払ったボーナスは回収できたかにゃ!?」
「声が大きいぜ!?…ばっちり回収できたとも、全額はさすがに無理だけどね。
支払った6割のお金が俺の懐へ戻ってるよ」
「よかったにゃ~」と、ニャハルが自分のことのように喜んでいた。
可愛いなぁ。
お金は大事である。
どこぞの、でんじゃらすなぢーさんがいってることだが「お金はな、お金よりも大切なモノを守るためにあるんだよ」と、いう言葉。
俺も心よりそう思う。
ムンドモンドと違い、異世界ニホンコクでは水をつかうにも金がいるのだ。
文明社会で人並みに。それなりの生活を、望むのなら代価となるお金がいる。
コレはそういう話である。
俺とヴォルデウスは駆け出しの冒険者をしていたころ。
無償でクエストをこなすという、いまでは考えられない愚行をしていた。
無償で困った人を助けるヒーロー氣分だったのだ。
俺にヒーローを馬鹿にする意識はまったくない。
彼らにはできる力があり、高潔なその精神は評価されるべきだろう。
当時のアベルと、ヴォルフは自分たちの力不足がわからず、現実が見えていなかったというだけの話である。
まぁ……餓死寸前まで追い込まれたせいで、俺は考えをあらためクエストの代価をしっかり貰うようになるのだが…………。
サタナのやつが湯船で手を組んで背伸びする。
「マスターは苦労したんだな」
「あんたを倒すため力量を上げなきゃいけなかったんでね」
だいたいサタナが『支配の時代』なんぞつくらなければ、面倒がなかったのだ。
人類だって支配を容認して生きていたんだし。
俺みたいな人間が出てきたのは、支配内容が極端なせいである。
とはいえサタナも少し成長して、もう支配を望む事は無くなったのだが。〈※:サタナが『支配の時代』をつくった元の原因は【魔神】の命令によるものです〉
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〈※:イブナス視点〉
おかしい。やはり”あの個体”はおかしいぞ。まとも、とは…とてもじゃないが思えない………。
平行世界をくまなくのぞいてみたが、アベルはいなかった。
やつに似た人生を辿るナイがいるが。その娘はこの世界線だと、生まれてきてすらいないのだ!!
ではアベルという生命体は何者なのか!?
創造神イブナスの頭の中で疑問が渦巻いている。
ラーデッシュを援護する時に感じた底知れないあの感じ。思い出すだけで寒氣がして、きえてくれない。
私とアベルの力量は完全に拮抗している。
歯がゆいが互角といってよいだろう。
世界を創った創造神からすれば、いら立ち以外の何物でもないのだが。
装備の権能を使用したとはいえ人間が、神のパラメーターと想像を超えたのだ。
イブナスと、"イブナスの考え"を超えるイレギュラーなど存在してはならないと元創造神は考える。
なぜなら最終決戦後。
イブナスが管理する『新世界』の秩序を脅かすイレギュラーは、怪物と呼べる存在だからである。
頂点はイブナスであり、並ぶものは妹のバルケスティだけだ。
下にアベルと再創造した新人類がいる。だが、ソイツたちが自分を超えることなど許されてはいけない!!
「なんでだ…!
なんで、ア……アベルの戦闘能力のほうが…………。この創造神を上回る!?」
イブナスは続けて「どいつが私と、バルケスティの楽園を破壊しようとしているのだ!?
見つけ出して八つ裂きにしてやるからな」と、強く断言する。
何者かはしらないがイブナスと、バルケスティが生み出した”生命に手をくわえたヤツがいる”!
そうでなければ、
他の次元でナイしかいないはずの娘が、アベルになる。
この異常とよべる事態に説明がつかないだろう。
イブナスはソイツが、アベルを生み出したことよりも。
自分とバルケスティの創造した作品に手を出されたことに対し、大きな怒りを覚えるのだった。
【魔神】はアベルを恐れています。そして『神々の戦い』でバルケスティが、イブナスとの格付をすまされ彼女の下とわからされたように。
イブナスは戦闘能力は別として。アベルのことを自分より上だと本能的にわかっています。
ただし、性格的に事実を認めようとはなりません。
※:『神々の戦い』で【魔神】を封印したこの世界線だとナイはいませんでした。
しかし【魔神】打倒を望む"何者"かは、ナイに力を注ぎ、アベルを生み出しています。
"何者"の正体はここまでの話で、すでに登場しています。
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