349話 アベルが追い込まれる!?
敵は俺達を見るなり襲い掛かってきた。
【原始魔族】の軍勢が統率した動きを見せる。
連携攻撃に隙がまったく無く、逃げ場が見当たらない波状攻撃は脅威と言えるね。
でも、あくまで普通の冒険者から見た場合であり。俺たち超越者からすれば、大したことがないのである。
動きは遅いわ、攻撃に込める力が弱いわ。
要するに威力不足なわけだ。
「思わなかった。だって、二人とも思いっきり戦ってなかったんでしょ!?」
「セ〇はどうかしらんが、父さんは思い切りやってたさ。
つまりおめえには、手を抜いてるように感じたんだろ」
こんな感想を持つわけである。
先頭に俺たち。
都市の入り口付近に上級悪魔軍が控えているのだが。
「我々が苦戦する相手を……。まるで紙細工を割くかの様に蹴散らしてゆく…………」
「ナハト様が主に選ぶわけだ。地上の勇者とは凄いな。
凄まじい戦闘能力を見せてるぞ…………」
悪魔から俺達をたたえる感嘆の声が漏れていた。
ざわめきが広がり、いつの間にか軍の後ろにいるエリジウムの国民まで達している。
俺に向け、彼らからも大きな声援が出るようになっていたのだ。
「【魔神】がなんだ。俺たちには『はじまりの勇者』様がついてるんだぞー!!」
戦ってないくせに強氣の発言だね。
民衆は基本、戦場に出ないから戦わないのは当たり前だけど。
敵を挑発するのはいただけない。
その考えが正しかったように戦場の様相が変わった。
夜空しかない冥界の空が真昼のように明るくなる。
かと思えば、間をおかずに、俺とエリジウムに向けた〈魔法攻撃〉が空から地上に向け連続で発射されたのだ。
夜を昼に変えた原因は【魔神】が使う〈魔法攻撃〉だったのだ。
どうやら【魔神】は侮辱されたことに腹を立て、俺と民をエリジウムごと消滅させる狙いがあったようだぜ。
まぁ゛あった゛と過去形が示す通り。
『貴様の思い通りにさせるかい!!』と、この俺が同質量の魔力で〈結界〉をすぐに張って、防いでやったがね。
両手を天に向けるこのポーズだが、元氣〇に見えなくもない。
しかし【魔神】の攻撃を防ぐことが目的なので、元氣を集める〇氣玉と違って終わりが来ない。
あいつは【大権】を使い、マナを補給しながら攻撃しているみたいだし。
照射が止まってくれないのだ。
ラーデッシュが剣を俺に向ける。不味いね氣づかれちまったかい!?
ミラルカがハッとした後、仲間に向けて叫んだ。
「ソンクーは動けないんだよ!? みんなソンクーを守って。
【魔神】は彼女が居なくなれば、
僕達を消滅させられることがわかってるんだ!!!」
「アベルそうなのか!? まずいのじゃ」
俺はフフと余裕の笑みを浮べ、ルーナに返答した。
「やぁ。これ……すっごく重い…………」
ルーナが申し訳なさそうに見て来る。
でえじょうぶだ。
MJが下敷きにならない様、がんばるトビースパイダーマ〇になったと思えば大した重さじゃないぜ。
俺のMJは俺が守る!
何かを支える他キャラと言えばカサンドラのラ〇ガ、フ〇ガ兄弟だけど意識を向けるのはやめとこう。
末路が怖い。キャラは好きなんだけど。
そうだ! 南◯白鷺拳、仁星のシュ◯ならこの状況にピッタリじゃないか。
「みんな…………。案ずるでない。この結界をお前たちの命と思えば重くはない」
本当はやせ我慢の最中である。重たくて仕方ないぜ。
〈※:現在の状況〉
・【魔神】が戦場全体に〈魔法攻撃〉をマシンガンのように照射中である。
・アベルが戦場の空に〈結界〉を張り、魔神の〈魔法攻撃〉を防いでいる。
・アベルは動けない。
ラーデッシュの指示を受け【原始魔族】がなだれ込んできた。
目指すはアベルただ一人と言う感じだ。
心を持たない機械のような存在なため、こいつらは躊躇することがない。
命が惜しいとか、痛いのは嫌だという。人間なら当たり前に持つ感情を持たない。
だから止まることがないのだ。
ルーナ、ミラルカ、サタナ、ナハト、シャーリー、レム。俺の仲間が頑張って止めてくれている。
だが、頑張りもむなしく少しづつ押し切られそうになってた。
その理由がイブナスが新たに放つ〈第二の魔法攻撃〉である。
誘導弾となる〈魔法〉であり。高速の球〈※:対象を消滅させる〉が目標めがけて迫るのだ。
仲間達は迫りくる消滅球を消しながら、それとは別に原始魔族の相手をさせられている。
「絶対に手は出させない。君がしてくれたように、今度は私がアベル君を守る!!」
「僕もシャーリーと全く同意見じゃ」
「イブナスは汚い精神をしとるようじゃな。
自分に向けられるだけなら防ぐのが楽なんじゃが。
動けぬマスターにも消滅球を飛ばすのは最低じゃ」
シャーリー、ルーナ、ナハトが俺の防御も担当してくれてるため、敵の攻撃力が勝るのだ。
状況は悪化の一途をたどりこのまま行けば、『勇者パーティーは全滅した』になってしまう。
…
……
………頃合いかな?
ラーデッシュはおろか、【魔神】でも説明した通りに思うことだろう。
知恵比べといこうかイブナス。
『相手が勝ち誇った時、ソイツはすでに敗北している』
俺の頭の中で、ラーデッシュを倒すプランはすでに完成してるんだぜ。
イブナスはアベルたちを全滅させ、アベルだけ蘇らせるつもりです。
なので攻撃の手を緩めません。
イブナスは、バルケスティと違い自分本位の考えしか持たないやばい女神です。
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