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348話 冥界の頂点に立つ者

 俺は外に出て戦況を確認する。

 魔族の軍勢がエリジウムの外周を取り囲んでいた。


 未来で見た【原始魔族】そのままだね。無表情だらけで、生氣が少しも感じられない。

 こいつらは生き物と言うより、機械と同じ存在なのだ。


「いつもと違う!?」

「ゴーシュも氣が付いたか!? 奥にいる敵を見てみろ。あいつが答えで間違いないぞ」


「!?……いつもはどんな感じなの?」


 ドロワットと、ゴーシュだけで納得されても困るので尋ねてみる。


 そうすると、ナハトのやつが教えてくれた。

 彼女の顔が赤いのは氣のせいではないだろう。


「普段はエリジウムを小隊が攻撃してきてお終いなのじゃ。

 僕やドロワット達が蹴散らしたら帰るのじゃが。

 恐らく目的であるアベル殿がここにいるせいもあって、本氣となり倒しに来たんじゃろぅ。

 軍の奥にいる【人間種】が見えるかや?

 あいつが指揮官なのじゃ」


 要点をまとめると、



・敵はアベルを冥界に呼び寄せるべく、エリジウムを攻撃する。


・エリジウムを陥落させると、アベルは冥界に降りてこないので軽い攻撃で済ます。


・アベルを確認した。冥界王と一緒にやっつけてやる。今回は本氣で攻撃するぜ。



 と、言ったところかい。




 こちらとしても|捜し物《仲間にしたい【十英雄】と【七勇者】》を見つける手間が省けるため、凄くありがたいぜ。


 指揮官の【人間種】は【七勇者】ではないようだ。【十英雄】で間違いないだろう。


 証拠に……やつからヌラっとした独特の魔力と闘気を感じる…………。

 いいかえると、〈戦闘能力〉がシャッテンたちと全く同じなのだ。


 残る【十英雄】はラーデッシュと、パポイの二人だが。

 さて、あいつはどちらだろうか?




 俺は〈念話〉を使い、ある人物を呼び出す。 

 お昼時で忙しいけど出てくれるかな?


〈……お掛けになった念話のつながりは現在使われておりません。……もう一度お確かめください〉


 プッ。ツーツー。手の込んだ居留守を使うない!

 もう一度かけ直す。


〈トーマ!! ツケを払わずによく念話で連絡してこれたな!

 シャッテンが貴様の当番を代わりにしてるんだぞ。今すぐ『レッド・シュリンプ亭に来~~!!』

〈トーマのやつ…。またツケで食べたのかい? 俺から注意しとくよ。忙しそうだけど今いいかな?〉


〈へ!? こっ、これはタイセイ様ご無礼を働き申し訳ございません。

 オウバです。

 冥界に行かれてると聞きましたが、何かあったんですか?〉


 俺の頭が痛い!


 オウバのせいでなくランたち。他のツェーンヘルト〈※:アベル側の【十英雄】〉が「嘘っ!? タイセイ様!!

 オウバ代わってです」などと、精神に介入しようとしたからである。


〈ラン。それと、ここに居ない馬鹿なトーマを除くみんなよ。落ち着け!

 タイセイ様はっ! ゛この俺を頼りに念話をよこされた゛のだ。俺が答えるのが当然じゃあないかあぁ~~。なぁあ〜〜〜〉


 状況がよくわからないぞ。

 オウバのやつは何を浮かれてるんだ!?


 俺は、たまたまオウバに掛けただけで本当は誰でも良かったのだ。


〈敵の中に【十英雄】と思しきやつがいる。特徴は…………以上だ。詳細を教えて欲しいぜ〉

〈ラーデッシュで間違いないでしょう。しかしアイツは……。

 俺達と同じで、魔神の真意を知れば離反する男です。

 タイセイ様ならば、きっと味方にする事ができるはずです〉


 オウバによると【魔神】に忠誠を誓っていないようだ。

 でも……仲間にするのは難しいかもね……。


〈目がグルグルで自分の意志があるかもわからない洗脳状態なんだけど。

 ともかく、頑張ってみるよ。

 俺の仲間に入れてみせるぜ〉

〈【魔神】はそこまで徹底するのですね。タイセイ様に拾われた俺と、ランは紙一重でついてたんだなぁ。

 要らぬ心配ですが、ご武運を祈ります〉



─────────────────────



「僕の近衛たちは道を開けよ。僕を含む゛一騎当千゛の強者が正門より町の外に出る!!」

「お……おぉ…………。我が主! アルカディア様が出撃なされる。

 アルカディア様のお通りだ!! 外につながる道を開けろ!!!」


 上級悪魔の『目』は、やっぱりすごいんだなぁ。


 横を歩くアルカディア(ナハト)ではなく本体(アルヴェール・マント)を着た俺に道を開いている。


 悪魔に憧れの目を向けられた小妖精(ゴブリン)は、俺がはじめてじゃなかろうか?


「我が主のマスターですね。地上の勇者様。貴女様の勝利を祈っております。

 必ず勝ってアルカディア様と一緒に、このエリジウムにお戻り下さい」


 あぁ、うん。微力をつくしますぜ。




「聞け、皆共(みなども)!!

 こんな時じゃが僕はマスターアベルと主従の契りをかわし、『ナハト』の名を賜った。

 この新しい名を呼ぶことを許す。出陣する僕と主の名を呼びたたえるのじゃ。さけべぃ!!」

「「エリジウムをお守りください。小さく愚かな我らに、どうぞ貴女様の庇護をお与え下さい。」」


「「ナハト! ハイパーマスター! ナハト! ハイパーマスター! ナハト! ハイパーマスター! ナハト! ハイパーマスター! ナハト! ハイパーマスター! 」」


 横のちっこいのが演説をはじめるわ。

 俺の名をガンプ〇みたいに呼ばれるわで、ずっこけそうになった。


「『使い魔』の僕はどんな時も君を第一に考え主を立てるのじゃ。どうじゃマスター? かわゆいかのぅ?」

「黙秘するぜ」


 好きではないが可愛いとは思う。


 ルーナが居なければ、ひょっとしてがあったかもしれないね。


 それにしても、ナハトが腕を無理やり組むせいで歩きづらいぜ…………。

レッドシュリンプ亭4号店は仲間になったツェーンへルトがシフトで経営しております。在勤してるのは店長オウバと、副店長ランブーキンの二人です。

この二人は片方が休みとなり片方が出勤してます。


他のツェーンヘルトは仕事優先で空いた時間にシフトを組んでおります。〈※:トーマはよく逃げるため、穴埋めをシャッテンが務めております〉


─────────────────────


サブヒロインは基本読者様の想像にお任せのキャラです。ですので、ナハトがアプローチしても報われるかどうかは彦間もわかりません。


  面白かった次も読みたいと思われた読者さま


          下の



      ☆☆☆☆☆を押して


      ★★★★★に変えてください。


作者の彦馬の作品投稿と創作のモチベーション維持に繋がります。お願いです。

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