表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アンテイムド・モンキーズ  作者: jonathan
北の国『カイド』
24/59

第二の刺客

「コイツが精霊? それでアタシとアンタにしか見えてないって?」

「どうにもそうらしいぞ?」


 あれから雄介は事のあらましをアリッサとソフィアにも説明した。クレイグも持ち直したようでベッドの上に腰掛けている。

 雄介とアリッサはクレイグを見ながら話をしているが、やはりソフィアとゴンザレスには見えていないらしく、二人はなんとなく雄介とアリッサの視線の先を見つめている。

 

 雄介はクレイグへと疑問に思った事を尋ねた。


「なんで俺とアリッサにはあんたが見えて、二人には見えないんだ?」

「精霊は加護を受けてる人間になら見えるんだよ」

「それならアリッサはともかくなんで俺まで見えるんだよ?」

「うーん……そこなんだなぁ。こっちのお嬢ちゃんからはオレらと似た力を感じるし、見た目からして加護を受けてるのはわかるんだが……お前からは特に何も感じない。むしろこっちが聞きたいくらいだ」


 雄介とクレイグが頭を捻っていると、ゴンザレスが雄介に向かって声をかけた。


「まあお主の場合はいろいろと規格外じゃから考えても仕方がないんじゃないかのぉ」

「それもそうだな! んじゃ俺達は自分の部屋に戻るからあとよろしく!」

「ちょっと待ちなさいよ! コイツ一体どうすんのよ!?」


 クレイグを押し付け、立ち去ろうとする雄介だったが、案の定アリッサに引き止められる。


「いや、だってお前に用があるらしいぜ? なあオッサン?」

「クレイグと呼べ! それにオレは何となく気になって来ただけだから特に用は無いんだがな」

「ねえのかよ! さっき必死に詰め寄ってきたのはなんだったんだ!?」

「ほら! アンタらが引き取りなさいよ!」

「そんなに邪険にしなくても……オレ泣いちゃうよ?」


 雄介とゴンザレスはアリッサに追い払われ少ししょげてしまったクレイグを連れ、部屋に戻った。精霊なのにひどい扱いだと若干雄介が同情していると、ゴンザレスが雄介に尋ねた。


「それで今日はどうするんじゃ?」

「情報収集も兼ねて遊びに行こうぜ!」

「遊びってお主……」


 と、そこで雄介はハッと気づき、クレイグの方を向いて尋ねた。


「クレイグはこの街の事は詳しいのか? 詳しいなら案内して欲しいんだ」

「そりゃあお前、ずっといるからな。いいぜ! 案内料は金貨十枚だな! アッハッハ、なーんつっ……」

「目玉エグるぞ?」

「冗談なのに!! お茶目な冗談なのに!!」


 雄介はソフィアとアリッサに準備ができたら宿屋の前で集合という事を伝え、自らの身支度を整えた後、ゴンザレスとクレイグとの三人で宿屋の前に向かう。

 ゴンザレスはいつも通り雄介のズボンのポケットに入り、クレイグは雄介の真横に立っている。

 そしてしばらく待っているといつもの格好でソフィアとアリッサがやってきた。


「お待たせ!」

「それで今日はどうすんのよ?」


 アリッサの質問に雄介は答えない。代わりにジッと二人の全身を舐め回す様に見ており、それに気づいたアリッサは顔をしかめた。


「……何ジロジロ見てんのよ」

「……いや、気になったんだけどさ」


 雄介は一拍置いて言葉を続ける。


「俺が言うのもなんなんだが……お前らいつも同じ格好だなーと。ちゃんと洗ってる?」

「「なっ!?」」


 二人の声が重なった。あまりにデリカシーの無い雄介の発言に揃って噛み付いていく。


「洗ってるわよ失礼ね!!」

「女の子に向かってその発言は無いんじゃないかな!!」


 男っぽく振舞ってるくせにそこは女の子で通すのかよ、と雄介は内心思いながら言葉を続ける。


「ちなみにそれ以外の服は持ってないの? アリッサとか寒い地方に行ったら絶対寒いと思うけど」

「持ってるわよ! これが一番動きやすいんだからいいじゃない!」

「そうだよ! 移動とか情報収集の時はこれなだけであって、僕だってその……それなりにオシャレする時だってあるよ!!」

「ソフィアのオシャレか……」


 雄介の脳裏にコダッテの街でソフィアがかわいいと言っていたロリータ服が浮かんだ。


(うん……ソフィアには俺が服を選んであげよう)


 そう心に決め、雄介はこの話題を無理やり終わらせる事にした。ちなみに服に関してはゴンザレスとクレイグは全く関心が無かったので、終始黙っていた。

 雄介が本題を切り出す。


「それで、今日は街で情報収集だ。クレイグは置いといて、俺ら四人を二組に分けようと思う」

「そうじゃな。組み分けはどうするんじゃ?」


 雄介の言葉を聞いてソフィアはある事に気づいた。


(……一日中街を二人で回るって事は……これってもしかして、デートってやつ!?)


 ソフィアの脳内に様々な光景が浮かんだ。二人で買い物、二人でランチ、手を繋いで歩いたり、最後には……。


(ハッ! いやいやいやいや! そんな事! 全然したいとか思わないし! なんで僕がそんな……)


 そう思いながらもソフィアの口は勝手に開いていた。


「き、昨日までちょうど二組で別行動してたし、その組み合わせのままでもいいんじゃ……」

「それはお断りじゃ」


 ゴンザレスが雄介のポケットから顔を出してそれを拒んだ。こういう時にゴンザレスが口を挟んでくるのは珍しい。雄介は不思議に思い、理由を聞いた。


「確かにアリッサはガサツで貧乳でツンデレでペチャパイでめんどくさそうな女でまな板だけど、ゴンちゃんがそんな事言うなんて珍しいな。なんかあったのか?」

「ちょっと!! アンタ、アタシをそんな風に思ってたの!? っていうか胸について三回も言う事ないじゃない!!」


 アリッサは雄介に向かって吼える。しかし雄介は完全無視だ。アリッサに対してはこの男は本当に容赦が無い。そしてゴンザレスは理由について語り出した。


「昨日までユースケがおらんかったからアリッサのポケットに入って隠れとったんじゃが、どうにも窮屈でのぉ」

「まあ確かにデザイン上ピチっとしてるしな」

「何よ! アタシだってこんな所に入れるの嫌だったんだからね!?」


 しかしそれで終わりではなかったようで、ゴンザレスはさらに言葉を続ける。


「それにのぉ……」

「ん?」

「前に教えてもらったつんでれ、というやつが……どうにもワシには合わん。めんどくさい」

「ああぁー! わかる! 現実世界であれはない!」

「皆でいる時はええんじゃが二人になるとどうもなぁ」


 などと雄介とゴンザレスが意気投合していると、アリッサはわなわなと体を震わせ、叫んだ。


「いい加減にしろぉぉぉー!!!」


 涙目だ。ツンデレは意外とメンタルが弱い。


 結局組み分けは部屋割りと同じく、アリッサとソフィア、雄介とゴンザレス、雄介達の組にクレイグが加わる形となった。

 ソフィアが何か言いたげだったが、それに気づく者は誰もいなかった。


「さて! それじゃ行こうか二人とも!」

「うぬ」

「まずはどんな所に行きてえんだ?」

「まずは朝飯を食いに行こう!」

「あいよ!」


 雄介達は朝食を取るため、クレイグの案内に従って店へと歩いて行く。


 そしてその頃、とある場所で……。


「やつらは『ロクシ』の街にいます。しかもこれは……ふふふ、面白い。加護を受けた人間と接触した事で力が共鳴したのでしょうか、今まで引っかかりませんでしたが、これは恐らく精霊ですね」

「そうか。なら早速その街まで誰か幹部を飛ばしてもらおうか。そうだな……ギャビンをここに」

「了解です」


 通信魔法でブツブツと何かを伝え、その直後テレポートでギャビンと呼ばれた男を呼び出す。


「ギャビン・フィッシャー登場! ようお頭! 来てやったぜ!」

「相変わらず不遜な男だ。まあいい、お前に仕事を与える。おい」

「はい」


 そう返事をしてパチンと指を鳴らす。すると雄介達の顔が空間に映し出された。孤児院を背にしている事から、かつてジャックが見ていた映像を切り取った物のようだ。


「この赤髪の女を連れて来い。他の連中は殺しても構わん」

「ひひひ! わかりやすくていいねえ! それじゃ早速飛ばしてくれよ!」

「はい、あとこれを」


 そして何かを手渡し、ボソボソと追加で指示を出してからテレポートでギャビンを『ロクシ』まで送った。本当は気配を消す魔法をかけたかったが、そもそもギャビンもジャックも隠密行動のできるタイプではないので断念した。


「それでは私はもう行く。後は任せた」

「はい、頭目」


 その場所に一人残される。


「さて、今回はどうなるかな?」


 ニヤリと口元を歪めた。


「楽しませてくれよ……猿飛 雄介」


 スクランの魔道士、『ノア』は笑う。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ