第四話 「本当の地獄は、これからだ」
それでもゼノたちは諦めなかった。
レオンたちへの嫉妬は、やがて憎しみに変わった。
彼らは酒場で悪評を流し、依頼の妨害を試み、ついにはレオンたちが受注した討伐依頼の報酬まで横取りしようとした。
しかし、どれも失敗に終わった。
ギルドは虚偽の報告を調査し、ゼノたちには厳重な警告が下された。
それでも彼らは、自分たちの過ちを認めなかった。
「俺たちは本来、あいつらより上なんだ!」
ゼノは叫んだ。
「次の依頼で証明してやる!」
彼らが選んだのは、王都近郊に出現した危険度Aランクの魔物、黒角の巨獣だった。
本来なら、十分な準備と複数パーティによる討伐が必要な相手だ。
だが、ゼノたちは自分たちだけで挑んだ。
「レオンがいなくたって、俺たちは最強だ!」
戦闘開始から十分後。
ゼノの剣は砕け、ミリアの魔力は尽き、仲間たちは次々と負傷した。
いつもなら、どんな傷も癒やしてくれる回復師はいない。
「回復薬は!? 早く使え!」
「もうないわよ!」
「嘘だろ……こんなはずじゃ……!」
巨獣が咆哮し、前脚を振り上げる。
その瞬間、ゼノたちは悟った。
自分たちが今まで何度も死線をくぐり抜けられたのは、決して自分たちの力だけではなかったのだと。
「誰か……助けてくれ!」
ゼノの叫びが森に響いた。
幸い、近くを巡回していた冒険者たちが異変に気づき、救援に駆けつけたことで、三人は命だけは取り留めた。
しかし、無謀な単独討伐と虚偽の実力申告が問題となり、彼らは長期間の活動停止処分を受けることになった。
失った信用は、簡単には戻らない。
彼らが他人を見下していたその傲慢さこそが、最後には自分たちの首を絞めたのだった。




