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凡人に生まれたけどこの先生き残ると誓う~器用貧乏なものまねスキルを駆使して冒険者学校で教鞭を取ります~  作者: 釈 余白
第三章:夏休み編

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28.夏休み終了

 夏休み終了まであと四日、ピュアレーリアは号泣しながら馬車に乗せられて去って行った。一応トラレンファ伯爵だけでなく生徒含めて全員で見送ったのだが、やはりと言うかなんというか、ナーミャだけは笑顔である。


「そんなにリアのことが嫌いだったのか? ウマが合わないとか?」


「だって…… あたしだって先生が良かったのにさ? 完全に手を出すなって雰囲気にしてたじゃないの」


「そうやって取り合ってもらえるのは男としていいことなのかもしれないけど、先生としては生徒に手を出すのはダメだと思ってるぞ? それにナーミャは生活が安定できそうなら相手を探したいんだろ?」


「その条件にピッタリなのって先生くらいでしょ? やさしいしカッコいいし、背も高いしお金持ち―― ではないみたいだけどまあ安定はしてそうだし……」


「そうなんだよなあ。貴族が通う学校だから儲かってるなんてことはないんだ。大変なことばかりだよ。自由な時間も少なくてリアにはいつも怒られてたしさ」


「時間がないのはつまらないわね。先輩はちょっとおかしいから一緒に仕事すれば一緒に過ごせると思ってるんだわ。デートしたり語り合ったりする時間が無かったら意味ないのに」


「あはは、これは耳が痛い。まあでもナーミャには時間もたっぷりあるし機会はあるさ。リットなんてどうだ?」


 さりげなく名前を出して意識させる作戦だが、これもやりすぎると将来に影響しかねないから慎重にすべきか。


「そうねえ、同い年ならビクトールもいるけど、どっちも貴族でしょ? あたしとは釣り合いが取れないわ。でもクマンやキョウセンはダメ、将来性なさすぎ」


「そうかな、どちらもいい冒険者になれそうだと思うぞ? それにナーミャもな」


「あたしが稼いで夫を食べさせるなんて絶対嫌よ! 家族だけで手いっぱいだわ」


「お父さんの具合はいまだ悪いのか?」


「足がね、力が入らないんだって。前の仕事に戻るのは難しいみたい。だから頑張って稼がないとなの。休み明けには迷宮へ行くんでしょ? もっと稼げるよね?」


「ああ、生きて帰ってこられれば、な。だから焦っちゃだめだ。必ず言うことを聞いて、どんなことがあっても帰ってくること。そうじゃないと全部失うんだからな」


「はい、先生。あたしは薬草取りだけでもいいんだけど、そうすると休みが取れないものね」


「まあそのあたりも含めて面談をやろうと思っているから、今度ゆっくり話そう」



 それから休み明けまで生徒たちは相変わらず毎日学校へやってくる。結局最終日になってしまってから思うのは、やはり夏休みって必要なかったのではないかと言うことだ。


 最終日前にはビクトールも実家から戻ってきてまた薬草畑の世話に戻った。これでいつもの通りだけど、ここでもう一人追加がやってくる予定になっていた。


 ピュアレーリアと伯爵からの推薦、マクファソン様である。正直取扱いに困らないわけじゃないが、教師不足なので受け入れてみるしかないのだ。



「ごきげんよう、ハルマン先生。話は聞いていると思うが、ぼくがマクファソンだ。気軽に呼び捨ててくれていい」


「ではマクファソン先生、俺が校長のハルマンで、こちらが教師兼事務のセシロ先生です。担当教科は冒険者座学でそれ以外が俺なので、マクファソン先生の得意分野を担当してもらえればなと考えています」


「ぼくはあいにく得意と言うほどのものはないな。保有スキルは魔法だけど魔力が少なくて役立てるのが難しい。それで魔法省へ役人として入ったんだけどどうも水が合わなくてね。ここ一年ほどはぶらぶらしていたんだ」


「なるほど、リアとは逆の悩みですね。彼女は有り余る魔力の使い道がなくて悩んでいますからね」


「らしいね。初級魔法と中級の一部までなので魔力切れに陥ることがないとか。僕にしたらうらやましい限りさ。ちなみに僕は超級魔法も使えるけど、魔力不足で発動しないんで詠唱までしかできないんだ」


「あまりできないできないで張り合いたくないんですが、俺は適正無しで魔力もないので初級数発がやっとです。それでも先生にはなれますから気にしないでいいと思いますよ」


「そうだよね。王立学園入学ならファイヤボールやライトニングで十分だし、武術も基本の動きができれば合格は可能だ。そうだ、勉強と礼儀作法にダンスなら教えられるかな」


「ほう、ダンスができるのは助かりますね。俺はリアと毎日ダンスを踊っていましたよ。武術の足さばきの練習にいいのでね。そう言えば朝が苦手と聞いているのですが毎日起きられそうですか?」


「そうだねえ。別に苦手なわけじゃなくて起きる理由と言うか意欲がないというか…… まあそんな感じなので慣れてくれば平気なはず」


「それでは当面、起こしに行きますよ。まあ俺も寝坊しがちでセシロに起こしてもらうことがありますけどね」



 この後もあれこれと相談し、午前中は魔法座学とダンス、昼を挟んで武術と魔法の実技、冒険者用座学、礼儀作法、そして自由活動と言う時間を設けることにした。


 自由時間では薬草畑の世話だったり、実戦形式の立ち合いだったりとそれぞれが目標意識を持って取り組めることを毎日自由に決めるというものだ。


 こうして長かった夏休みは全員がほぼすべて出席と言う、意味の分からないままに終わった。



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