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敵国男装王子に転生したので、虎視眈々と国家転覆企てます  作者: ジュレヌク


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第二十八話 今日の事は内緒ですよ

 成金趣味の衣装を身に纏った頭の弱そうな王太子には、人に言えない趣味があった。


 それは彼の嗜虐的な性格を色濃く映し出したもので、自国では使い物にならなくなった奴隷などを使って行われている。


 その質の悪さは、ベッドの上に並べられた拷問用の道具を一目見ただけでも分かるだろう。


 レオには、プラタに状況を口で説明している時間などなかった。


 スカートの裾を持ち上げると、ソレイユ達が囚われている部屋へと急ぐ。


 そんなレオの様子に全てを察したプラタは、何も言わずレオ後ろを追った。


 そして辿り着いた部屋は、ホールから最も離れた一番奥に位置していた。


 女達の悲鳴が外に漏れないようにと言う配慮なのだろう。


 必要以上の防音設備が整ったこの迎賓館では、このようなことが繰り返し行われてきたのかもしれない。


 レオは、扉の前に膝をつくと、髪に忍ばせていた針金を何本か取り出して鍵穴へと差し込んだ。


 前世盗賊のレオには、これくらいのドアは、目を閉じていても開けられる。



 カチャカチャカチャ



 鍵を弄る極小さな音が聞こえ、その後、



 カチャン



と錠が開く感触がレオの手に伝わって来た。


 ネズミの目を通して、王太子以外の男がいないことは分かっている。


 レオはドアを開けた瞬間地面を転がって王太子の足元まで近づくと、立ち上がると同時に顎の下に拳を入れた。



 ゴン



 アッパーカットを食らった王太子は、十センチほど足が地面から浮いた。


 そして完全に意識を失い、地面に後ろ向きのまま倒れていった。



「きゃっ」



 ソレイユ達は、突然現れたドレス姿の女が眼前の敵を一発で仕留めたことで、驚きに声を上げた。

 

 しかし、直ぐに手で口を押えてレオを見上げてくる。


 ここで騒げば、騒ぎを大きくしてしまうと感じたからだ。



「まさか……レオ?」



 女の姿をしていても、ソレイユには分かった。


 なにせ、家族同然と思って大切に思ってきた子供の事だ。


 自分を助ける為に、危険を冒してここまで来てくれたことは直ぐに理解できた。



「馬鹿な子ね」


「説教は後で聞くから。今は、ここから逃げないと」



 ソレイユの腕を掴んだレオの手を、



「ちょっと待った」



と、プラタが押さえた。



「なんだよ。早くしないと、誰か来る」


「ここから逃げても、ずっと追われ続けるのは彼女達だ」



 確かに、王太子を気絶させて逃亡したとあっては、ただでは済まない。


 捕まれば死刑、逃げられても娼館へ戻ることは叶わず、路頭に迷う事になるだろう。



「じゃぁ、どうすりゃいいんだよ!」


「大丈夫だよ。私に任せて」



 プラタが微笑むと、周りの娼婦達から溜息が漏れた。それほど美しい笑みだった。



「彼には、今から忘れられない程楽しい思いをしてもらうから」



 プラタは、倒れている王太子の元へ行くと、しゃがみ込んで顔を見た。



「うわぁ、こりゃ、モテないだろうね」



 顔の美醜もさることながら、デップリと太った体はワイン樽のようで、首と顔の幅が一緒で境界線すらあやふやだ。


涎を垂らしているのは倒れてからではなく、その前から美女を痛めつけることに興奮していたからだろう。



「本当は、触るのも嫌なんだけどな」



 プラタは、手袋を脱ぐと彼の頭に手を置いた。


 王太子がブルブルブルッと体を震わせたのは、直接脳を掴まれるような激痛に体が反応したからだ。


 しかし、その後は体を弛緩させ、全身を駆け巡る快感に身悶え始めた。



「プラタ、お前、何をやったんだ?」


「レオは、おこちゃまだから、聞かない方が良いと思うよ」



 そう言われても、王太子の乱れ具合から、大体の予想はついた。


 プラタは彼の記憶に、忘れられない程刺激的な夜の記憶を植え付けたのだ。


 しかも、虐げる側ではなく、虐げられる者として。


 今後、彼の性癖は正反対に変わるかもしれないが、それは世のため人の為。



 プラタは、手を何度もハンカチで拭くと、娼婦達に向かって、



「今日の事は内緒ですよ」



と微笑んだ。


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