↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
敵国男装王子に転生したので、虎視眈々と国家転覆企てます  作者: ジュレヌク
第一部仲間編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
17/31

第十七話 もっと早く来てくれると思っていたのに

 乱暴に鍵が開けられる音がして、



「バタン」



と、乱暴に扉が開いた。


 そして、一目見て堅気ではないと分かる人間が無遠慮に入ってきた。


 一人は、首が極端に短く、肩の肉が盛り上がり、腕ばかり隆々たる筋肉が目立つ猫背の男。


 もう一人は、若作りの年増女で、胸の大きくあいたドレスを着ていた。


 女の方の顔色は悪く、どうやら、ここに来るのも気が乗らなかったように見える。



「本当に、また、やらなきゃ駄目かい?」



 駄々をこねるように体を左右に揺らすと、豊満な胸も一緒に揺れた。


 しかし、その行動が可愛く見える年齢はとうに過ぎており、男の方は、余計イラつきを見せて怒鳴った。



「しかたねぇだろ。テメーが器を落としちまったから、大事な血を、全部台なしにしちまったんじゃねーか」


「そ、それは、いきなり猫が飛び掛かってくるから」


「ちっ、肝っ玉の小せぇ奴だ」



 二人は、言い合いをしながら、少女の前にひざまずいた。



「ほら、さっさと終わらせちまえ」


「焦らさないでおくれよ。そんなに急かすんだったら、あんたがやればいいだろ?」


「俺は、血は、苦手なんだよ」


「どっちの肝っ玉が小さいんだろうねぇ」



 女は、懐刀を出すと、申し訳そうに目を伏せて、少女の腕を取った。



「ほんと、悪いんだけど、また、血取らせておくれよ。そうしないと、あたいらが、王様に、殺されちまう」



 その言葉に、少女は、自ら袖を捲り上げ、青白く血管が透けて見える、細く、長い、腕を出した。


 この異様な光景に、レオの瞳が、カッと見開かれた。



「聞き分けのいい子だねぇ。あんたぁ、この血、飲んだら若返るって、本当かい?」


「あぁ?あぁ、考えてもみろよ。王様の若さは、尋常じゃねぇ。毎晩女をとっかえひっかえ楽しめるのも、この血のお陰らしいぜ」



 それを聞いて、女が舌なめずりをした。



「あたいも、これを飲んだら、若返るかねぇ」


「止めとけ、止めとけ。それで、俺らの前任者は、死んだらしいからな」



 首を横に振る男を、女は、恨めしそうに見た。



「せめて一口」


「馬鹿野郎。大枚貰って、良い暮らししたかったら、大人しく言うこと聞け。なんで、王様が、俺らみたいな下っ端使うと思ってんだ。いつでも、口封じ出来るからに決まってんだろ」


「ふぅ・・・そりゃそうだ。死んだら元も子もないねぇ」



 女は、やっと諦めたらしく、口を尖らせながらも、少女に向き直った。



「じゃ、いくよ」



 少女の手首に、切っ先を当て、スッと横に動かすと、流れ出した血が、タラタラと器に流れ落ちた。


 そこまで見て、レオの頭の中は、真っ白になった。


 無意識に体が動き、女の持つ懐刀を叩き落とすと、男の喉元を目掛けて右手を突き出した。


 レオの手の平は、見事に喉仏に命中し、男は、伐採された大木のように、ゆっくり後ろに倒れていった。


 床に転がり、口から泡を吹く相方に、女は、ガチガチ歯を鳴らしながら縋り付いた。


 

「あんたぁ、あんたぁ、目覚まして、あんたぁ!」  



 あまりに騒ぎ立てる女を黙らせる為、レオは、彼女の首筋に、一発手刀を入れ、気絶させた。


 一連の騒ぎに、猫達は、部屋の四隅に逃げ、じっと、時が過ぎるのを待っている。



「大丈夫か?」



 レオは、少女の手首に、手縫いを巻き付け、止血した。


 兎に角、こんな理不尽を黙ってみていられなかった。

 

 しかし、聞こえてきたのは、予想を覆す声だった。



「もっと早く来てくれると思っていたのに」



 それは少女と言うより、青年の声だった。



「黒猫ちゃんは、ちゃんと君を呼んだでしょ?」



 ニコリと笑う少女は、どうやら少女ではなかったようだ。



「まさかとは思うが……」


「そうだよ。私は、男。君とは違って、自分の意思で選んだ服装じゃないけどね」



 意味深な言葉と共に、その美しい人は、



「私の名は、プラタ。どうぞよろしく」



と腹が立つほど美しい笑みを見せた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。