第68話 壊れた心と三つの祈り
七夕特別編から本編に戻ります。
傷ついた桜夜の心に三姉妹がそれぞれの仕方で向き合います。
桜夜は、目的地もなく歩いていた。
屋敷に戻る気にはなれなかった。
今の表情を、誰かに見せるわけにはいかない。
強気に。
不敵に。
できることなら、笑みさえ浮かべて立つ。
それが相談役の仕事であり、あずさに呼ばれた「世界一の騎士」の在り方なのだと、桜夜は思っていた。
いつの間にか、横浜の街を一望できる丘の上に来ていた。
この近くに、如月あずさの墓がある。
けれど桜夜は、そちらへは向かわなかった。
ただ、夕陽に染まる街を眺める。
夕陽は、人を感傷的にさせるらしい。
桜夜も、泣きたい気分だった。
けれど、泣くのは我慢した。
そもそも涙は枯れたのだ。
自分は相談役だ。
世界一の騎士だ。
そう言い聞かせる。
けれど、本人も気づいていた。
今の自分の顔は、きっと泣き笑いになっている。
愚かなピエロのように。
桜夜は、自分の手のひらを見た。
あの時。
あずさとの思い出作りなどせず、鳳凰の力を制御する道を学んでいれば、あずさの命のキャンドルに火を灯せただろうか。
明人先生が、あと一年、修行をつけてくれていたら。
静馬くんが、あと少し早く日本に来ていたら。
自分がもっと強ければ。
もっと賢ければ。
もっと、神に近ければ。
あずさを救えただろうか。
答えは知っている。
歴史に、もし、はない。
仮にもしがあったとしても、あの時のあずさは、すでに火を灯すキャンドルそのものが燃え尽きていた。
鳳凰の契約者は、神ではない。
救うことなど、できなかった。
頭では、わかっていた。
けれど、壊れた心は、いつも悲鳴を上げそうになっている。
丘の端には、柵がなかった。
落下防止を意識していないのか、それとも、この場所に来る人間が少ないからなのか。
桜夜は、もっと近くで街を見ようと、崖の方へふらふらと歩いた。
「だめ!」
突然、後ろからあたたかなものに抱きしめられた。
桜夜は反射的に呟いた。
「あずさ?」
言った瞬間、失敗に気づいた。
背中に回された腕が、震えている。
「ごめんなさい、わたし……」
「サイカちゃん」
桜夜はゆっくり振り向こうとした。
「どうしたの? 身重なんだから、こんなところに来ちゃ――」
「桜夜さんこそ」
サイカの声は震えていた。
「なにをしようとしていたの?」
「ただ、街を見ようと」
「うそだよ」
サイカは首を横に振る。
「そのまま、どこかへ行っちゃいそうだった」
桜夜は答えられなかった。
サイカが泣き出した。
それで桜夜は、ようやく身体を反転させた。
彼女を抱きしめ、近くのベンチへ座らせる。
「大丈夫。僕はどこにも行かないよ」
「……でも」
サイカは俯いたまま言った。
「帰っても、来てくれない」
桜夜は困った顔をした。
その言葉の意味が、わかってしまったからだ。
屋敷に戻る。
部屋に戻る。
食卓に戻る。
それでも、自分の心が帰ってきていないことを、サイカは見抜いている。
「ねえ、桜夜さん」
「うん」
「わたしじゃ、あずささんの代わりにはなれないかな」
桜夜の表情が、わずかに強張った。
サイカは泣きながら続ける。
「子どもだって、桜夜さんが望むなら、もっと……」
「サイカ」
桜夜は彼女の前にしゃがみこんだ。
泣きじゃくるサイカの手に、そっと触れる。
「いいかい。誰も、誰かの代わりになんてなれないんだよ」
声は優しかった。
けれど、その優しさが、サイカには少し痛かった。
「そうだよ、ね……」
サイカは小さく笑おうとした。
「わたし、なんかじゃ」
「違う」
桜夜は、はっきりと言った。
サイカが顔を上げる。
「君は君だ。あずさじゃない。代用品じゃない」
「……」
「そして、僕との子の母親だ」
その言葉だけは、桜夜の声に少しだけ体温が戻っていた。
一代限りで終わるはずだった野良犬に訪れた、奇跡。
桜夜は、それを噛みしめるように、サイカの手を握った。
「君は、サイカだよ」
サイカはまた泣いた。
今度は、さっきとは少し違う涙だった。
「桜夜さん」
「うん」
「忘れなくていいよ」
桜夜の指が止まる。
「あずささんのこと、忘れなくていい」
サイカは、泣きながら、それでもまっすぐ桜夜を見た。
「でも、今ここにいるわたしたちのことも、忘れないで」
桜夜は息を呑んだ。
「わたしも、リオちゃんも、ホムラちゃんも。お腹の子も」
サイカは、自分のお腹に手を当てる。
「ちゃんと、ここにいるから」
桜夜は何かを言おうとした。
けれど、言葉にならなかった。
ただ、サイカの手に重ねた指に、少しだけ力を込める。
「……うん」
それだけ言うのが、精一杯だった。
「さあ、冷えるといけないから帰ろうか」
「……うん」
横浜の夜は、星が少ない。
あの日、あずさと見た星も。
三姉妹と見た星も。
今は見えない。
それでも、サイカの手は、まだあたたかかった。
◇◇◇
その頃、図書室では、リオがピンク色の日記帳を前に座っていた。
如月あずさの日記帳。
先ほど桜夜が語ったことが、丁寧な文字で書かれている。
最初の文字は、明るかった。
少し跳ねるような筆跡。
桜夜が来た。
今日も来た。
また勝手に病室へ入ってきた。
あいつ、人との距離感が本当におかしい。
でも、犬みたいでかわいい。
読み進めるにつれ、リオの指は重くなっていった。
最後のページに近づくほど、文字は乱れていく。
綺麗とは言い難い。
けれど、そこには確かに、如月あずさという少女の苦しみが残っていた。
『桜夜は世界一の騎士。きっといつかすごいことをする。でもあいつ、弱虫で泣き虫でどうしようもないやつだからなあ。……まあ、そこがかわいいんだけど』
リオは唇を噛んだ。
桜夜様は、弱虫で泣き虫だった。
その事実を、彼女は知っていた。
知ったうえで、世界一の騎士と呼んだ。
リオは、最後のページを開く。
そこには、震える文字でこう書かれていた。
『桜夜くん。ごめんね。支えてあげられなくてごめん。約束を破ってごめん。あなたとの子どもに会いたかった。ごめん』
痛々しさに耐えきれず、リオは日記帳を閉じた。
しばらく、その表紙に触れていた。
如月あずさ。
彼女は、桜夜にとっての過去の恋人であり、呪いであり、祈りなのだと思っていた。
けれど違った。
彼女もまた、桜夜を置いていくことに傷ついていた。
自分が支えられなかったことを悔やんでいた。
桜夜様だけが、置いていかれたのではない。
如月あずさ様も、置いていくことに、壊れそうになっていた。
リオは、今度は黒い日記帳を開いた。
桜夜が置いていったものだ。
最初の方は、子どもらしい下手な字で、解読が難しかった。
わかったのは、明人先生のことが好きなこと。
病気がつらいこと。
外へ出たいこと。
あずさお姉ちゃんに会いたいこと。
それくらいだった。
字は、少しずつ上手くなっていく。
明人が指導したのだろうか。
それとも、鳳凰との契約で体調が落ち着いたからだろうか。
やがて、日記には明人とあずさのことしか出てこなくなった。
明人先生がこう言った。
あずさが笑った。
明人先生に叱られた。
あずさの手はあたたかかった。
そればかりだった。
やがて、明人のことを書かなくなる。
続いて、あずさのことも書けなくなる。
白紙のページが続いていた。
何も書かれていないのに、そこに何かがあるような気がした。
書けなかった日々。
書けば壊れてしまう日々。
リオは、ゆっくりと最後のページを開いた。
そこには、ただ一言だけが書かれていた。
『ごめんなさい』
涙をこぼしたような跡があった。
リオは、日記帳を閉じる。
泣きたかった。
けれど、うまく泣けなかった。
桜夜様は、この日記を置いていった。
記録したいなら使え、と言った。
それは信頼なのか。
放棄なのか。
それとも、自分ではもう持っていられないものを、誰かに渡したかったのか。
リオにはわからなかった。
その時、玄関の方から人の気配がした。
リオは急いで立ち上がり、玄関へ向かった。
そこには、桜夜に支えられて歩くサイカがいた。
「あっ、リオちゃん。サイカちゃんを寝かせるの、手伝ってくれる?」
桜夜は、いつものように優しく笑った。
でも、今のリオには、その笑顔さえ偽物に見えた。
すべてを失った少年が、処世術として身につけた笑顔。
痛みを隠すための、仮面。
「リオちゃん」
「え? あ、はい。こちらへ……」
リオはサイカの反対側に回り、彼女を支えた。
サイカは泣き疲れていた。
それでも、桜夜の袖を少しだけ掴んでいる。
二人でサイカをベッドへ寝かせた。
桜夜は、眠ったサイカの頭を撫でた。
その手つきは優しかった。
けれど、その目は空っぽに見えた。
桜夜が部屋を出る。
リオも後を追った。
「どちらへ?」
「どこへ行こうかなって、考えてた」
桜夜は意味もなく廊下を歩いた。
庭に出る。
リオも無言で付き従った。
「別に監視しなくても、いなくならないよ」
桜夜は軽く言った。
少なくとも、サイカとの子どもがある程度成長するまでは。
そんな言葉を、心の中でだけ付け足す。
「いえ、監視しているわけでは……」
リオは歯切れ悪くもごもごとした。
「どうしたの?」
桜夜が振り返る。
リオは、胸の前で手を握った。
「桜夜様は」
「うん」
「日記の最後に、なぜ『ごめんなさい』と書かれたのですか?」
桜夜は少しだけ目を細めた。
「さあ。もう覚えていないな」
「……」
「ただ」
桜夜は夜空を見上げた。
星は少ない。
新月の、暗い空だった。
「僕より、明人先生やあずさが生きてほしかったと、思ったのかもね」
静かな声だった。
桜夜は、自分が明人やあずさを幸せにしたとも、不幸にしたとも思っていない。
ただ、自分ではなく明人なら、もっと多くの人を救えた。
あずさには、もっと生きてほしかった。
死にたくないと泣いてほしくなかった。
それだけだった。
リオは、しばらく考えた。
言葉が見つからなかった。
記録する言葉なら、いくらでも探せるはずなのに。
歴史として残す言葉なら、選べるはずなのに。
今、目の前にいる人に渡す言葉だけが、見つからない。
それでも、必死に口を開いた。
「わたくしたちは」
声が震える。
「いえ、わたくしは」
桜夜がリオを見る。
「あなたが生きていてくれたから、救われました」
桜夜は、寂しそうに笑った。
その笑顔を見て、リオは胸が痛くなった。
きっと、明人先生にもできた。
自分でなくてもよかった。
そう言いたげな顔だった。
だから、リオは桜夜の手を掴んだ。
乱暴に引っ張る。
「行きますよ」
「どこに?」
「寝室です」
「え」
「今夜は一晩中、お説教をします」
「えー。せっかくの寝室なんだから、もっと楽しいことをしようよ」
「それは……」
リオの頬が少し赤くなる。
「桜夜様が反省したら、考えます」
桜夜は、その赤くなった顔を見て、少しだけ困ったように笑った。
けれど、その笑みの奥にある寂しさは、消えなかった。
◇◇◇
ホムラは、がむしゃらに走っていた。
火の精霊たちが、彼女の周りを飛び回っている。
赤い火。
朱の火。
橙の火。
怒りに呼応するように、火は荒れていた。
けれど、その火の精霊たちが、急に別の方向へ引き寄せられていく。
桜夜かと思って、ホムラは振り返った。
そこにいたのは、赤いチャイナドレスを着た四方院朱雀だった。
「あまり火の精霊を興奮させないでくださいまし。火事になってしまいます」
「別にしねえよ……」
吐き捨てるように言い、ホムラは目を逸らした。
朱雀は扇で口元を隠したまま、じっくりとホムラを見ている。
「桜夜殿の傷に触れましたね」
「……っ」
「これは老婆心ですが」
朱雀は、ゆるやかに目を細めた。
「桜夜殿から手をお引きなさい」
「なんで!」
ホムラが噛みつくように叫ぶ。
朱雀は動じなかった。
「彼の闇は深く、支えるものはもういない。彼はいずれ破滅します」
「そんなこと……!」
オレがさせない。
そう言いたかった。
けれど、言葉が出なかった。
さっき、逃げた。
あの顔を見て、足が勝手に動いた。
終わった者の顔。
あれを思い出すだけで、胸の奥が冷たくなる。
ホムラは拳を握った。
「如月あずさがいたら、違ったってのかよ」
「さあ?」
朱雀は空を見上げる。
「平行世界の可能性を見てきたわけではありませんので」
「……」
「ただ、そう。ただ」
朱雀の目が、少しだけ遠くなった。
あずさと過ごしていた頃の、楽しそうな顔。
あずさを喪い、先代相談役を焼いた時の、悲しい炎。
朱雀家の誰よりも強く火の精霊を従える精神力と意思力。
それを支えるものが、今も傍にいてくれたなら。
「楽しそうに、笑っていてくれたかもしれませんわね」
「くっ……」
「未来など見なくてもわかります。水希桜夜殿は、相談役は、日に日に壊れている。限界はもう近い」
朱雀は扇を閉じた。
「だから今のうちに手を引きなさい。火の指導ができるのは、桜夜殿だけではないでしょう」
「オレは……」
ホムラは喧嘩っ早い。
けれど、戦場に出た経験は少ない。
母と父の死も、悲しいというより、この世に縛られていた二人がようやく解放されたのだという認識の方が強かった。
姫を永遠に失った世界で、無限の時を生きる帝。
あの壊れた表情に、ホムラは耐えられなかった。
それでも。
「オレの師匠は、あいつだけだ」
朱雀が目を細める。
ホムラは朱雀の横を通り過ぎ、桜夜の屋敷の方へ歩き出した。
朱雀は、その背中を見送った。
「馬鹿な子ねえ」
小さく呟く。
「あんな壊れかけの玩具の、何がいいのかしら」
言葉とは裏腹に、その目は優しかった。
◇◇◇
屋敷にホムラが戻ると、縁側で桜夜がキセルをくゆらせていた。
リオに寝室へ連れ込まれ、確かに最初は説教をされた。
けれど、やがてリオは泣き始めた。
桜夜は彼女を慰めた。
記録者ではなく、ひとりの少女として泣くリオを、ただ抱きしめていた。
やがてリオは、泣き疲れて眠ってしまった。
逆に目が冴えてしまった桜夜は、こうして縁側に出ていた。
「おかえり、ホムラちゃん」
桜夜は優しく笑う。
いつもの声。
いつもの笑顔。
けれど今のホムラには、それが偽物に見えた。
仮面に見えた。
そして、キセルから漂う匂いに気づく。
いつもの、静馬が出す薬でもない。
煙草でもない。
もっと、嫌な匂いだった。
ホムラの眉が跳ねる。
「てめえ、何吸ってんだよ」
「さあ?」
桜夜は軽く首を傾げた。
「どうせ毒も薬も効かないから、よくわからないな」
ふざけた調子だった。
その調子が、ホムラの神経を逆撫でした。
ホムラは桜夜からキセルを奪い取った。
「もうやめろよ!」
キセルを握る手が震える。
「平気そうな顔するなよ! つれえなら、つらそうな顔しろよ!」
桜夜は、ホムラを見た。
そして、静かに言った。
「そうしたら、みんな逃げるでしょ?」
「っ」
その言葉は、ホムラに突き刺さった。
なぜなら、自分も一度逃げたからだ。
桜夜は、少し困ったように笑った。
「いいかい、ホムラちゃん」
その指が、ホムラの胸のあたりを示す。
「心の傷は、癒えたりしないんだ。特に深い傷はね」
「……」
「でも周りは、早く立ち直れと言う。立ち直れない人間を置いていく。戦場でも、日常でも」
桜夜は懐から紙巻煙草を取り出した。
口にくわえる。
火の精霊で火をつけ、風の精霊で副流煙を浄化する。
無駄に器用な吸い方だった。
「特に僕は、世界一の騎士だからね」
桜夜は笑った。
「僕のつらそうな顔なんて、誰も望んでいないんだよ」
彼がつらそうにしていれば、足元をすくわれる。
弱みを見せれば、誰かがそこを突く。
だから彼は、いつも余裕の笑みを浮かべていなければならない。
盤面を支配しているように見せなければならない。
泣きたくても。
叫びたくても。
終わった者の顔をしていても。
仮面を被る。
「まあ、もう遅い。今日のことは忘れて、さっさと――」
「桜夜!」
ホムラが怒鳴った。
その声に、桜夜は目を丸くする。
次の瞬間、桜夜の煙草がホムラの火で燃え尽きた。
灰すら残らなかった。
「もったいないな」
「黙れ」
ホムラは桜夜の頭を掴んだ。
そして、誰にもその表情が見えないように、ぎゅっと抱きしめた。
桜夜の顔が、ホムラの胸元に押しつけられる。
「おお、ちっちゃいわりにやわらか――」
「ふざけんな」
ホムラの声が震えていた。
「今は、誰にも見えないようにしてやってるんだ」
桜夜は黙った。
「好きな表情しろよ」
ホムラは言った。
「オレの前で仮面はいらねえ」
「……」
「オレの前でくらい、感情を出せよ」
火の精霊たちが、二人の周囲を静かに回る。
「お前が泣くなら、抱いてやる」
ホムラの腕に力がこもる。
「お前が怒鳴るなら、怒鳴り返してやる」
桜夜の指が、わずかに動いた。
「お前がオレを殴りたいなら、殴れ」
「ホムラ」
「その代わり、オレもお前を殴る」
桜夜は、少しだけ息を吐いた。
笑ったのか、泣きそうになったのか、ホムラにはわからなかった。
「ホムラちゃんって、悪い男に引っかかりそうだよね」
「もう引っかかってる」
「そっか」
桜夜は、それだけ言った。
その時、桜夜がどんな表情をしていたのかを、ホムラは知らない。
誰も知らない。
ピエロの仮面の下の素顔は、桜夜にももうわからない。
壊れた心は、二度と元には戻らない。
朱雀の言う通り、桜夜は終わりへ向かって歩いている。
桜夜の終わりとは、なんだろうか。
世界を裁きの火で焼くことか。
廃人になってしまうことか。
それとも。
サイカは、泣きながら彼を止めた。
リオは、記録の中から彼の痛みを読んだ。
ホムラは、逃げた足で戻ってきた。
三人の少女の祈りは、彼に届くのだろうか。
世界に、届くのだろうか。
消えた命の夜。
生まれる命は、まだ声もなく、サイカの中にあった。
そして、火は消えなかった。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
第68話から数話は、桜夜の過去と傷に深く触れていく回になります。
次回「信じる魔法」では、リオが桜夜の活動記録を読み、彼が世界一の騎士になるまでに何をしてきたのかを追っていきます。




