コロンの案内と手紙
コロンが街に来て2日目。ボロ宿ではあるが、しっかり休めたようだ。
「普段どんなことしてんだ?」と言われたので街の案内がてら実際に見てもらうことにした。
そもそも俺もこの街に詳しいわけではないが。
昨日行ったハンターギルドは省こう。錬金術は……そもそもあまり行ってないから用事があるときにしよう。結構手数料痛いし。
「そうだな。商業ギルドに行こう」
「商業ギルド? そんなところでなにすんだ?」
「そりゃ商売するんだよ」
「アカ、商人もするのか!?」
ギルドで銀貨1枚を払って許可証を受け取った。
ギルドコインを返してもらう時に、手紙を渡された。
「これは……?」
「緑のクチバシの方から来たら渡してほしいと言ってました」
二つ折りで縁をのり留めしただけの簡単な手紙だ。
礼を言ってギルドを出た。中身が気になってその場で開けたかったが、開け方がわからない。
恥ずかしい行動をする前に人のいないところで開けたほうがいいだろう。
「なんかあったのか?」
「ああ、なんか手紙を渡された。これ、どう開けるのが正解なんだ?」
コロンに聞けばいいじゃないか。コロンに手紙を渡した。
「手紙は縁を破ればいいんだよ」
バリバリと無造作に破いていく。ほいっと手紙が戻ってきた。
中を確認する。
〜〜〜〜〜
用事があってグレストルにいるのかもしれないが、良かったら拠点をメルートへ移さないか?
僕達、緑のクチバシは知っているかもしれないがメルートを拠点として活動している2級ハンターだ。ぜひ、優秀な人材は近くにいてほしい。
もし、鍛冶屋を構えようとしているなら鍛冶ギルドのあるメルートがオススメだ。
近くに狩り場の塔もある。鍛冶や錬金術の素材はグレストルよりか安く豊富に手に入るだろう。
無理にとは言わないが、しばらく僕達もグレストルに居る予定なので良かったら考えてみてくれ。
追伸、ゴザーが君に会いたがっていたぞ。言いにくいが盾についてだ。手紙では伝えられないから会ったときに話そう。
〜〜〜〜〜
よくわからんお誘いの内容か。
最後の一文、盾が不良品だったとかイチャモンつけてくる気じゃないだろうな。言いにくい? 本当になんだろうか。怖い、謎すぎる。
メルートにはどうせいつかは行くんだ。今すぐ行く必要はない。ゆっくりしていこう。
手紙をアイテムバッグへと入れる。
「なんて書いてあった?」
「なんか拠点をメルートにしないかというお誘いだったよ」
「すげぇでねぇか! 行くんだろ?」
「まあ、機会があれば」
別に急ぐ必要はないし、誘ってきたメンバーとはそれほど仲が良いとは思ってない。2〜3回顔を合わせた程度の知り合いだ。
そんなこんなを説明して、今すぐには行かないということを伝える。
正直、狩り場の塔が何か気になってはいるが。
メルートがどんなところかコロンに聞きながら商売するための噴水広場に向かって足を進めた。