売れる物を作ろう
床に布を敷いただけの露店にコロンが驚く。
「これが売り場?」
肯定するように商品を並べて見えるところに許可証を付ける。
「これで完成だ」
「お客さん、来るのか?」
「来ない!」
カム村で手に入れた手頃な丸太を2つイス代わりに取り出して座る。
この辺りのご家庭は食器を使わないのて食器類は売れない。かといって今まで作ってきた置き物や子どものおもちゃを買えるほど余裕のある人たちは少ない。
導き出された答えは今現在、売るものはない!
食べるものを売ろうとしてるやつが多いのがわかるわ。こういうのものが売れないんだから。タバコを吸っている人も見かけない。
今まで作った売れない商品を並べてはあるが、これは並べてあるだけだ。売れるとはもう思ってない。
何か作ろう。
少なくとも売れるもの。何がいいか。
「なかなか売れなくてな。そういえば行商人が来るって言ってたけど村では何か買ってたのか?」
「うん、ほとんどは売ってたけど。とにかく安い物を買ってた。カゴとか靴とか」
「ああ、安い物を」
安ければ買ってもらえるのか。
だが、そもそも客が来ないのだからどうしようもない。忘れていた。
とりあえず安い物を作ろう。
ありがたいことに材料費はゼロ。安くし放題ではある。
村でカゴや靴を買っていたということは、多分売れる。作って様子をみよう。
コロンの見守る中、作成作業に取り掛かった。
一言にカゴといえど様々な種類がある。
取っ手の無い一番シンプルなカゴ。取っ手を一つ付けた腕を通して使えるタイプのカゴ。縁に小さめの取っ手を2つ付けた、両手で持って使うタイプのカゴ。
他にも両肩にかけるランドセル型もあれば、フタ付きのもの、カゴの深さに大きさも変えれば凄まじい種類になる。
売れるかどうかわからないので、様子見がてら今回作るカゴは一番シンプルなカゴ。
俺は作り方を知らないので、今回もスキル任せになるな。
作りたいものをイメージすると勝手に作ってくれる。
手が勝手に俺が鍛冶場を借りたときに作ったナイフて木を薄くスライスし始めた。
「今から何を作るんだ?」
「カゴだよ」
そうは言いつつも、なぜカゴを作るのに木を薄くスライスしているのかも理解していない。
沢山の薄い木の紙が出来上がった。
それを今度は親指程度の幅になるようにザクザク切っていく。
紐状になった木の紙が大量に完成。
すごい速さで編み込み始める。
「は、早いなぁあだしには見えねぇよ」
「確かに」
「え?」
「……いや、なんでもない」
全く同じ感想だったから間違えて「確かに」と口に出して言ってしまった。
自分でやっているという感覚にはどうしてもなれない。
話しながらも手は動き、記念すべき1つ目のカゴができあがった。
木材加工のスキルMAX効果で寸分違わず編み込まれたカゴは人が乗っても壊れないのではないか、と思うほどの丈夫さだ。
ニスでも塗れば置き物になりそうな素晴らしさを感じる。
「おお、できたか。ちょっと貸して」
「どうぞ」
コロンがカゴを見て押したり引っ張ったり叩いたりしている。
作ったばかりだから壊さないでくれよ。
「あんな速さで作ったのにしっかりしてて丈夫なカゴだ。アカは本当にすごい!」
「あ、ありがとう」
自分で作っておきながら、手が勝手に作ってくれたものなので、素直に喜べない。
……いや、スキルも俺の一部だ。一つの人生を使って手に入れた能力なんだ。
偉いわけではないが、褒めてくれたものぐらいは素直に受け取ろう。
「これなら売れる! 絶対売れる!」というこコロンを信じて次のカゴに取り掛かった。




