グレストルへの道はゆっくりのんびり
お互いに焚き火の番をして朝がきてから出発する。そしてまた野営地を決めて焚き火の番をする。
5日で着く行程だが、グレストルへ向けて歩き始めて今は6日目だ。
コロンの歩く速度に合わせる為にどうしても遅くなってしまう。
この世界に来てから1にお金2にお金3にお金で慌ただしい日々だったから丁度いい。
2人で他愛もない話をしたり、森を眺めたり空を見ていたりとゆっくりした時間が流れるのもいいな。
地球でもこんなにゆっくり歩ける長い道はあったのだろうか。地平線まで森と平原の切れ目が続いている景色はあるのだろうか。
狭い部屋でゲームばかりしていた俺は、旅行にも行ったことがないから全くわからない。少しもったいない事をしたな。
「このへんは盗賊なんかでないのか」
ふと思った事を口にすればコロンが答えてくれる。
異世界といえば突然現れる盗賊と相場が決まっている。そして偉い人が乗った馬車が襲われるのだ。
「盗賊はでねぇ。腕っぷしが強けりゃハンターか冒険者になったほうが儲けるから」
「ああ、そうか。それは良かった。犯罪者とかはどうなってるんだ?」
「この国の犯罪者は奴隷になってダンジョン送りか炭鉱で鉱石掘るか、そのあたりだと思う。盗賊ではないけど頭がおかしくなった人に襲われる可能性はあるかなぁ」
隕石に当たるようなもんだから気にしても仕方ない、と笑っている。
そうか、とりあえず治安は悪くないのだろう。どちらかというとハンターや冒険者のほうが山賊みたいな奴らもいるから注意したほうがいいのかもしれない。
「村なんかは襲われると大変だろうな」
「そうだなぁ。でも、ハンターとか冒険者がケガや歳でギルドをやめた時に村を作ってるから、少しぐらいなら戦える人もいるから大丈夫だよ」
村は勝手に作ってるらしい。
税金はないが、国から支援もない。そういうルールなのだと。
キングが決めているのだからそうなのだとコロンは言った。
キングには会いたくないな。俺がルールだなんて言うやつに良いやつがいるとは思えない。
よく他の国から攻められないものだ。
国境とかどうなっているのだろうか。今度見に行きたいな。
そろそろこのあたりで野営をしたほうがいいだろう。
コロンは木の具足で初日は良かったが、2日目3日間と徐々に歩く速度が落ちていた。絶対痛いのだろう。
次にコロンと旅をする機会があれば馬車にしよう。
「あ! グレストルだ!」
俺が野営地をどこにしようか森の方を見ていると、コロンが指を指しながら声を出した。
グレストルが遠くの方に見える。
日が沈むまでには着きそうだな。
「ちょっと急ぐか。走りはしないがどうだ? 大丈夫か?」
「大丈夫大丈夫。行けるよ!」
無理してないか。お互いに顔が見えないので兜の中で顔を痛みに歪めていてもわからない。
大丈夫だというのだから信用しよう。
「グレストルには結構来てるのか?」
「あだしは初めてだぁ! 楽しみだな!」
そうか! 初めてか!
俺も最初に来たときはドキドキワクワクしたものだ。
とりあえずハンターギルドへ行って、それから……ん?
「あれ? そういえば村長代理の依頼を受けたはず、コロンじゃなかったか?」
「依頼か? 依頼は行商人に証書と手間賃を渡してお願いしてんだ。ほら、畑とか色々あるから、何日も留守にできねぇ」
「行商人か」
行商人はどういうものなのだろうか。見てみたい。売り物は? 珍しい物は置いているのか? 村を回ってるってことは日用品しか取り扱わないのだろうか。
遠くに見えるグレストルを見ながら行商人について考えていた。




