歓喜と静寂
「ひ、ひぃぃ!」
門兵が後ずさる。
森から黒い山が近づいているのを確認したからだ。
門兵が状況を少しでも確認しようと、視線が向かってしまう異質な黒い山から視線を引き剥がす。
山の前に人影が見えた。ハンター達だ。
半日前に出ていった他の街から応援で駆けつけたハンター達だ。
彼らが倒した魔物を引きずってグレストルに帰ってきたのだ。
門兵は両手で握りこぶしを作った。
「よっしゃー! やっぱ余裕だったんだよ! ほら、みんな帰ってきたぞ!」
兵の控室に走り込んでいき、中にいる兵を呼んだ。
黒の魔物も回収していると聞いた兵たちは一目見ようと部屋から飛び出していく。
「討伐! おめで、とう……ございま……す……?」
元気よくニコニコとハンターたちに出迎えをする兵たちは異変を感じた。
誰一人、嬉しそうにしていないのだ。人数は減っていない。怪我をした様子もない。
「あの、何かありましたでしょうか?」
「いや、大丈夫だ」
ハンターたちはそれ以外口を開くことはなく、魔物の遺体を荷台に乗せてギルドへの道を進んでいった。
報告を受けたギルドは空気が爆ぜるような歓声があがった。
ハンター達が魔物を確認するために外へと集まる。
黒い。それ以外の特徴は傷だらけの為に判別が難しい。血液まで黒いようだ。
「全くの新種か」
「ギルド長」
ギルド長が出てきて、魔物を触りながら確かめている。
「血の1滴、皮膚の皮1枚に至るまで細かく調べて価値を調べろ」
「はい!」
ギルド職員達が総出で解体作業にとりかかる。
「ギルド長。正直、何してくるかわからねぇからドラゴンを倒す方が楽だったぞ」
「そうか。ドラゴンレベルの新しい魔物が現れたか」
ギルド長は何かを思案するように空を見上げた。




