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依頼報告

人だかりのなくなったハンターギルドの扉を開く。


飯を食って正解だったな。


そろそろ慣れてきたのでギルドコインを早めに手に持っておく。



「依頼の報告だ」



中肉中背ちゅうにくちゅうぜい、少しオシャレな丸メガネの純人族じゅんひとぞくらしき男に声をかける。


ここは来るたびに担当が変わるな。



「はい。コインをお預かりします……納品物はお持ちです?」


「ああ、そうだった」



袋から取り出してゴモムの草とカカカの実をカウンターへ5つずつ並べた。


問題はないはずだ。一応傷の無いものを選んで汚れもない、はず。


ゴモムの草は果肉植物のように肉厚で細長く、表面には薄く細い毛がふわふわと生えている。


カカカの実は押すと少しだけ弾力があり、黄色のつやつやした拳大の実だ。


草も実も個体差が結構激しく、より大きく質の良さそうなものをチョイスしている。


大きければいいというものでもないのかもしれないが、その場合はまだ沢山予備があるので問題ないはずだ。



「これはゴモムの草とカカカの実。おや? あなたは……」



後ろから突然声をかけられた。


さて、知り合いはまだほとんどいないんだが。


後ろを振り返ると、エルフがいた。


あの錬金術ギルドで突然話しかけてきて錬金術を見せろだのなんだの言ってきた長髪のエルフだ。



「あのときの――」



あのときの――で言葉が詰まってしまった。


名前を忘れてしまったから次の言葉が出てこない。


ヤトなんちゃらだったはずだが。



「ヤトサラルです。覚えてくれていましたか、良かったです」



そうヤトサラルだ。


俺の持ってきた草と実を勝手に手に取り確認し始める。



「これ、私の依頼なんですよ」



まあ、だろうとは思った。


でないとコイツ勝手に何してんだってなるし。


ギルド職員と何やら話しているが、わざわざ聞くほどのことではないだろう。



「アカ様、依頼の達成を確認しました。初依頼達成おめでとうございます」


「あ、ああどうも」



なにこれ恥ずかしい。


いいんだよ別に祝福してくれなくても!


それも仕事かもしれんが初依頼とか言わずに淡々と仕事してくれ!


拍手してないのがせめてもの救いか。



「これが初依頼だったんですか?」



ほらみろエルフ男が食いついた。



「ええ、まあ……」



話しかけてくるなオーラでも出しておこう。



「コインのお返しと、報酬の確認をお願いします」



報酬をささっと数えてコインと一緒に袋に入れると足早にギルドの扉を出る。


ふぅー恥ずかしい恥ずかしい。初心者なのは間違いないのだが、いい歳して初心者扱いされると気恥ずかしさが表に出てくる。


少ないがこれでまとまった金は手に入ったな。


さっさと出てしまったが、朝の騒ぎはどうなったんだろうか。


まあ、今騒いでないから解決したのだろう。

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