ぶらぶら探索
別に魔王を倒すわけでも他国に侵略するわけでも誰かに復讐するわけでもない。
ゆっくりじっくり世界を楽しむ。
これができるのだからありがたい。
金銭的な余裕も少しだができたので、今日は早いが仕事をする必要もないだろう。
この街をゆっくり探索するか。
ゴミ一つ落ちてない街道を歩き店を探しながら、そのあたりを歩く人にも目を向けた。
すれ違うハンター風の人々を見て、あの格好いいなぁとか何の獣人なのかわからない人をチラチラ見たりする。
しばらく適当に歩いていると小さな看板に“本”の文字を見つけた。
……値段はわからんがどんなものか入るか。
カラン……と木でできた鈴のような物が扉を開くと鳴った。
木なので全然響かないがそれが逆に良い音に思えた。
すごく狭い店だ。
扉から一本道でカウンターがあり、両サイドに棚、そこへ本がキレイに並べてある。
棚ではない場所にも何の本かはわからないが無造作に天井付近まで積み上げられてある。
これはどういうシステムなのだろうか。
カウンターの向こうに誰かいるが、勝手に本を触っていいのかダメなのか。
まあ、ダメだったら謝ろう。
特に目当ての物があるわけではないので、適当に一冊手に取る。
世界の通貨
タイトルにはそれだけ書かれてあった。
……これは気になる。
全て中古なのか、ここにある本はところどころよれていたり古ぼけた感じがする。
慎重に扱おう。
中を開く。
「お客さん! 中見たらだめですよ!」
カウンターの方から響く女性の声に静止させられた。
「ああすまん!」
急いで本を閉じる。
なるほど、システムを理解した。立ち読み禁止か。
そりゃそうか。読まれちゃ金にならんわな。
とりあえず気になったこの本を手にカウンターへ向かう。
「これはいくらになるんだ?」
何の獣人かはわからないが毛むくじゃらの獣人さんだ。
服装や声色から女性であるのは間違いない。
「これは銀貨4枚ですね」
「そうか……また来よう」
高い! 高すぎる!
……見たい、が金がないので今はまだ諦めよう。
仕方なく本を戻して本屋を後にした。
しかし、良い本屋を見つけたな。お金ができたら買いに来よう。




