冒険者とハンター
「よそから来た冒険者様は怖気づいて逃げ出したとよ! がっはっはっは!!」
首や顔、皮膚が見える至るところに古傷があるガタイの良い純人族の男が大口で笑う。
「貴様……」
「グレム、やめましょう」
白いローブのポロネがグレムの鎧を掴んで後ろへ引っ張る。
ガタイの良い男の周りには4人の仲間だろう男達が一緒に嫌な笑みを浮かべている。
グレムとポロネ、男達の周りを他のハンター達が囲むように集まっていた。
「このあたりにゃそんな魔物はいねぇよ。岩か何かを見間違えたんだろ? それだけのランクになって恥ずかしいねぇ」
そもそも、冒険者とハンターはあまり仲が良くないのだ。
冒険者は魔物と相対する事を極力さけるのに対して直接ぶつかるのはハンターが圧倒的に多い。
斥候としての役割もある冒険者のほうも死者は多くなるので危険という意味では同じなのだが。
冒険者は基本的にハンターでもある場合がほとんどだ。
しかし、ハンターを専門にしているものからすると直接魔物と戦わないというイメージを冒険者に持っているものが多くいさかいが絶えない原因になっている。
「いや、アレは間違いなく何かの生き物でした」
「ほぉ〜、まあいいや。俺たちが怖がりの高ランク冒険者様の緊急討伐依頼を受けて、それはそれは簡単に倒して見せましょう! がっはっはっは!!」
「やめておけ。人数を集めて別の都市からハンターを呼び――」
「黙れ! 腰抜けが!! 新しい魔物だという証拠も無しにうざってぇんだよ! お前たちの持ってきた情報はなんだ? 見た目だけじゃねぇか! こっちはこの都市で10年ハンターやってんだ。そんな魔物はいねぇ! 昨日も誰もそんな魔物見てねぇし今日も誰も居なくなってねぇ。これが何を意味するかわかるか? いくぞお前ら」
ハンターの集団が割れて男達が歩いて出ていく。
確かに、何の被害もなければ目撃情報もないのだ。そんな不気味な魔物が突如現れたとはどう考えても思えない。
グレムが誰にも聞こえない声で「平和ボケか……」とつぶやく。
「おい! お前たちも行けるものは準備して来い! アイツらだけで行っても情報ではなく死体が増えるだけだ!」
グレムがいつまでも解散しないハンター達を見て声を上げる。
グレムとポロネはさっきの男たちの後を追う事に決めたようだ。
ここに集まったハンターでグレム達の言っていることを信じているものはいない。
しかし、面白半分といった感じで20人ほどがグレム達の後ろを歩き始める。




