第4話
ルクスが教会の内部に足を踏み入れると、一人の修道女がこちらに気づき、近づいてきた。
「勇者様、聖女様がお待ちです」
そう告げ、彼女はルクスを奥の祈りの間へと案内した。
祈りの間の扉には、黄金の太陽の紋章が刻まれていた。
修道女は一礼してその場を去った。
ルクスは扉を開け、中へと足を進めた。
部屋は予想以上に広々としていた。
天井まで届く巨大な神の石像が、一番奥に佇んでいる。
顔は影に沈み、輪郭だけがぼんやりと浮かぶその姿が、空間全体をより幻想的で神聖なものに仕立て上げていた。
石像の前に、一人の女性がこちらを向いて立っていた。
聖女レリファ。
『太陽の聖女』と呼ばれる彼女は、肌も、腰まで届く長い髪も、すべて純白だった。
瞳だけが、燃えるような真っ赤な色で、まさに太陽そのものを宿しているかのよう。
細く、儚げな体躯は、全てを神に捧げ尽くした聖女そのものに見えた。
しかし、その実態は、少しばかり違っていた。
レリファが静かに扉を閉めると、彼女はルクスのもとへ歩み寄ってきた。
ルクスも自然に足を進め、二人は部屋の中央で向き合った。
ルクスはその場に跪いた。
「また勝ってきた、レリファ」
レリファは、両手でルクスの頬を優しく包み込むように触れた。
大きく息を吸い、
「あんたねぇ! 何が『また勝ってきた』よ! こっちがどれだけここで祈り続けてたと思ってんの!? あんたが傷を負うたび、死にそうな目に遭うたび、回復させてるのは誰だと思ってんの!? 言ってみなさいよ、ねぇ!」
聖女らしからぬ勢いと口調で、彼女の声が部屋に響き渡った。




