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勇者が魔王の娘と婚約したら、聖女も参戦してきて修羅場が爆誕した件  作者: 川合 佑樹


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第2話

 今日も戦いは勝利で終わった。


 仲間に怪我人は出たが、死者は一人も出ていない。


 ルクスの戦場では、ほとんど死者が出ない。


 それが彼の誇りでもあった。


 仲間たちは敬愛を込めて、彼をこう呼んだ。


『太陽の使者』


 この国において太陽とは、神の住まう場所を指す。


 そこから遣わされた者。


 そんな仰々しい二つ名だった。



「ルクス様ぁぁぁ!!」


 王国正門をくぐった途端、歓声が爆発した。


 門の両側に詰めかけていた市民たちが一斉に手を振り、名前を叫ぶ。


 ルクスが腕を持ち上げて応えると、さらに大きな歓声が沸き上がった。


「今日もお疲れ様でした!!」


「ルクス様! 怪我はないですか!?」


「ルクス! 最高だぜ!!」


 興奮したギルドの若手たちが、ルクスの体を担ぎ上げた。


「わっ、おい! 降ろせって!」


「ルクスさん! みんなに手を振ってやってください!」


 ルクスは「しょうがねぇなぁ」と言いつつも、担がれたまま右手を高く掲げた。


 街路に並ぶ人々が、次々と手を振って返してくれる。


 魔族の商人までもが拍手を送っていた。


(……今日も、救えたな)


 その光景を背に、ルクスはギルドへと運ばれていく。


 通りを進み、ギルドの前まで来たところで、ようやく地面に降ろされた。



 ギルドに戻ると、建物の中はすでに祭り騒ぎになっていた。


 毎回勝って帰ってきているというのに、皆の盛り上がりは衰えない。


 ルクスは奥の受付席に目を向けた。


 そこには、二メートル近い筋骨隆々とした巨躯の男が腕を組んで待っていた。


 白髪の短髪を整え、軍服を思わせるギルド職員の正装に身を包んだ四十代の男。ガルーヴァだ。


 ルクスをここまで育て上げた男。


 幼い頃、魔王軍に両親を殺され、親戚にあたる彼に引き取られたのだ。


 血の繋がりなどないはずなのに、本物の父子に見える。


「父さん、ただいま」


 ルクスが声をかけると、ガルーヴァの厳つい顔が柔らかくほころんだ。


「おう、よく帰ったな。今日も無事だったか?」


「あぁ。なんとかね。死者も出さずに済んだよ」


「また派手に暴れたんだろう?」


「ははっ、みんなが無事ならそれでいいんだ」


「そうか……そうだな。お前は本当によくやっているよ」


 ガルーヴァは満足げに頷いた。


「そうだ、ルクス。そんなお前の努力が実ったのか、いい話が来ている。いずれ詳しく話すことになる。覚悟しておけ」


「わかった。今じゃダメなんだな?」


「ははっ、その時が来るのを楽しみにしておくんだな」


「そうしとく。今はあいつらを労いたい」


 ルクスは踵を返すと、仲間たちの下へ向かい、果実水の入ったジョッキを受け取った。


 そして高々と掲げ、よく通る声で言った。


「今日の勝利は俺だけのものじゃない。過去の英霊、そしてこれから歴史に名を刻むお前らとのものだ! 明日も明後日も、敵はきっと襲ってくるだろう。だが、お前らならやれる。俺たちならやれる! 剣がなければ拳を、足を、その頑丈な顎をもってして打ち砕こう! 祖国に栄光あれ!」


「「「栄光あれ!!」」」


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