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その赤と、きみの口唇
それはまるで、血液が飛び散ったかのように。
赤い、赤い夕日だった。
まるで全身をその赤に染め抜いてしまうほどの強烈で、鮮麗な。
僕はその「赤」を遠い昔に見たことを思い出して、胸が苦しくなった。
忘れられない、きみの思い出とともに。
僕はただ、その夕日を微動だにせず見入っていた。
だって、その赤は底知れぬほどに僕を惹き付けて止まないからだ。
ふわりと、まるで誘うかのように吹く、柔らかな風。
僕はその頬を撫でられるかのような感覚にうっすらと瞳を閉じた。
風の匂いを受けるように、そっと瞳を閉じる。
遠い異国の地。きみの『なきがら』が眠る場所。
赤に染まる空が、最期に見たきみの口唇を思い出させる。
僕の代わりに撃たれたきみを抱き上げたとき、冷えゆく身体が心を切った。
鮮やかな赤に染まる口唇がゆったりと弧を描き、笑みの形をかたどって。
いまもなお、心に残る。
伝え損ねた僕の気持ちはくすぶったままで。
どこにいても、なにをしていても。
ただ、あのときの口唇を思い出す。
鮮やかに染まる、きみの『赤』──。




