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《エキシビジョンマッチ》クソガキVS傭兵3

『武器:ナイフ3本・その他(・・・)

 油断大敵という言葉がある。

 良い言葉だが、これを常々言い聞かせる者は感心しない。

 それ即ち、常々戒めねばならない慢心が内にあるということなのだから。



 先生の一番尊敬するところの一つは、子どもだからと馬鹿にしないところだ。

 大袈裟には褒めない。

 褒めたとしてもすぐにボコボコにしてくる。けど、自分がボコボコに出来た理由と改善点を考えさせてくれる。

 今まで来た連中と全然違って、ちゃんと一人前として見て、対等に向き合ってくれた。

 勉強が出来るから特待生になって、凄いから貴族のショーマス=ゴードンに認められてここに居るのに、なんで威張らないのか不思議だった。

 一度訊いた時、こんな風に答えが返ってきた。

 「皆さんは、私と違います。

 私と違う生まれで、私と違う育ちで、私と違う考えで生きて、生き延びて、ここまで来たのです。

 であれば、そこには必ず私とは違う生まれで、育ちで、考えによって積み上げられた輝き、私が持ち得ない素晴らしいものを持っているということです。

 そんな素晴らしい皆さんを前に、傲慢な振る舞いをするのは、格好悪くありませんか?」

 そんな答えを聞いて、カッコいいと思った。

 だから真似することにした。

 目の前のヤツが自分より凄いヤツで、自分が考えたことよりも、もっと凄いことが出来るんじゃないかと考えた。

 だから、普通に落とし穴をするだけじゃ、最初に先生に出会った時に仕掛けた様なやり方じゃダメだって解ってた。

 だからこうした。

 先生にはできない、自分に出来る輝きを!

 『地形操作』


 メキメキと何か太いものが折れる音が響く。

 傭兵は音に気付き、音源を探す内に、その音と共に自分の体が離れたはずの落とし穴へと再度近付いている異常に気が付いた。

 傭兵がナイフを突き刺した木が地面に沈み込んでいた。

 その一本だけではない。周辺の石や樹木がまとめて地面へと呑まれていく。

 そうしている内に呑み込む地面がひび割れ、それが広がり、倒れた樹木の重みで蓋が割れ、その本当の正体を曝す。

 「オイオイオイオイ!嘘だろ嘘だろマジか!ふざけんな!」

 異常の本当の正体に気付き、血相を変える。が、空中。しかもナイフから伸びる糸で体を固定している今、直ぐには動けない。

 そう、クソガキは『地形操作』で自分の目の前を一帯丸ごと落とし穴へと変えていた。

 木々も男も丸ごと、力業で奈落の底に叩き込む。シェリー君なら決してやらない、だがクソガキなら出来て、確実に格上を相手に陥れ、落し入れる方法。

 「おいおいおい嘘だッ!」

 傭兵が落ちる。そしてそれに追従する形で木が穴へと引きずり込まれていく。

 奈落の底に木が到達したことを地響きが伝えた。


 モチベーションが、高いです。

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