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《エキシビジョンマッチ》クソガキVS傭兵1

 座して見物する。

 薄情?そんなことはない。シェリー君が完全に気絶した今、私が教え子の教え子に対して出来る最大級の行為は『見届ける』これだけだ。

 さて、戦力分析だ。


『モンテル=ゴードン』

使用魔法:身体強化・強度強化・地形操作

武器:無し


『傭兵』

使用魔法:不明

武器:ナイフ3本(・・)・その他


 傭兵が今見せているナイフの他に、袖に一本、右足首に一本仕込みがある。

 武器の差は傭兵に軍配が上がる。そしてクソガキがそれに気付いている素振りはない。

 だが、クソガキにも有利な点がある。傭兵は未だ本調子ではないという点だ。

 シェリー君から最初に喰らった分のダメージは未だ残っている。足下は僅かに不安定、顔は眉間と顎には真っ赤な痕。

 結論から言ってクソガキ不利だ、当然だろう。

 武器が無い。武器を持った玄人と丸腰素人では比べるまでもない、物理での戦いは不利、魔法で覆す他無い……。

 だがしかし、『使用魔法:不明』とは言ったものの、馬車から投げ出されて平然としていたこと。シェリー君の初撃を、陽動とはいえ防いだこと。

 そこから、それなりに高い精度で『身体強化』や『強度強化』が使える事は解る。

 となれば、だ。

 ここまで手の込んだ誘拐をしでかす犯人が用意した傭兵が、魔法を二つだけしか使えないと見る方が難しい。となれば実戦での経験不足故に魔法戦もクソガキ不利。

 クソガキは今、危機的状況の最中。まともにやっては到底勝てない。


 そう、まともにやっては。


 注意深く観察しろ。

 相手はこの状態で何故ナイフなんてものを取り出したのか?

 脅して言うことを聞かせるため?いや、そんなこと魔法でも出来る。

 どころか時間を惜しむなら、問答無用でメイドを魔法で殺し、そのまま動揺したクソガキを気絶させて運べぶのが最短最適の方法だ。ナイフを取り出す時間がロスだ。

 それをしないのは純粋に考え付く頭が無いか、あるいは魔力量だけは一丁前のクソガキを前にしてそれを実行するだけの余力が無いか、あるいは決闘茶会で神童に勝ったと噂のクソガキを警戒しているか、それとも……。

 余力が無いなら魔力量を見せつけて旗色悪しと撤退を選ばせる。

 警戒するなら散々思わせ振りに振る舞って援軍を待つ動きをして旗色悪しと撤退を選ばせる。


 クソガキが身構えている内に傭兵はナイフを手に突進してきた。

 残念ながら最悪の可能性が的中だ。

 水や火を警戒している様子が無い。そして地面を警戒している。

 依頼主様からクソガキの情報が(つまび)らかにされているな。使える手札が『身体強化』・『強度強化』・『地形操作』だと割れている。だが今あるのはその3つだけ。相手に明らかにしたありふれた手札だけでこの状況を打破するしかない。


 ブックマークありがとうございます。

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