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1929/1944

改造者VS悪意の改良者2

※閲覧注意 微妙にグロテスクな描写が続きます。続く内は前書きに前話のあらすじを書いておきます。

 豆スープの様な真っ白な世界だった。

 自分がいつの間にかそこに立っていた(・・・・・)

 立っている。おかしいことだ。先刻まで立つための足は無かった。見るための目も、伸ばす手も無かった。

 それがある。下を見ると、知らない手足が生えていた。それを見る目があって、周囲の音を聞く耳があって、呼吸すると肺が詰まるほど吐き気がする悪臭に(むせ)て、ここが確実にあるという手足の感覚がある。

 知らない場所だった。

 真っ白な霧の中、薄い灯りがレンガ造りの建物をぼんやりと映し出す。

 知らない景色だ。その筈だ。けれどどこかで見たことがあるような……




 背中から強く押されて地面が迫ってくる。

 咄嗟に手をつこうとして、そのまま地面に叩きつけられた。

 手が動かない。顔が痛い。力が入らない。背中が、痛い。

 「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 頭が踏みつけられる。地面に跳ね返って頭がボールの様に跳ねる。

 痛みも感じない。

 「お前が!お前も!お前の私を殺したんだ!だからジミーが笑ってた!キラキラしたあの光がみられれる!やっちゃダメってリジーはおこったもうトミーはいないからあのキラキラはない!もっとキラキラ!おまえがこうなればキラキラほしいんだ!イヒイヒイヒヒヒハハ、ほら、アリスはしっかりたべないとなまやけがいたいでしょ?あは、あははははあああははははははははア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 何かが背中に刺さっている。何かは解らない。けれど、刺さる度に体から力が抜けていって、痛みが無くなっていく。

 「せんせいおしえてくれた、せんせいありがとうございます、せんせいさようららあははははははははははは!」

 最後、何かに頭を掴まれて、誰かが赤く濡れた手で持った赤い棒を目に押し付けてきた。

 半分見えなくなって、残り半分も、消えてなくなった。




 真っ暗な景色の中、水音が響いた。

 体に感覚が戻ってきた。冷たい。痛い。体中が痺れる。水が()みる。口に広がる塩辛い味。そして息が出来ない。

 海水に浸かっている。息を、息を!

 体が勝手に藻掻(もが)く。上へ、上へ、沈む体の感覚に逆らう様にして上へ。

 腕が動かない。

 足が動かない。

 動く。指先は動く。けれど体に何かが絡みついて、動かない。

 動かして上へ。

 動かない、沈んでいく、暗い、冷たい、苦しい……

 助けて、死にたくない、怖い、許してくれ、もういやだ……

 誰も答えない、下へ、下へ、下へ、下へ、下へ……

 上に向かって藻掻く。揺れる月光が見えた。月光が遠く離れていく。

 手を伸ばす、足をバタつかせる、それが出来ない。

 月の光が遠くなって、カポカポと自分から最後の息が抜けていって、同時に喉から鼻から海水が体を満たしていって、そうして、そうして、そうして、そうして……


 ブックマークありがとうございます。

 そして申し訳ありません、もう『改造者VS悪意の改良者5』の分まで書き終わりました。暫しお付き合い頂ければと思います。

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