改造者VS悪意の改良者1
改良する時、素体だけでは足りなかったので、自分を混ぜた。そうして足した。同時に素体を人質にした。
殺せない様に混ぜた。複雑に、絶対的に境界を無くして一つにした。
分離させる手段よりも早く融合させる術を用意して。一つにして、より良いものにした。
それを引っ繰り返した。
異常な速さで、融合する前に綺麗に分離されて、元の形に戻された。
「脅威だ。」
自分を知られた。
この手段を、未知の手段とされるこの手段を敗れる手段を持っている。
それは届く。これは鋭い刃で、銀の弾丸でもある。
けれど、それでも今は未完成だ。
まだより良い形がある。けれど未だ成っていない。
「欲しい。」
同じ改良でも粗悪品を改良するのと逸品を改良するのでは意味が違う。
不要なゴミを辛うじて意味あるものにするのと、最高の原石を磨いて至高の輝きにするのでは全く価値が違う。
こちらの宝石の方があのゴミより余程良い。
欲しい。改良したい。この未完成の器を最高の器にして己で満たしたい。
「まったく、知性も品性の無い者というのは、どうしてこうも醜悪なのかね?」
嗤っている。それは今まで見せていた表情とはまったく別種の、別物の、知らないものだった。
「知性ある者なら有るものらしく敗北を認め疾く失せ、知性なき怪物なら怪物らしく無様にみっともなく口を開いて牙の一つでも見せるといい。
これでは中途半端で目も当てられない。自分を核にせず他を核にして、それを捏ね繰り回して自分の手柄とするのはなんとも無様で醜悪だ。」
「欲しい。これを完成させれば私は……」
真っ黒な羊水がシェリー=モリアーティーを呑み込もうとする。
さて、これが最後の始末。
シェリー=モリアーティーには出来ない、ジェームズ=モリアーティーに出来るやり方だ。
『犯罪術式DDos』
術式が編まれる。それは相手自身の魔力を大量の情報に変換し、それを相手の中枢に送り込み、焼き切る術式。
思考できるものに対して有効な『対思考術式』。
生き物であれ、生き物以外であれ、そこに情報を入力する余地があればそれを壊す事が出来る。
だが、それだけでは足りない。
改造して良い気になっている愚か物に対して示すなら、これでは足りない。
編んだ既存術式にあるものを加える。それはとある指向性であり、この術式をより悪意あるものに変えるための変更点であり、『外理解の法則』に則った私の術式。
『犯罪術式DDos 改』
黒い津波に呑まれる寸前、津波に触れる。
それは発動した。




