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改造人狼VS未熟な淑女2


 可燃性の毒ガスで自分諸共に爆破。それでも無傷。

 ということで、蒸気で喉から肺までを試しに蒸し焼きにしていく。

 真っ当に脆い人間ならこれで窒息死するが、当然の如く平然と爆風の中から飛んでくる。跳ぶではなく、飛ぶだ。噴出口から火を噴きながら飛来してくる。

 『身体強化』

 身構えて迎撃する体勢に入る。それを見て改造人狼はそのまま真っ直ぐ……と見せかけシェリー君の正拳が届く寸前に空中で火の勢いを利用し軌道を変更、回転する。

 そのまま下から拳を蹴り上げて拳を上へと反らし、その勢いのまま今度は射出口をシェリー君に向けようとする。こちらの体術を完全にいなされた。

 だが、最初に身構えて正拳を向けたからといって、こちらが体術で攻める気だとは限らない。

 『地形操作』・『強度強化』

 空中でシェリー君本人ばかり警戒していた改造人狼は、真下の地面から生えてくる土槍に気付けない。

 より鋭利に、より俊敏になった魔法で改造人狼の体はあわれ針にまみれたヤマアラシと化す。

 シェリー君は最初から魔法戦を狙っていた。

 当然手は土で固められ、火も毒も使用を許さない。

 とはいえ、改造された四肢は穿たれ抉られても痛覚や損傷によるパフォーマンス低下が著しく少ない。

 空中で昆虫標本のような醜態を晒しながら無理矢理穴だらけの体で暴れて振り切ろうとしている。

 強化されたとはいえ、拘束は長く続かない。

 だが、それで事足りる。

 「貴方は許しがたいことをしました。

 しかし、だからと言って命を奪う真似は致しません。

 私は未熟者ですが『淑女』を目指し、至らぬ身ですが『先生』なのですから。」

 『前景』は『身体強化』や『強度強化』といった己を対象とする魔法のみに恩恵をもたらすものではない。

 精緻で大胆な魔法でこそ、この技術は真価を発揮する。即ち……

 『反罪術式C.D.E.』

 特大サイズの昆虫標本が縮み、萎んででいく。

 手足はより細くより脆弱に、余計な仕掛けや装飾は埋められる様に消えていく。

 首の根本から(こぶ)が生える。徐々にそれは肥大化し、口、鼻、耳、目、体毛が構築されていく。

 突き刺さっていた土槍から作り変えられた体がすり抜けて落ちる。

 そこには改造された人狼はもういない。

 鋭い爪も獰猛な牙も、針金のような灰色の体毛も鋭敏な鼻も耳も目もない。

 「生憎と元の形に戻す訳にはいかないので、このような形に変えることになりました、ご容赦を。」

 シェリー君が謝罪をした先。

 力が弱く、鈍間(のろま)で、道具も工夫も無ければ美味しいだけの都合の良い餌、ただの人間が転がっていた。


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